(耳科学)
耳科学領域での最近の進歩は、人工内耳の発達と、慢性中耳炎に対する聴力改善手術の成績向上があげられます。
人工内耳埋め込み術と術後のリハビリにより、それまで全く聞こえなかった人が聞こえるようになり、難聴者に大きな福音をもたらしました。補聴器も役に立たない全ろうの難聴者が対象になり、すでに全国で数千人の人が手術を受けています。
中耳炎手術の目的は耳漏の停止と聴力改善にあります。聴力改善手術の進歩により、100%近い耳漏の停止と、中耳炎による伝音性難聴であれば、80%程度の割合で聴力改善が期待できるようになりました。
(鼻科学)
鼻科学領域での進歩は、内視鏡手術の導入です。より低侵襲で短期入院で手術が行えるようになり、現在は鼻科手術の90%以上を内視鏡下で行っています。
当科ではアレルギー性鼻炎の治療や嗅覚・味覚障害の治療にも力を入れています。難治性や重症のアレルギー性鼻炎に対しては、免疫(減感作)療法や日帰りでのレーザー手術、下甲介手術や後鼻神経切断術など、症状に合わせた治療法を選択しています。嗅覚・味覚障害は Quality of life に大きな影響を与えますが、これまであまり注目されず、専門外来で診察を行っている施設もほとんどありません。当教室では平成18年から専門外来を設置し、検査や治療を行っています。
(頭頸部外科学)
頭頸部外科学領域での進歩には、再建外科における形成外科手技の発達と、患者さんの負担を少なくし、機能温存を目指した低侵襲手術があります。
頭頸部癌の治療において、腫瘍切除後に血管吻合を利用した再建外科が進歩し、これまで手術不能と考えられていた進行癌でも根治手術が試みられるようになりました。当科でも症例ごとに慎重に手術適応を考慮した上で、形成外科医の協力を得て、拡大手術にも積極的に取り組んでいます。一方で、放射線化学療法や低侵襲手術の導入により、音声・嚥下などの機能を温存した治療が可能になりました。こうした機能温存を目指した治療の追求をもう一つの理念にしています。