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TOPICS~病気・治療法の解説~

夏に流行する小児の感染症 小児科 松井 克之

今回は夏に多いお子さんの感染症がテーマです。
どのような感染症があるかについてお話しした後、夏かぜにかかった場合どのような注意が必要かについてもお話しします。

手足口病

 名前のとおり手や足、口の中に小さな赤い発疹が出現します。膝やお尻も発疹ができやすい場所です。みずぼうそうと間違うような、体中に発疹がでる手足口病が数年前に流行したこともあります。
 コクサッキーウイルスやエンテロウイルスという夏かぜウイルスが主な原因です。発熱はあっても数日で治まります。口内炎で食事や水分が取りにくくなります。

ヘルパンギーナ

 突然の発熱で始まり、のどの奥に口内炎が多数できるのが特徴です。コクサッキーウイルスが主な原因ですが、エコーウイルスでも起こります。口内炎のため食事や水分が取りにくくなります。発熱は数日で治まり、口内炎も徐々に治っていきます。
 手足口病と同じ種類のウイルスが原因となりますから、始めはヘルパンギーナのように見えても、後から手足に発疹がでてきて実は手足口病ということもあります。

夏かぜによるウイルス性髄膜炎

 手足口病やヘルパンギーナを起こす夏かぜのウイルスは、まれに髄膜炎を起こすことがあります。髄膜炎とは脳や脊髄を包む髄膜という膜に感染が生じたものです。発熱だけでなくひどい頭痛や吐き気を伴います。症状が強いと入院が必要となります。
 特別な治療薬は存在せず、またワクチンも存在していませんが、ほとんどは問題なく治ります。一方、夏かぜ以外が原因となる髄膜炎は季節に関係なく起こりますが、夏に発症すると夏かぜの髄膜炎と紛らわしくて診断治療が遅れることがありえます。ヒブや肺炎球菌といった細菌が起こす細菌性髄膜炎は命にかかわりますし、おたふくかぜウイルスはムンプス髄膜炎以外にも回復しない難聴の原因になります。ヒブや肺炎球菌、おたふくかぜなどワクチンで予防できる病気だけでも事前に予防しておきましょう。

アデノウイルス感染症

 高い熱が出て、目が充血するプール熱(咽頭結膜熱)が代表的な病気です。プール熱はプールの時期に流行るためにそう名付けられましたが、プールに関係なく感染します。高い熱が4~7日くらい続くことが多いのですが、自然に良くなります。抗生物質を含めて特効薬はありません。熱が下がってから2日間は学校や保育園等を休む必要があります。

とびひ(伝染性膿痂疹)

 夏かぜではありませんが、夏に多い感染症にとびひがあります。皮膚に水ぶくれやじゅくじゅくとした病変ができます。黄色ブドウ球菌や溶連菌という細菌が原因で、これらの細菌がすり傷や湿疹に入り込み発生します。病変を触った手で別の場所を触ると同じような病変ができます(とびひします)。

一般的に抗生物質や塗り薬で治療しますが、最近は抗生物質の効きにくい耐性菌が増えているため、治療に時間がかかることもあります。

夏かぜについて知っておくと良いこと

対応
 安静が第一です。水分はこまめにとりましょう。口内炎の痛みで水分がとりにくい場合はストローを使ったり、スポーツ飲料などの等浸透圧(アイソトニック)飲料、牛乳、ゼリー状飲料水などのしみにくいもので水分補給しましょう。食事は口当たりの良いものをとります。
 食事がまったくとれない状況で、先に挙げた飲料水だけを飲んでいると塩分が不足しますので、このような場合には経口補水液を利用しましょう。経口補水液はさ湯1ℓに砂糖40g(大さじ4と1/2杯)、塩3g(小さじ1/2杯)を溶かし、グレープフルーツなどの果汁を加えると自宅でも作れますが、より飲みやすくした市販品もあります。

発熱
 病原体の働きを抑え、治癒に有利な状態を作るため体温を上げるのが発熱です。全身状態が良ければむやみに熱を下げる必要はありません。発熱でゆっくり休めない、ひどくつらがるなどの症状があれば、それらの症状を緩和するために解熱剤などを用いると良いでしょう。お薬の効果は体温の変化ではなく体がどれくらい楽になったかで評価すると良いでしょう。
 解熱剤がなければ、薄着にしたり、冷房をいれたり、脇や首筋を冷やしてあげましょう。冷やしすぎないように注意してください。また、おでこに貼る冷却シートには体温を下げる効果はありませんので注意してください。

抗生物質(抗菌薬)
 夏かぜの多くはウイルスが原因となります。そのため、抗生物質を使用しても効果はありません。昔は風邪のときに後から細菌が悪さをしてこじらせること(二次感染)を予防するという目的で、抗生物質が処方されることがありましたが、それでは二次感染が防げないことがわかっています。
 不要な抗生物質を使用し続けると、薬の効きにくい耐性菌が二次感染の原因となり、治療がより困難になる危険性が高まります。そのため、最近はウイルス感染の可能性が高い患者さんには、抗生物質を処方せずに経過を見ることが一般的となってきました。

風邪薬
 夏かぜで鼻水や咳が出ることは少ないので、いわゆる風邪薬が必要となることは、まずありません。さらに咳止めには効果がないこと、その他の風邪薬にも風邪を良くする効果がないことがわかっています。また、咳も鼻水も体から害のあるものを出すために生じていますので、むやみやたらに止めて良いものではありません。このような理由のため、咳や鼻水があっても通常、風邪薬は不要です。
 (一部の先進国では乳児・幼児の風邪薬が禁止されているほどです。)

感染予防
 夏かぜやとびひにはワクチンがありません。また、一度かかっても原因となるウイルスが多数あり、何度もかかることがあります。そのため、手洗いをきちんと行うことが一番の感染予防になります。

受診の目安
 生後2か月以下の赤ちゃんの発熱。水分がとれず、おしっこがでない。肌に潤いがなくしわしわしている。1日中ウトウトしている。無表情で元気がない。解熱剤を使ってもぐったりしたまま。けいれんした。元気でも熱が5日以上続く。このような場合は医療機関を受診しましょう。