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TOPICS~病気・治療法の解説~

C型肝炎の新しい治療  消化器内科 塩谷 淳

ウイルス感染で起こる肝炎とは

  肝炎ウイルスにはA、B、C、D、Eなどの型があり、日本人に多くみられるのが「B型肝炎」と「C型肝炎」です。

 C型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって起こるC型肝炎は、自然に治ることもありますが、多くは肝臓が炎症をおこしている状態が慢性化して、C型慢性肝炎となります。肝臓は「沈黙の臓器」ともいわれるように、自覚症状がほとんどないまま、気付かないうちに病気が進行して、肝硬変や肝臓がんになる可能性が高まります。

 日本では年間約3万人が肝臓がんで亡くなっていますが、その原因の約65%がC型肝炎ウイルスの感染によるものです。C型肝炎ウイルスの感染者は150~200万人いると推定されていますが、半数以上は65歳以上の高齢者です。自覚症状がなくても健康診断などの機会にきちんと検査を受けることが大切です。病院や保健所で検査を受けることもできます。かかりつけ医やお住まいの地域を管轄する保健所へご相談ください。

感染経路と感染予防

 C型肝炎ウイルスは体液や血液を介して感染します。過去には、感染した血液を用いた輸血や血液製剤、汚染された注射器や注射針を使った医療行為による感染がありましたが、現在は消毒が十分でない器具を使っての入れ墨やピアスの穴あけ、麻薬や覚せい剤のまわし打ちなどが原因であると考えられます。母子感染や性交渉による感染はごくまれとされています。

 感染した血液に直接触れることがない限り、握手や食器の共用、入浴など、日常における接触で感染することはありません。

C型肝炎の検査

 HCV抗体検査はC型肝炎ウイルスに感染しているか、あるいは過去に感染したことがあるかを調べる検査です。HCV-RNA検査で血液中のC型肝炎ウイルスの遺伝子が検出されなければ、過去に感染したことがあってもウイルスが排除されて治癒していることになります。

 ウイルスが検出されて陽性となった場合は、さらに、ウイルスの種類(型)を調べて、HCV-RNA検査でわかったウイルス量とあわせて治療効果を予測したり、治療方針を決めるのに役立てます。日本人に多いセログループ1は治療薬のインターフェロンが効きにくく、「難治性」とされてきました。

 肝炎の進行の程度を調べるのに用いるのは血中のAST値やALT値で、肝臓の炎症が強くなると数値が高くなりますが、数値が低いからといって必ずしも進行していないとは言えません。また、病気が進行すると血小板数が減少するため、AST値やALT値が正常でも、血小板数が10万/?以下になると、慢性肝炎から肝硬変への進行がうたがわれます。

 

新しい治療

 C型肝炎の治療には、ウイルスを体内から排除して完全治癒を目指す「原因療法」と、肝機能を改善して肝炎の悪化を防ぐ「対症療法」があり、肝硬変への進展と肝臓がんの発症を防ぐことが治療目的になります。

 これまで原因療法はインターフェロン治療だけでしたが、最近、直接ウイルスに作用する飲み薬の抗ウイルス薬が開発されて、C型肝炎の治療が大きく進歩しました。

 

 2014年に発売された「ダクルインザ錠(ダクラタスビル)」と「スンベプラカプセル(アスナプレビル)」は、24週間続けて服用するだけで、インターフェロンが効きにくいセログループ1で、89~98%という高い有効性を示すことが確認されています。さらに、今年5月には、セログループ2を対象とした「ソバルディ錠(ソホスブビル)」という新しい薬も発売され、95~97%の有効性があります。また、今後も臨床試験で高い有効性を示す抗ウイルス剤が続々と承認される予定です。

 これらの新薬は、インフルエンザのような症状や発熱・骨髄抑制などさまざまな副作用が出現するインターフェロンに比べて、副作用が少ないことから、入院の必要がなく、外来で投与ができることも大きな特徴です。

 

C型肝炎と診断されたら

 C型肝炎の進行を早める要因として、飲酒や肥満、鉄分の過剰摂取、喫煙があります。検査でHCV陽性となった場合は、飲酒や喫煙、ほうれん草やレバーなど鉄分を多く含む食品を控え、栄養バランスのとれた食事を規則正しくとることが大切になります。

 C型肝炎の治療はここ数年で飛躍的に進歩して、高い確率でウイルスを排除できるようになり、C型肝炎ウイルスによる肝硬変や肝臓がんが減少することが期待されています。

 新しい薬はたいへん高価ですが、ウイルス性肝炎医療費助成制度によって患者さんの負担を大きく軽減することができます。これまでにインターフェロンによる治療を受けたけれど治癒しなかった方、C型肝炎は治らないとあきらめていた方も、医療機関を受診されることをお勧めします。