• ホーム
  • 外来のご案内
  • 入院のご案内
  • 診療科一覧
  • 病院のご案内
  • 相談窓口
  • 医療機関の方へ

TOPICS~病気・治療法の解説~

糖尿病についての新しい話題  糖尿病内分泌内科 卯木 智

糖尿病の増加

 厚生労働省が行っている平成28年「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる者」は約1,000万 人と推計され、40歳以上の約4人に1人は糖尿病であるといわれています。この数は年々増加しており、糖尿病はまさに国民病といえます。この増加の 原因には、食生活の欧米化による脂肪の多い食習慣や運動不足などが関係し ていると考えられています。

睡眠不足(vol80)

糖尿病の新たな合併症とは

 高血糖を放置していると、全身の血管が傷んで様々な血管合併症がおこる危険があります。3大合併症と言われている、網膜症、腎症、神経障害は、いずれも体の中の細い血管が障害されておこる合併症です。また、太い血管も障害され、心筋梗塞や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症といった動脈硬化性疾患を起こす危険も高くなります。眼科受診、尿検査、心電図、動脈硬化の検査など、定期的に合併症の検査を受けることが大切です。

 さらに、最近では、認知症やがんと糖尿病との関係が注目されています。九州大学が福岡県久山町の住民を対象に、50年以上も生活習慣病の実態を調査しています。その研究結果によると、糖尿病の人はそうでない人に比べて、認知症の発症が2倍高いということです。また、日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会が、癌に関して33万人を調査した結果、糖尿病の人は1.2倍がんになりやすく、特に、大腸がん、肝臓がん、すい臓がんが多いことを報告しました。認知症やがんには肥満、運動不足、不適切な食習慣といった、糖尿病と共通した因子が関係しており、生活習慣の改善が認知症やがんの発症予防になるという研究結果も報告されています。

高齢者糖尿病の増加

 滋賀県医師会が、滋賀県内の医療機関に通院している糖尿病患者の治療実態を6年ごとに調査しています。2012年度の調査結果では、通院患者の年齢について、男女とも60歳代が最も多く、4人のうち3人は60歳以上でした。高齢者糖尿病の治療をどのように行うかが、今、重要なテーマになっています。

睡眠時無呼吸(vol80)

高齢者の血糖コントロール目標

  血糖降下薬やインスリン注射をしていると、薬が効きすぎて、低血糖がおこることがあります。血糖の目標を下げれば下げるほど、低血糖がおこる可能性が高くなります。とくに、高齢者は、肝臓や腎臓の働きが低下しているため、薬の作用が強く出てしまい、低血糖をおこしやすく、また、自律神経の働きや認知機能が低下していると、低血糖の症状を自覚しにくいため低血糖が重症化しやすくなります。以上のことから、高齢糖尿病患者の血糖の目標値は、やや緩めにしたほうがいいと考えられるようになりました。日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会が、「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標値」を発表しました。高齢者の血糖コントロールの目標値は、健康状態や認知機能の状態、また、低血糖を起こす可能性のある薬を使用しているかどうかで変わります。

薬物療法の進歩

  経口血糖降下薬は7種類もあり、それぞれに特徴があります。また、インスリンにも、作用時間や2種類のインスリンを混合した混合製剤など、いろいろな種類があります。GLP-1製剤という、低血糖を起こしにくい注射製剤もあります。また、週1回の投与でよい内服薬や注射製剤も使用できるようになりました。現在も多くの薬が開発中です。このように治療薬の選択肢は広がってきており、各人の状態や生活様式にあわせて薬を選べるようになりました。以前に比べると、格段に良好にコントロールできるようになっています。

生活習慣改善を含めた包括的な治療の重要性を示したJ-DOIT3研究

 日本人糖尿病患者で、生活習慣改善を含めた包括的治療によって、合併症を減らせることができるかどうかを検討したJ-DOIT3研究の結果が昨年発表され、大きな話題になりました。この研究には本学も参加しています。全国81施設の糖尿病専門施設に通院している2型糖尿病患者2,542名を、現在の標準とされる治療を受ける群(従来療法群)と、より厳しく目標設定した治療を行う強化療法群に分けて8年半経過を見ました。その結果、腎症と網膜症の発症が強化療法群で減少し、なんと脳卒中の発症が6割も減りました。この研究で注目すべき点は、強化療法群では、看護師などの病院スタッフによるきめ細やかな生活指導を行ったことです。重篤な低血糖や副作用なく、良好なコントロールが得られた一因と考えられています。糖尿病は自己管理が大切で、食事療法と運動療法が基本であることを改めて示した結果となりました。

睡眠不足(vol80)

高度肥満を合併する糖尿病の新しい治療―肥満外科手術

 高度肥満を合併する糖尿病の治療は、困難なことが多いです。BMI(bodymass index)35以上の高度肥満を合併する糖尿病の治療として、胃を縮小する外科治療(スリーブ状胃切除術)が2014年に保険適応になりました。世界では年間50万例も行われており、大きな減量効果だけでなく、糖尿病が劇的に良くなること、さらには寿命を延ばすことが示されています。まだ国内では手術を行っている施設は少数ですが、当院では、2008年から外科と内科が共同で肥満外科手術を行っています。すでに手術例は50例を超え、劇的な糖尿病改善効果を認めています。

睡眠不足(vol80)

TOPICS バックナンバー