抄 録:
ヘルシンキ宣言はヒトを対象とする医学研究の倫理原則を述べているが、その中には動物福祉への配慮も明記されている。これに基づき国際医学団体協議会(CIOMS)は「動物実験についての国際原則」を1985年に発表した。その中の特別規定に次の3点が記載されている。
1) 動物実験施設の認可
2) 動物実験委員会による動物実験計画書の審査
3) 施設の査察
各国の学術団体、政府組織および企業組織が科学目的のための動物の使用に関する独自の基準、法律を作るに当たって、この原則を取り入れるようCIOMSは勧告している。これを受けて欧米諸国では自国の法律、規則あるいは指針にこのCIOMSの原則を取り入れ適正な動物実験の実施に努めている。わが国では1973年に作られた「動物の保護及び管理に関する法律」が1999年に改正され「動物の愛護及び管理に関する法律」(動愛法)となったが、動物実験については1980年に作られた「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」(基準)を遵守し、自主的管理を行うということで、改正から除外された。したがって動愛法および基準にCIOMSの原則は取り入れられていない。しかし1987年の「大学等における動物実験について(文部省学術国際局長通知)」によりCIOMSの原則に基づいた動物実験指針が、主として医学教育研究機関で自主的に作成され、動物実験委員会が設置されている。現在ではすべての大学において動物実験委員会により動物実験計画書の審査がなされているものと思われる。
ところで5年前に改正された動愛法の見直しが始まっているが、今回の見なおしにより動物実験に関しても改正が加えられることは必至と思われ、少なくとも動物実験委員会の設置と実験計画書の審査が改正に加えられる可能性は高い。
そこで今回の講演では、諸外国の例を参考として研究計画書を作成するに当たって研究者が注意すべき事項、また研究計画書を審査するに当たって動物実験委員が注意すべき事項を具体的な実験処置(例えば、絶食、絶水時間。拘束方法。遺伝子組換え動物を用いた実験など)をあげながらお話ししてみたい。
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