医療の質

ヘルスケアプロセスの可視化

日々蓄積される、看護記録:NR(Nursing Record)、電子医療記録:EMR (Electronic Medical Record)、電子健康記録:EHR (Electronic Health Record)を利活用し、医療業務の計測(推計)を行っています。観測手法としては、電子カルテやインシデント、プレアボイドなどの医療記録データに加え、アクセスログ、ナースコールやセンサ、タイムスタディ(行動観察)を用い、看護ケアプロセスの可視化を行うことで、看護課題の解決を目指しています。

 

ケアプロセスに関わる評価指標の開発

ケアプロセスに関わるデータの蓄積と利活用

ケアプロセスの可視化とモデリング

想定上の業務(WAI: Work as imagined)と実際の業務(WAD: Work as done)のギャップを明示

現場環境の組織的改善支援と取組後の評価

 

key words:業務スケジューリング、業務中断後の再スケジューリングとケアへの影響、業務量推計、業務特性評価・関連分析、動線分析、患者急変への気づきとシステム起動までの認知・行動プロセス(RRS: Rapid Responce System)、情報収集および記録(電子カルテ使用状況)、Safety-Ⅱ、レジリエンス・エンジニアリング

チーム医療の推進

患者中心ケアに向けた医師-看護師間の協働などの職種間連携、チーム連携の推進を検討することにより、組織における医療の質の向上を目指します。

評価尺度の開発

看護ケア実践の現場やシステムにおける安全性や質の向上に向けて、現場では日々業務改善が行われています。現状把握や介入後の改善効果を評価するために必要な評価尺度の開発に取り組んでいます。

メタアナリシス

あるテーマに関する複数の研究結果を組み合わせて要約することで、個々の研究だけよりも信頼できる結論を導き出すために用いられる手法です。これにより、看護実践のエビデンス創出に役立ちます。


看護人材の育成・管理

アセスメント能力

看護学生ならびに看護職の患者観察における気づきやアセスメントに関わる能力について、視点分析や医療情報データ分析を通じて検討することで、看護教育への貢献を目指します。

ストレス・マネジメント

看護領域においては特に、学生生活の継続にとって、また卒後のバーンアウト予防にむけて、ストレスマネジメント能力の育成が重要となります。特に、たとえ困難な事象に直面したとしてもそこから回復する力(レジリエンス)の育成に関する研究により、患者ケアを担う看護職のパフォーマンスを高めることで、間接的に医療の質向上を目指します。

また、対象者によるセルフケアのみならず、組織としてのラインケアや事業場内外の専門家によるケアなど組織的視点を含め、医療者を支援することを目的に研究しています。

キャリアと発達的挑戦機会

リーダーシップ等管理能力の育成に関わる学習資源としての職務経験(発達的挑戦機会: Developemental challenge)と学習成果としての獲得された能力(コンピテンシー)について検討しています。

看護管理における垂直方向のキャリアである看護中間管理者や看護管理者以外にも、水平方向のキャリアである医療安全管理者など、いわゆる越境経験など組織横断的視点が学習にもたらす効果を検討し、看護職の管理能力開発への貢献を目指します。

シミュレーション教育の開発と評価に関する研究

学生が臨地実習で経験することがむずかしい看護についてシミュレーション教育を実施し、その効果の検証をおこなっています。

複数の大学でシミュレーション教育を実施し、国内外の学会でその成果を毎年発表しています。

2023年度はVR教材も活用し、楽しく学習できるシミュレーション教育を目指して取り組んでいます。

高齢者のリスク予防と生活支援

高齢者の転倒に関わる視点と運動の特徴、転倒要因および予防(転倒アセスメントツール)、服薬管理支援、服薬コンプライアンス、認知症高齢者の特性など、予防と支援の観点から研究を行っています。

医療需要推計などの疫学研究

地域高齢者における健康づくりのための運動指導に関する基礎研究、急性心筋梗塞患者におけるリスク要因と生活習慣の関連、がん患者の生存率・死亡率・罹患率・有病数推計、がん治療により医療サービスが必要となる生活障がいを有する患者数の推計などもおこなってきました。