どのような前立腺癌が本治療法の対象となりますか?また滋賀医科大学で行われている治療方法の特徴と成績を教えてください。

転移のない前立腺癌が適応となります。前立腺癌は一般に顕微鏡で見た癌の悪性度 (グリソンスコアという悪性度の指標が一般に用いられます)と診断時のPSA値によって、低リスク、中リスク、高リスクにわけられます。滋賀医科大学 前立腺癌小線源治療学講座ではこれらすべてのリスク群の患者さんに対し小線源療法を用いた治療を行っています。特にわれわれ小線源治療チームはマウントサイナイメディカルセンタで始められたリアルタイムインプラントより独自の治療プログラムを編み出しました。われわれ治療チームがこれまでおこなった12年間、850例におよぶ患者さんの中にはPSAの値が50ng/ml を超える難しい症例の方も多数含まれています。これら多数の経験に裏付けられた治療技術が 全国からの患者さんとご家族の信頼をいただいている最大の理由といえましょう。

高リスク前立腺癌に対して

従来は悪性度の高い前立腺癌(高リスク群の患者さん)には小線源療法は適さないと考えられていました。しかしながら近年、難治性とされる高リスク前立腺癌に対してホルモン治療を短期におこないながら小線源治療と外部照射併用による超高線量照射(高リスク癌に対するこの治療をトリモダリティと呼んでいます)を行うことにより、非常に優れたデータが海外より出ています。この点から本院でも高リスク症例には積極的にシード治療と外部照射を併用したトリモダリティを行っております。(詳細については[4]を参照してください)。

また当院ではPSAが30ng/mlを超えるケースや精嚢に浸潤のある症例でも精嚢にシードを配置するなどで対応できます。
当院で最低3年以上の追跡観察をおこなった症例での5年でのPSA非再発率は 低リスク98.3% 中間リスク96.9% 高リスク96.3%という結果です。(2014年 第102回 日本泌尿器科学会発表)

前立腺癌治療後5年でのPSA非再発率 滋賀医大

2014年 第102回 日本泌尿器科学会発表データより


低リスク、中間リスク前立腺癌に対して

また低リスク、中間リスクに対して当院で行っている小線源単独療法にも大きな特徴があります。具体的には中リスク前立腺癌の項目で詳しく述べていますが、高い総線量で治療しています。

また現在、単独治療の場合 大きな前立腺であっても前立腺サイズを縮小させるためのホルモン療法はなるべく行わないようにしています。年齢が若い方の場合、治療後10年、15年後も再発の不安なく安心して生活ができるように、また性機能も安定して温存できるような治療をおこなうことが私たちの使命であると考えています。