臨床研修について

大学の臨床教室がおこなう人材育成は「臨床指導医」や「臨床研究指導医」や「地域医療に貢献する専門医」の育成です。これら全ての職に共通するキーワードは「専門医」ですので、そこから説明を始めます。

 

 医局は教育システム。

 

滋賀医大皮膚科は、医局とは教育システムであると考えています。そうであるならば、そこには目標と柔軟性の両方が必要になります。一方では、大学の持つ制度(仕組み)に制限を受けることも明白ですので、大学の持つ仕組みにそって、紹介します。

 

 On The Job Training (医員になって専門医等をめざす)

 

10年度、15年後、20年後を考えれば、将来的には、勤務医ですごしたい、開業医になりたい、教育職につきたいなど、色々な希望があると思いますが、さしあたって皮膚科医の第一歩を踏み出すための代表的なコースです。最低限の目標は皮膚科専門医の取得にあります。従って、この段階では柔軟性はある程度制限を受けます。複数の入院症例を経験しなければ専門医申請の資格が得られないですし、手術も同様です。外来症例も必要です。これらの申請資格を万遍なく満たすための、おおよそ5年間を一区切りにしたコースです。ちなみに滋賀医大皮膚科は、この15年間で専門医合格率は95%以上ですから、教育の仕組みとしては機能していると自負しています。途中に大学院進学を挟むことも出来ますが、臨床一筋で説明しますと、

 

はじめの1〜2年間は滋賀医大皮膚科で修業。この段階では、

 

 1)皮膚科手技一般(真菌検査、皮膚生検、簡単な切開、光線テスト、貼付試験などなど)を身につける。
 2)入院症例を受け持ち、全身管理を含む入院管理を学ぶ
 3)手術症例を経験する

 

ことを目標とします。簡単に纏めますと、「基幹病院で働いても、お荷物にはならないような最低限のことは身につける」、ことが目標です。 ついでに

 

 4)学会発表に必要な「お作法」(知識と技術のことです)、論文作製に必要な「お作法」も身につける。

 

できれば専門医受験申請に必要な要件の半分程度の学会発表と論文作製をクリアして頂きたいところです。

 

次の1〜2年は関連病院で修業。

 

 1)外来を受け持ち、症例経験を積む。大学ではなかなか独立した外来を受け持つことが難しいためです。
 2)入院症例や手術症例を継続して学ぶ。

 

入院症例は、大学病院で主に診ていた重症疾患、希少疾患、難治性疾患以外の、急性感染性疾患や外傷など、大学病院とはちょっと違った疾患群を経験することになります。この段階で、専門医受験申請に必要な症例は殆ど揃います。が、大体、発表が足りない、論文が足りない。

 

最後のまとめを何処でするかは希望次第ですが、大きく分けて@大学病院(医員 または助教。まとめを大学病院で、が最も多いです)、A関連病院(同じところにいる、違う関連病院に移る)、B大学院進学(古典的な大学院)、C大学院進学(社会人入学)の4つです。将来設計によっても異なるし、女性医師では小さな子供がいるかどうかでも異なりますがだいたいこの4つです。これまでは、私たちの医局は専門医を取るまでは臨床一筋を希望される先生方が多かったです。最後のまとめですから、やるべきことは、

 

 1)足りていない症例経験を積む
 2)不足している学会発表や、論文数を規定以上になるようにする
 3)カンファレンスで知識を整理する。とくに皮膚病理学がそろそろ出来ないと困りますので、病理所見を言って頂いたりします。

 

ということになります。5年以内に専門医受験申請の出来なかった方は

 

 # 入会にもたついて、秋の入会となってしまい入局5年では皮膚科学会在籍5年にならない。
 # 論文が足りない

 

のいずれかです。着任以来それ以外のパターンはありません。(ので、真面目にやってね)

 

このステージでは、専門医になることだけが目的では少し悲しいです。そろそろサブスペシャリティーについて考えをもって貰いたいところです。

 

滋賀医大皮膚科が用意しているサブスペシャティーは、

 

 A) 皮膚悪性腫瘍指導専門医やがん治療認定医などの腫瘍専門医
 B) アレルギーの専門医
 C) 美容に関するものは皮膚科学会の美容指導専門医

 

等が具体的に資格のある分野になります。資格制度が或は専門医制度が確立されていない分野でも立派なサブスペシャリティーですから、詳しくは外来担当表の専門外来をご覧下さい。ここにいたってはじめて医局の持つ柔軟性が発揮されます。

 

 はじめから大学院に行く

 

初期研修で1年間皮膚科を選択した以外はあまりお勧めできませんが、滋賀医科大学の仕組みとしては、高度専門医養成を目的とした大学院や、古典的な研究者養成を目的とした大学院が用意されています。大学院をどのように使うかは個人の目的によって多彩です。以下、簡単に書きます。

 

研究に興味がある

 

研究が皮膚科学そのものであれば、古典的な大学院を、高度専門医養成コースの興味があればそちらを選択されると良いと思います。

 

家庭の事情、個人の事情でOn The Job Trainingは無理。

 

例えば、小さなお子さんをもつ女性医師で、両親や親戚も近くにいないので、当直や夜遅くまでの激務はちょっと無理、など。しかし、専門医をめざしてのキャリアは継続したい。

 

 もう医員の定員はいっぱい。だからさしあたって入学して、途中からは普通の専門医養成のコース(関連病院での修業)に行きたい、など。途中から社会人入学に切り替えるコースがあります。

 

 

見学を希望される方へ

 

医局見学は随時可能です.メールで氏名、出身大学(現在の研修先)、希望日時、連絡先をお知らせください.折り返し,医局長より日程などをお返事します.連絡先は秘書室メールアドレスです。件名を見学希望と書いて頂きますと助かります。私たちが最も都合のいい曜日は火曜日です。なお、入局に関する事柄以外にはお答えできませんのでご了承下さい。

 

連絡先
E-mail:

 

 

付録:当科の基礎資料

 

どれだけの症例があるのか??
 平成25年度 外来患者新来数1576人 外来患者年間延数19406人 紹介率 65.49% 
 平成26年度 外来患者新来数1510人 外来患者年間延数19186人 紹介率 64.90%
 平成27年度 外来患者新来数1554人 外来患者年間延数19645人 紹介率 66.33%
   <解説 どのくらい地域の医師に頼られている病院かが判ります>

 

 平成25年度 新入院患者数302人 入院患者延数5355人 平均在院日数15.54日
 平成26年度 新入院患者数367人 入院患者延数6504人 平均在院日数16.94日
 平成27年度 新入院患者数332人 入院患者延数6694人 平均在院日数18.95日
   <解説 どのくらい重症を見ているか、あるいは急性期医療をしている病院か、が判ります>

 

 平成25年度 手術件数 325件(中央手術室のみの件数)
 平成26年度 手術件数 340件(中央手術室のみの件数)
 平成27年度 手術件数 361件(中央手術室のみの件数)
   <近年、手術件数はグングン増えています。「高度手術」の割合も上位に位置しています>

 

関連病院
日本皮膚科学会が認定する専門医研修指定病院のうち、滋賀医大関連病院は3カ所。草津総合病院、公立甲賀病院、彦根市民病院です。責任者は滋賀医大医局の先生でかつ専門医です。「どうしても一人医長を経験してみたい」という希望があれば応じることも可能です。が、皮膚科学会の規則上、1年間の経験を1年間分としてカウントしてもらえるのは1年間に限られます。

 

資格または専門医(認定)制度のあるサブスペシャリティー
 日本皮膚科学会 皮膚科専門医 6名
 日本皮膚科学会 皮膚悪性腫瘍指導専門医 1名
 日本皮膚科学会 美容皮膚科レーザー指導専門医 2名(非常勤)
 日本アレルギー学会 アレルギー専門医 2名
 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 3名
 日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医 2名
 日本フットケア学会 フットケア指導士 1名
 リンパ浮腫療法士認定機構 リンパ浮腫指導士 1名