滋賀医科大学家庭医療学講座の母体である総合診療部が医学部附属病院中央診療施設の一つとして設置(省令化)されたのは平成9年4月で、平成10年3月に教授が着任し、平成12年度には現在の4人体制が確立しました。その総合診療部がこれまで10年間に、以下に述べる診療機能面、福祉・医療・保健連携促進面、および地域基盤型医学教育面において貢献してきた多くの価値ある実績が評価されて、家庭医療学講座の開設が認められたものです。
滋賀医科大学家庭医療学講座の母体である総合診療部が医学部附属病院中央診療施設の一つとして設置(省令化)されたのは平成9年4月で、平成10年3月に教授が着任し、平成12年度には現在の4人体制が確立しました。その総合診療部がこれまで10年間に、以下に述べる診療機能面、福祉・医療・保健連携促進面、および地域基盤型医学教育面において貢献してきた多くの価値ある実績が評価されて、家庭医療学講座の開設が認められたものです。
総合診療部では大学病院において「人間」そのものを見失わない全人的な医療を提供するために、心理・社会的要因が重要な患者、多疾患を持つ患者,受診科不明の診断困難例を積極的に診療してきました。全人的医療の推進のためには心療内科や漢方医学的なアプローチも重要であるため、平成15年10月からは心療内科専門外来、平成18年10月からは漢方外来を総合診療部外来の中に設置して、多数の患者の需要に応じています。また、総合診療部が中心となり、平成14年4月に地域医療連携室を開設し、同7月から運用を開始したところ、その利用数は年々増加の一途をたどり、平成16年4月に地域医療連携部に昇格しました。
このように、総合診療部は、患者中心で、共感できる人間関係の維持・強化をはかり、健康問題の心理・社会的アプローチを重視する地域包括プライマリケアを目指した診療を行い、このような領域を独自の専門性としてとらえる家庭医療学family medicineの教育・研究の素地を築きました。
文部科学省は平成14年度に、国立大学の地域貢献に際して特に優れた取組みを重点的に支援する「地域貢献特別支援事業」を予算措置しました。この公募に際し、総合診療部が中心となって、保健・医療・福祉の連携によるそれらの充実を目指して、滋賀医科大学医学部、龍谷大学社会学部および滋賀県健康福祉部による4つの事業(障害者理解促進事業、痴呆性高齢者介護向上促進事業、虐待家庭内暴力対策ネットワーク事業、医療福祉教育研究センター事業)を提案したところ、これが採択されました(平成14〜16年度)。これらの事業を推進する中心となるだけでなく、関連する異職種人材間の連携の要となり、多職種の関連分野に明るい総合的で学際的な人材を育てることを目的とする医療福祉教育研究センターが平成14年11月、滋賀医科大学に創設されたことは極めて大きな成果でありました。
平成16年度に文部科学省が募集した現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代Good Practice:現代GP)に、総合診療部から、テーマ名「人材交流による産学連携教育」、取組名称「産学連携によるプライマリケア医学教育」で応募したところ採択されました(平成16〜17年度)。この取組は、滋賀県医師会所属の約700の診療所のうち98施設の協力を得て、極めて順調に進行しました。その結果、医学生のプライマリケアを理解するための行動目標達成率の有意な改善が見られたのみならず、協力診療所医師の学生実習受入後における医学生教育に対する意識の好転が認められ、地域立脚型医学教育の推進にとって大変好ましい結果が得られました。
平成17年度に文部科学省が募集した「地域医療等社会的ニーズに対応した医療人教育支援プログラム(医療人GP:医療人Good Practice)」のテーマ「全人的医療を実現できる医師・歯科医師の養成」に、総合診療部から教育プログラム名称「一般市民参加型全人的医療教育プログラム」で応募したところ、選定されました(平成17〜19年度)。一般市民直接参加型の三つの医学教育プロジェクト、6年間一貫患者訪問実習、全学年一般市民参加型面接医療実習、全人的医療・学年縦断グループ能動学習と市民・学生参加シンポジウムが、実際に全人的医療を実現できる医師の養成に有用かについてのグループ討論を最終年度(平成19年度)の第5学年と第3学年の全学生について実施したところ、具体的な方法については改善すべき点が多数あるが、その有用性については大部分の学生が同意しました。