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New teacher introduction
| 新任教員紹介
SETA DAYORI No. 10
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平成29年 4 月 1 日付けで、臨床看護学講座の准教授
を拝命いたしました。滋賀医科大学には、修士課程の
2 年間、助教時代の 2 年間お世話になり、 7 年ぶりに
戻って参りました。滋賀医科大学は私が研究の道を志
した場所で、再びこの地で仕事させていただく機会を
得たことを大変嬉しく感じるとともに、身の引き締ま
る思いです。
私が看護師として最初に勤めた病棟は、根治が難し
い神経難病患者や高齢患者が多い病棟でした。身体症
状の進行に伴う転倒や治療が終わり病気は軽快しても
加齢に伴う身体的・精神的・社会的問題により在院日
数が長くなっている患者が多くいました。入院が患者
を不健康な状態にしてしまっているのではないかと虚
無と虚脱感がありました。このような二次的障害や加
齢に伴う問題を何とかしたいと思ったことが私の研究
の原点です。
そして、修士課程では脳神経機能障害を有する患者
の転倒要因に関する研究、博士課程では高齢者の胃瘻
選択にかかる問題に関する研究や高齢者の再入院や在
院日数延長要因に関する研究を行ってきました。また、
現在は地域高齢者のコホート研究も行っています。こ
れらの一連の研究を通して、転倒予防やフレイル予防
のための新たな予測因子や高齢者診療における多職種
連携の意義が明らかになってきました。今後の研究の
方向性として、これらの知見を日常のケア場面に反映
させたfeasibility studyによる高齢者の健康及び生活
の維持に対する看護介入の効果検証が重要となると考
えています。
修士・博士課程での 5 年間、また助教時代の 2 年間
はさまざまな研究に従事させていただく機会を得、単
に研究方法論を学ぶということではなく、実践の中で
研究遂行能力を鍛える機会になっていたように思いま
す。また、ゼミでのさまざまな人との意見交換は論理
的思考をトレーニングする機会となり、研究を魅力的
かつ正確に説明する力をつけることにもなっていまし
た。苦労はありましたが、今はこのプロセスに大変感
謝しています。また、これまでに多くの研究の仲間を
横断的に作る機会に恵まれ、そのネットワークが研究
を行っていく上での大きな支えとなっています。
学生さんには、目の前に存在する患者の悲しみや辛
さの本質を理解し、直接的なケア提供や臨床的視点を
持った研究を進めていく力を身に着けて欲しいと思っ
ています。学ぶことの面白さを共に分かち合い学生さ
んと共に学び続けたいと考えています。
これまでに魅力的な指導者や研究者の先生方に恵ま
れ、傍でその思想に触れることができたことに大変感
謝しています。次は自身の研究室を創出していく立場
になりました。修士課程に入った当時私が感じたよう
に、研究の面白さが実感でき、学生さんが当研究室を
選択したことをメリットとして感じてくれるような価
値のある研究室を育てていきたいと痛切に感じています。
教員としても、研究者としても未熟者でございます。
皆様のご指導とご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願
い申し上げます。
臨床看護学講座(老年)
准教授
荻田 美穂子
経
歴
2010年 4 月 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
博士後期課程入学
2012年 4 月 京都光華女子大学健康科学部看護学科 講師
(〜2015年 4 月)
2013年 3 月 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
博士(人間健康科学)取得
2015年 6 月 京都光華女子大学健康科学部看護学科
准教授(~2017年 3 月)
2017年 4 月 滋賀医科大学医学部看護学科臨床看護学講座 准教授
1999年 3 月 日本バプテスト看護専門学校卒業
1999年 4 月 京都大学医学部附属病院 神経内科・老年内科病棟
看護師(~2003年 3 月)
2005年 4 月 滋賀医科大学大学院医学系研究科看護学専攻
修士課程入学
2007年 3 月 滋賀医科大学大学院医学系研究科看護学専攻
修士(看護学)取得
2007年 4 月 京都市立看護短期大学 助教(~2008年 3 月)
2008年 4 月 滋賀医科大学医学部看護学科臨床看護学講座
助教(~2010年 3 月)