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勢多だより

No. 108

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新任教員紹介 | 

New teacher introduction

このたび2017年 7 月 1 日付けで医療安全管理部の准

教授を拝命致しました。私は金沢大学を卒業後、北陸

3 県で循環器内科医として勤務しておりましたが、何

れは出身地である滋賀県の地域医療に貢献したいとい

う気持ちが年々募るようになっておりました。ご指導

いただいた金沢大学第二内科馬渕宏教授の退官と同時

期に堀江教授からお声をかけていただき、2005年に地

元守山市に帰郷し、以後10年間、本学循環器内科の一

員として、3 D病棟、カテーテル室、手術部、救急部、

ICUなどの部門で様々なスタッフの皆様の協力を得な

がら循環器のチーム医療に貢献させていただきました。

また、金沢にいた頃から取り組んでおりました遺伝性

不整脈の研究を、堀江教授の研究室で続けさせていた

だきました。生理学研究所、パリ大学への留学や、多

くの大学院生と仕事をする機会もいただいたことで、

私自身多大なる刺激を受け、研究意欲の向上やその後

の医療観を形づくる重要な経験をさせていただきました。

昨年医療安全管理部での仕事のお話を松末病院長、

田中副病院長、手塚前副部長からいただきメンバーと

なってから 1 年が経ちましたが、現在も周りの人のサ

ポートを得つつ、日々試行錯誤しながら悪戦苦闘して

おります。というのも医療安全は歴史の浅い分野であ

るが故に、分野のアウトラインを学ぶための、内科学

でいえばハリソン内科学のような成書と言われるよう

な書籍がありません。そこで、関連のある書籍を自分

で探して読んだり、講演会に行って他大学の医療安全

管理部の先生方と交流を持つことを通じて自身の中に

循環器内科に並ぶ医療安全の引き出しを作ることが最

優先であると考えて現在取り組んでおります。今では

手術室などで利用されることが常識となったタイムア

ウトを考案したアトゥール・ガワンデ先生は、もとは

麻酔科医であります。私も今まで経験してきた臨床医

としての視点を忘れることなく、滋賀医大の医療環境

に合った、独自の医療安全を突き詰めたいと思います。

当初、医療安全は病院を「管理する」部門だと考え

ておりましたが、医療安全への学びを深めるうち「教

育する」部門だと考えるようになりました。院内の健

全で安全な運営のために職員が常に医療安全の意識を

持って業務を行えるように有効な働きかけをすること

が使命であると考えております。一例を挙げるとカル

テを論理的に書くことや患者から適切にインフォーム

ドコンセントをとることなど、医師としての基本所作

を身に着けることが医療安全を意識する前にまず必要

なことであり、医療経験のない医学生にこそ、医師と

しての根本的な心構えとして上記の基本所作の重要性

をしっかり学んでもらえるような教育をしてまいりた

いと考えております。滋賀医大の医療の質の向上のた

め、さまざまな部署と連携し、滋賀医大一丸となって

良質な医療を提供できるよう、若輩ながら全力で取り

組んでまいる所存ですので、何卒ご指導ご鞭撻賜りま

すようよろしくお願いいたします。

医療安全管理部

准教授

伊藤 英樹

2012年 7 月 滋賀医科大学 呼吸循環器内科 学内講師

2016年 7 月 滋賀医科大学 医療安全管理部 講師

2017年 7 月 滋賀医科大学 医療安全管理部 准教授

1996年 3 月 金沢大学医学部卒業

1996年 4 月 金沢大学医学部付属病院 第二内科入局

1999年 4 月 済生会金沢病院 内科

2000年 4 月 金沢循環器病院 循環器科

2002年 2 月 金沢大学大学院 医学研究科修了

2003年 4 月 自然科学研究機構生理学研究所 液性情報研究部門

       研究員

2004年 4 月 石川県立中央病院 循環器内科 医長

2006年 4 月 滋賀医科大学 呼吸循環器内科 助手

2007年 4 月 滋賀医科大学 呼吸循環器内科 助教

2011年 2 月 パリ第 6 大学 医学部心臓遺伝学研究部門 研究員