合同懇談会


2004年3月のセミナー
  • 話題提供者:豊田 太先生
         (生理学第二講座)
  • 演題   :マウス心筋培養細胞(HL-1細胞)の急速活性型遅延整流性K+電流(IKr)の解析
  • 日時   :3月17日(水)午後5時から
  • 場所   :教官ロビー(基礎棟2F)
<講演要旨>
IKrチャネルは多くの哺乳類の心筋細胞に発現している遅延活性型のK+チャネルのひとつで,活動電位の再分極を促進させる重要な電流系である.このチャネルのメインサブユニットであるHERG (human ERG) 蛋白の発現をコードする遺伝子変異により,活動電位の再分極相の遅延や致死性不整脈の発生を特徴とする遺伝性QT延長症候群が誘発されることが知られている.また,このK+チャネルは種々の薬剤によりブロックされ,後天性の不整脈の原因となることも明らかにされている(抗アレルギー剤であるterfenadineはIKrのブロック作用により不整脈誘発性をもつため発売が中止された).しかし,このように心筋の電気活動に重要な役割をはたしているIKrチャネルに関して,まだ十分に解明されていない点もある.例えば,Xenopus oocyteに導入したHERGチャネルの電気生理学的もしくは薬理学的特性は心筋細胞のIKrチャネルにほぼ近いが完全に同じでない.このことは,ヒト心筋のIKrチャネル蛋白はHERG蛋白とその機能を修飾する何らかのアクセサリー蛋白が会合して構成されている可能性が考えられているが,それについては明らかにされていない.
 HL-1細胞はサルのSV40ウィルスのT抗原を組み込んだトランスジェニックマウスの心房組織から分離された細胞株で,現在,in vitroで継代培養可能な唯一の心筋細胞である.この細胞は,自発性興奮(収縮)などの成マウス心筋細胞でみられるの多くの特性・機能を維持しており,心筋細胞のイオンチャネル研究に適した貴重な細胞系であると考えられる.我々は,HL-1細胞にパッチクランプ法を適用し,IKrチャネルの電気生理学的ならびに薬理学的特性について検討を行った.今後,HL-1細胞を用いてIKrチャネル蛋白の構成サブユニットの検討やMERG(mouse ERG)遺伝子の生理機能について研究を発展させたいと考えている.今回のセミナーではHL-1細胞におけるIKrチャネル蛋白の機能解析についてこれまでのデータを紹介して,今後の研究の方向性・発展性について皆さんのご意見をお伺いしたい


合同懇談会は滋賀医大で講座の枠を超えた研究者同士の交流と各自の研究をさらに発展させることを目的として研究者有志で立ち上げたセミナーです。微生物学講座のメンバーも設立当初から参加しています。
形式張らないフリーなディスカッションを」をモットーに、毎月1回参加者の一人が話題提供者になり、自分の研究内容、進捗状況や直面している問題点などを発表します。その話題を元にして他の参加者が自由にディスカッションを行います。

ちなみにセミナー終了後は、しゃべり足りなかった人たちが集まって一緒に街に繰り出しては、うまいものを食べ、うまい酒を飲み、ディスカッションの続きも(一応、多少は)やりながら、互いに親睦を深める、というのが恒例行事になってます。

このセミナーを通じて、参加者が他分野の研究の最前線に触れる機会になるのはもちろん、話題提供者の研究のブレイクスルー、研究者間のテクニカルトランスファーや共同研究などにもつながって参加者全員がハッピーになる、そんなセミナーを目指しています。

現在のところ、癌遺伝子/癌抑制遺伝子やイオンチャンネルなど、いろいろな遺伝子の機能解析とプロテオミクスなどが主な話題になっています。興味と関心のある人ならば誰でも結構、飛び入り大歓迎。基礎・臨床・学生・教官を問わず、広く皆様の参加をお待ちしています。

これまでの活動
  • 第1回:湯浅 健 先生 (野洲病院、泌尿器科)
    Isolation and identification of sixth member of PKD gene family PKD1L1 in human: Sequence, expression and chromosomal localization.
  • 第2回:丁 維光 先生 (生理学第2講座
    心筋イオンチャネルの機能と細胞内物質による調節機構
  • 第3回:影山 進 先生 (泌尿器科学講座
    プロテオミクスによる尿路上皮癌における癌性変化の検索
  • 第4回:旦部 幸博 先生(微生物学講座
    MALDI-PMF法による癌抑制遺伝子Drsと相互作用するタンパクの検索とDrsのアポトーシス誘導活性
  • 第5回:(合同懇談会忘年会)
  • 第6回:茶野 徳宏 先生(滋賀医科大学附属病院検査部/科学技術振興事業団、さきがけ研究21)
    RB1遺伝子の発現調節因子RB1CC1とヒト疾患
  • 第7回:松本 武洋 先生(呼吸器循環器内科:心不全実験グループ)
    心不全進展過程におけるアンジオテンシンII産生系としてのキマーゼの意義
  • 第8回:礒野 高敬 先生(実験実習機器センター)
    プロテオミクスによる腫瘍マーカーの探索と臨床応用
  • 第9回:尾松 万里子 先生(生理学第二講座)
    心不全褐色脂肪細胞および白色脂肪細胞におけるP2受容体の機能:細胞内Ca2+濃度調節,細胞運動及び細胞分化における役割
  • 第10回:原口 清輝 先生(微生物学講座)
    マウス初期胚におけるRNAi〜ホ乳動物体細胞との比較〜
  • 第11回:湯浅 健 先生(京都大学輸血細胞治療部)
    polo-like kinase-1 (PLK-1)遺伝子を分子標的としたsiRNA治療法の開発をめざして
  • 第12回:相見 良成 先生(分子神経科学研究センター)
    コリン作動性であると思われる知覚神経について:pChATウラおもて
  • 第13回:井上 寛一 先生(微生物学講座)
    アポトーシスと癌: Drs 遺伝子による新規アポトーシス誘導径路と癌化抑制
  • 第14回:豊田 太 先生(生理学第二講座)
    マウス心筋培養細胞(HL-1細胞)の急速活性型遅延整流性K+電流(IKr)の解析
  • 第15回:道家 智博 先生(循環器内科)
    心不全に対するプロテオーム解析
※セミナーの内容についてはそのつど滋賀医大のメーリングリストを使ってお知らせしています。
 このページにも決まり次第掲載していく予定です。



この件に関する質問などは、合同懇談会世話人、井上(微生物)、礒野(実験センター)まで連絡下さい。

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