どのように治療するのか？
基本的には手術にて嚢胞を取ってしまいます。大きさや出来た位置により
局所麻酔、全身麻酔を使い分けます。取った後は組織を病理組織検査に出し、
その組織がどのようなものであるかを調べます。一般的に予後は良好ですが、
中には再発率の高いものがあり、注意が必要です。

疑わしい場合どうすればいいのか？
まず、お近くの歯科医院を受診され、一度診断を受けて下さい。
その上で必要であると判断された場合、紹介状を担当の先生が書かれ、
口腔外科を受診していただくようお話をされることがあります。

　(歯根嚢胞)　比較的大きなもの
　　　
　　　　　　(写真１)　　　　　　　　　　　　　　　(写真２)

(粘液嚢胞) 　　　　　　　　　　　　　　(ガマ腫)
　　　

　　　　　(写真３)　　　　　　　　　　　　　　　　(写真４)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

＜当科の嚢胞治療の特徴＞

顎骨嚢胞が大きくなれば、場合によっては嚢胞を摘出するだけでなく、原因となった歯を抜かなければ
ならないことがあります。
歯を抜いてしまうとその部位の顎骨は欠損してやせてしまいます。
顎骨欠損は、その後の義歯や、最近多く行われている歯科インプラントといった歯の修復治療を著しく
困難なものとし、審美的形態的問題のみならず、発音や摂食といった基本的な口腔機能に大きな影響を
与えます。

このため、顎骨の欠損を再建することは非常に重要な問題となります。

そこで

当科では骨の治りを促進し、良質な骨を作るために創傷治癒促進ならびに骨形成促進作用のある
骨髄細胞やＰＲＰ（多血小板血漿）と呼ばれる成分を、嚢胞を摘出した部位に移植する治療を行っています。
これは患者様ご自身から少量の採血等で得られるものであり、ウイルス感染性などの危険も少なく、
きわめて安全な成分です。

これにより

嚢胞のため歯を抜いてしまった部位に、インプラント治療をはじめとするより良い歯の修復治療を行う
ことが可能となります。

骨髄細胞・ＰＲＰを用いた顎骨嚢胞治療

　　　　　　　
嚢胞摘出直後　　　　　　　　　　　　　　　　　　　嚢胞摘出９ヵ月後

手術直後のレントゲン像では、黒い円形の骨の欠損部（左写真黄色矢印）がはっきりと認められますが、
手術後わずか９か月で骨の欠損部は周囲の骨とほとんど変わらない、良質な骨に置き変わって治癒しています。

当科では研究分野においても、骨髄細胞・ＰＲＰの研究を積極的に行っております。