唾液腺は2つに大別できます。大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)と小唾液腺(口唇腺、頬腺、口蓋腺、舌口蓋腺、
舌腺)です。唾液腺疾患の中でも頻度の多い病変を紹介します。 

唾石症
 ほとんどは顎下腺が多く、舌下にある唾液の出る開口部までに(ワルトン氏管)管内部に石ができ詰まる疾患です。
この石が大きくなると、顎下腺からの唾液を流す管に(ワルトン氏管)石が詰まってしまうため、食事のたびに顎の
下が痛い(唾疝痛)、顎下腺部の膨れ等の症状が出現します。自然に排出しない場合は(小さい石の場合は自然に排出
するが)手術にて石を取りだします。手術は石の場所によって口の中あるいは口の外に切開を入れて石を摘出します。

矢印は唾石を示す。

                   
流行性耳下腺炎
 ムンプスウイルス感染によって発症する疾患で属に言う『おたふく風邪』のことです。感染経路は唾液(飛沫感染)
あるいは接触です。主な症状は両側の耳下腺部が腫れです。この疾患は発症から引くまでは約1週間位です。
(個人差はあります。)また合併症として,睾丸炎または卵巣炎・漿液性髄膜炎があります。

シェーグレン症候群
 自己免疫疾患のひとつで中年の女性に多くみられ、耳下腺部の腫れがみられます。症状として目の乾燥、口の乾燥が
みられます。中には、リウマチ疾患を合併する場合があります。治療としては、口腔乾燥に対し、人工唾液(サリベート)
や口腔乾燥状態改善薬(サリグレン)等を処方します。

その他
 他にも唾液腺の腫瘍(悪性、良性)や唾液腺の炎症等の唾液腺疾患があります。