放射線治療ってどんなもの?

 これまでの方々は、旅行記とかが多かったと思いますので、ここでちょっと放射線科の業務について、特にその業務の中でも多くの方にあまり知られていない放射線治療について話してみたいと思います。
ここを見て下さっている方の中で、特に研修医・医学生の方々に向けてお話してみたいと思います。
 放射線治療は、画像診断と関係あるのですが、ちょっと違ったところがあります。まずは、日々の診察についてです。放射線科なのに診察?と思った方もいるかもしれませんが、放射線治療でも外来・入院患者さんがいます。なので、理学所見はもちろん、入院患者のマネージメント、輸液管理、投薬など、他診療科と同様に行います。以前、輸液内容を考えていたら、研修医の先生にビックリされたことがありました(笑)。放射線治療の対象は、頭の先〜足の先までの癌(一部、良性疾患も放射線治療の対象です)なので、患者さんの診察は、聴診器はもちろんの事、打鍵器、音叉、医師によっては額帯鏡、そして、クスコ式膣鏡も使います。
 なぜ、膣鏡を?と思われる方が多いと思います。実際、僕も研修医の時はそう思っていました。 地域の医療を支える基幹病院では重要な癌治療で使われます。それは新聞等で目にされることが多くなってきた子宮頸癌の治療です。放射線治療をする際、膣鏡を使って、写真1の様な器具を膣内、子宮内に挿入します。この器具の中を小線源が移動して腫瘍に対して照射を行います(内照射、RALSと言われるものです)。従来の方法はどんな患者さんでも一律の方法でやっていたそうですが、近年、器具挿入後にCTを撮影し、子宮の大きさ・角度、子宮と膀胱・直腸・小腸との距離等を考慮して、直腸や膀胱等の線量を軽減しつつ、腫瘍に線量を集中させる方法が行われています。実は、滋賀医科大学病院放射線科では、この方法を約25年も前から行っており、直腸や膀胱障害を軽減させる治療を行って参りました。

 RALSの器具挿入は、既存方法では強い痛みと時間がかかることがあります。先ほどの写真1の器具ですが、実は滋賀医科大学特製のものです(これも約25年前に考案されました)。写真2は通常器具なのですが、何か足りない感じがしませんか?まずは、スペーサー(図1矢印)がありません。スペーサーの後面厚によって直腸線量を下げたり、子宮内に挿入する器具を固定したりするのが主たる目的です。通常法ではこれがないので、ガーゼパッキングを膣内に行います。これが時間のかかる主たる原因で、患者さんの痛みも強いものとなることが多いそうです。当院ではスペーサーを使う事で早く器具挿入ができ、患者さんへの負担の軽減、直腸障害等の軽減も図っています。その他の器具も特注品で、CTにてartifactを引かない素材にしたり、子宮に挿入する器具も金属製ではなくポリエチレン製にする等、工夫は挙げたらキリがありません。。。器具の詳細は、Suyama S, et al. Cancer. 1998 Nov 1;83(9):1956-65. を。(現在の当院での方法はバージョンアップしていますが・・)。
 放射線治療の一分野についてしかお話しできませんでしたが、外照射でも先進的な方法(体幹部定位、IMRT等)を加えながら、様々な癌に対する放射線治療を行っており、治療の一翼を担っていると思っています。研修医の先生や医学生の方々にちょっとでも放射線治療で患者さんを治す医師になるのもいいかな〜とか興味を持って(放射線治療医の存在を知って?)頂いたら、うれしいです。

by Ski-Daisuki

editor’s comment
RALS後の患者さんの効果判定のMRIで、腫瘍が劇的になくなっているのを見るとテンションあがりますよね。先生も何かオリジナル照射方法編み出してください。