魔法の洗濯機

「魔法の洗濯機」という言葉をご存じでしょうか。最近読んだ本に出てきたのですが、スウェーデン出身の医師・公衆衛生学者であるハンス・ロスリング氏がTED Conferenceというプレゼンテーションの大会で発表したものであり、「産業革命におけるもっとも偉大な発明は、洗濯機だ」というものです。もちろんきれいに洗濯できるからという簡単な話ではありません。洗濯機のなかった時代には洗濯は家事のなかでも重労働の部類に入り、その他の家事もほとんど手作業で行っていたため、生きていくための仕事だけで一日の大半が費やされていました。ロスリング氏の母親ははじめて洗濯機を使ったときに「洗濯機に洗濯物を入れたから、あとは洗濯機が勝手にやってくれる。その間に図書館に行くことができる。」と言いました。つまり生きていくための労働から解放され、知的、文化的なことに使える自由な時間を作ってくれる、これが洗濯機の魔法といっているのです。

今では洗濯だけでなく、ほとんどの家事がボタン一つででき、お掃除ロボットがあれば勝手に掃除もやってくれ、便器のフタまで自動的に開いてくれます。またインターネットの普及により家にいながら調べものができたり生活に必要なものを取り寄せたりすることもできます。それにより知的・文化的活動に費やせる時間は昔に比べ圧倒的に多くなっているはずです。しかし実際にはインターネットやコンピューターの発達により日常生活が便利になった反面、どこでも仕事ができるようになり、家へ帰ったあとも残りの仕事やメールのやりとり、あるいはくだらないSNSやネットサーフィンに時間を取られ、ゆっくり好きな本を読んだり子供に絵本を読んであげたりといった文化的な時間を過ごすことがほとんどできていないのが現状ではないでしょうか。それでは洗濯機の無かった時代と同じということになります。

「魔法の洗濯機」によって得られた時間は先人たちの長い努力と知恵の結晶によって獲得できたものであり、この時間を有効に使うことこそが先人たちの苦労に報いることになるのではないかと考え、帰宅後仕事や家事をさぼって子供と遊ぶための言い訳にする私なのでした。

by Wright

editor’s comment
先生のご意見にハゲドウです。そんなにメールも来ないのに、スマホ命です。それにしても洗濯乾燥機は最高ですよね〜