文明開化

 今日はユキチが3人ついていると豪語している学生がいた。好きなタイプは福沢諭吉と冗談を言っている女性タレントがいた。福沢諭吉の肖像は1万札に印刷されており、日本人なら誰でも知っており、ありがたい存在の象徴であろう。
 中学生の歴史の教科書でこのように記載されていた。『著書「学問のすゝめ」の「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」の言葉で知られた福沢諭吉は、慶応義塾大学を創設した。』中学生であった私は、日本で平等主義を唱えた最初の人物なのだろうと思いつつも、試験対策のために取り敢えず、丸暗記をした。
 福沢諭吉は豊前国中津藩(現在、唐揚げがお得意な大分県中津市)の藩士であった。蘭学者、啓蒙思想家であり、多数の著書を残した。歴史の教科書にも出てくる「学問のすゝめ」(明治5〜9年に連載された)はタイトルだけを知っていたが、詳細はあまり知らなかった。原文は古典のように読みにくいため、訳本を読んでみることにした。
 有名な冒頭の一節には、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」と書かれている。基本的人権の初期概念に当たる内容である。解釈を誤れば、勉強をしなくても平等であると捉えられるかもしれない。しかし、その後には「学問をして物事をよく知っている者は、社会的地位が高く、豊かな人となり、学ばない人は貧乏で地位の低い人となる」とも書かれている。これは明治維新により封建から近代国家へと移り、四民平等が実現された歴史的背景が母体となって生まれた思想と考える。自分次第で希望する職業に就けるようになった当時の嬉しさは、それが当然となった現代人には想像できないだろう。
 基本的人権は生まれながらに備わっているが、どのような人物になるかは学問次第だという主張である。特に後半の内容が重要であり、前半の一節のみでは、中学生の頃の私のように、単なる平等主義と捉えられるかもしれない。私が中学生の頃から「ゆとり教育」が始まっていたのかもしれない。
 その他にも現代社会に通ずる思想が多数記されていた。「学問とは単に書物を読むのではなく、実用的でなければならない。」、「文明は先人たちの英知の集大成である。不自由なく衣食住を得ただけで満足し寿命を全うするのではなく、人たるもの文明の進歩に貢献すべきである。」特にこの2つは印象深く、感銘を受けた。
 およそ140年前に書かれた著書であるが、1万札の肖像となるだけあって、現在においても道標となる内容が多い。そういえば、2000円札って見なくなった。ちなみに2000円札の4割は沖縄で流通しているらしい。本土復帰前にドルが使用されており、「2」を含む紙幣に慣れているためのようだ。


by 散切り頭

editor’s comment
この文章のおかげで、学問のすゝめを通読したようなものです。ありがとうございます。ユキチが1人でも財布に入っていると、コンビニなどで不要な雑誌・お菓子類を無駄遣いして、気づくとユキチが不在になる現象を何とかしたいです。