花燃ゆ頑張れ!!

 大河ドラマ「花燃ゆ」の視聴率の低さが問題となっている。恐らくNHKにとっては大問題なのだが、私自身はこのドラマは、面白く見ている。
 何と言っても大学入試で世界史、日本史を選ばず、理系を理由に授業も適当にごまかしてきていた歴史音痴の私が、ようやくこの5年間程度の大河ドラマは欠かさず見て、部分的ながら日本史に興味と知識を得ることが出来たのは有難い。特に「篤姫」「龍馬伝」「八重の桜」最近のこれらの大河ドラマは、いずれも明治維新という激動の時代が舞台であり、同一人物でも描き方により視聴者への人物像が大きく変わるのは驚きである。今回のドラマでは前半の主人公は吉田松陰だった。松下村塾という場所で、若者を集め、攘夷をアジテートして、幕府転覆を試みたこの人は、恐らくは江戸幕府にとってはテロリスト以外の何物でもなかったのだなと思って見ていたら、現政権は松下村塾の世界遺産への登録に成功した。伊藤博文が松陰の弟子なのだから、明治政府以降の政治家は、松陰を偉人にするしかなかったのだろう。
 今回の「花燃ゆ」の低視聴率は、私自身は製作者の「マーケティング・ミス」が原因だと思っている。歴史音痴の私には詳しくは不明だが、どうも歴史の描き方が従来の大河ドラマとは違っていて、コアな歴史あるいは大河ドラマのファンが離れたこと、これ自体は製作者側の予想範囲だったかもしれないが、そこを補うために、登場人物にイケメン若手俳優を多く使い、そして主人公にはアイドルとの違いが分からないような可愛い井上真央さんを起用して、新たなファン層を獲得できると考えたが、このあたりが失敗に終わったためのような気がしている。
 しかし、視聴率が悪いからドラマの質まで評価していいのだろうか。この作品、実は最初からこれまでの大河とは異なる切り口を狙った可能性がある。確かに歴史音痴の私でも、井伊直弼の桜田門外の変が5分程度、銃声一発で展開され、史実としては全く不十分な描き方で歴史のファンは全く納得がいかなかっただろう。しかしこのドラマは吉田松陰の妹である文というひとりの女性が明治維新を駆け抜ける物語なのだ。従来の大河ドラマが歴史書の書かれた物語とすれば、今回はこの時代の歴史には上がってこない女性が主人公なのである。吉田松陰は明治維新の功労者で偉人かもしれない。しかしそこにはテロリストを家族の一員に生んだ周囲の悲しみや苦悩が間違いなくあった筈である。文は夫である久坂玄瑞が蛤御門の変で自害し、名前も変えて大きく生き方を変えていく。
 いよいよ明治維新が始まり、ひとりの女性がこの時代をいかに生きていくか、最後まで見てからこのドラマの評価はしてみたい。真央ちゃん頑張れと歴史音痴のおっちゃんは応援しているのだ。


by 歴史音痴おっちゃん

editor’s comment
「歴史音痴おっちゃん」先生から、本コーナー開設以来、初の、感動的なinvited articleです!大河ドラマに先生がはまっておられるとは驚きでした。滋賀県は社会科で習った地名がたくさんあってちょっと嬉しいですよね、中山道とかふつうに車で通れます。