ホーム
講座紹介
ご挨拶
スタッフ紹介
現在行っている新しい治療法、診断法
研究について
国際学会等での受賞歴
後期研修プログラム
医学生のための国試画像問題対策症例集
入局情報
滋賀医科大学放射線医学講座説明会のお知らせ
学会・研究会の予定
研究協力のお願い
リンク集
郵便番号520-2192滋賀県大津市瀬田月輪町 滋賀医科大学放射線医学講座(電話)0775482288(ファックス)0775440986
Depertment Profile

講座紹介

現在行っている新しい治療法、診断法

〈放射線治療部門〉

 手術、化学療法とならび放射線治療はがん治療の3本柱のひとつであり、集学的治療には欠かすことのできない治療法です。放射線治療には体外から放射線を照射する外照射と、放射線を出す小さな線源を病巣または近傍に入れて体内から照射する小線源療法(内照射)があります。いずれの治療も、同じ局所療法である手術と比較した場合、(病巣を切除せずに治療するため)機能・形態温存の点で優れている、全身への負担も少ないので基礎疾患・合併症を有する患者さんや高齢の患者さんにも適応できる、といった特長があります。しかしながら、従来の放射線治療は局所制御の点で手術に劣ることが少なくありませんでした。なぜなら、実際には病巣の周辺に存在する正常組織(重要臓器)に重篤な障害を起こすことのない範囲で、病巣を治すことの出来る高線量の放射線を照射することが困難であったためでした。ところが、ここ最近、そのめざましい機械工学・コンピューター技術の革新に伴い、通常の放射線治療においても病巣に対する線量集中性の高い放射線治療が可能になってきました。さらに、進歩した化学療法との併用などの方法で、がんの種類によっては手術と同等またはそれ以上の治療成績が報告されるまでになっています。
 当科においても、医学部付属病院にて通常の放射線治療からいわゆる高精度放射線治療まで多岐にわたった治療を提供しています。また、当大学医学部付属病院は滋賀県下で唯一の日本放射線腫瘍学会(JASTRO)認定施設です。つまり、放射線治療専任スタッフ(放射線腫瘍学会認定医を含め、複数の放射線治療を専任とする医師、放射線治療専門の診療放射線技師)が常時勤務し、放射線治療についての十分な教育・指導体制が整った、また学会の要求する設備・治療内容の基準を満たしている施設ということになります。高精度放射線治療・密封小線源永久挿入療法も行っており、以下に紹介いたします。

頭蓋内病変に対する定位放射線治療

 定位放射線治療とは、病巣周辺の正常組織(重要臓器)に重篤な障害を起こすことなく治療効果を高めることを目的に小さい病巣に対して大量の放射線を短期間に集中して照射する特殊な放射線治療です。この治療は正確な位置精度が要求されますので、近年の治療技術と画像診断の進歩により初めて可能となりました。具体的には、CT・MRIなどの画像情報をもとに病巣の位置・形状・大きさをコンピューターの3次元座標軸上で正確に決定、精度の高い標的固定をした上で行われる高精度放射線治療です。頭蓋内病変に対する定位放射線治療においては、直径3cmぐらいまでの転移性脳腫瘍、動静脈奇形、髄膜腫、聴神経腫瘍などが主な適応になります(これより大きな病巣は物理的に同治療法では治療困難となり適応外となります)。これにはガンマナイフ(治療装置)を用いて行う方法とリニアックという治療装置を用いて行う方法(エックスナイフ)とがあります。両方法とも頭部固定をした上で放射線(ガンマ線またはX線)をいろいろな方向から病巣に集中させて照射するため、病巣周辺の正常脳組織に照射される線量は分散され極めて少ない量となり、その結果、正常脳組織に重篤な障害を起こすことなく手術に匹敵するような治療が可能となります。当科では1999年よりリニアックを用いた頭蓋内病変に対する定位放射線治療を行っています。

体幹部病変に対する定位放射線治療

 体幹部病変に対しての定位放射線治療は、その優れた治療効果・安全性が国内外から数多く報告されてはいるものの、最先端の治療法であるため、かつては一部の施設においてのみ高度先進医療として行われていましたが、2004年4月からは保険適応となっています。現在では早期の原発性肺癌、転移性肺癌、肝癌などに定位放射線治療が行われており、早期肺癌の局所制御率は90%と手術に匹敵する成績が報告されています。当科では、2003年より肺癌に対する体幹部定位放射線治療を行っています。

強度変調放射線治療(IMRT):Intensity Modulated Radiation Therapy

 これまで放射線治療においては病巣に放射線の量(線量)を集中させる様々な方法が追究されてきました。しかしながら従来の方法では、病巣と正常組織(重要臓器)が複雑に近接する場合、病巣だけに十分な照射をすることはできませんでした。これを克服するために強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy:IMRT)が開発されました。したがって、IMRTは現在の放射線治療の中でも最先端の治療法と言えます。IMRTでは放射線治療装置に内蔵された金属スリットを高速で動かすなどの最新のテクノロジーを用いて照射野内の放射線の強度を変化(変調)させて照射を行い、病巣の形に凹凸があってもその形に合わせた線量分布が作ることができます。つまり、病巣の治癒線量と周辺の正常組織(重要臓器)の耐容線量(または許容線量)を考慮し、周辺の正常組織(重要臓器)に重篤な障害を起こさずに病巣に治癒線量を照射する理想的な放射線治療と言えます。IMRTは本邦でも2000年頃より頭頚部領域の癌や前立腺癌に対して行われていますが、最先端の治療法であるため一部の施設においてのみ行われています。当科では2002年より限局性前立腺癌に対するIMRTを行っており、2006年11月には厚生労働省から先進医療としての認定を受けています。

密封小線源永久挿入療法

 小さな線源(放射線物質)を病巣に挿入して行う放射線治療が小線源治療です。中でも、密封小線源を前立腺内に複数個埋め込んで前立腺癌を治療する小線源治療(密封小線源永久挿入療法)は既にアメリカにおいて15年以上前から確立されており、年間5万人を越える人がこの治療を受けています。比較的早期あるいは低リスクの限局性前立腺癌では、この密封小線源永久挿入療法と手術療法が一般的な治療法となっています。密封小線源永久挿入療法は、手術療法と比較して、性機能(勃起能)や尿失禁の問題が少ない、体への負担が軽い、治療期間が短い(数日間の入院)などのメリットがあります。具体的には、まず下半身を中心とした麻酔(仙骨麻酔)をした後に、直腸より挿入した超音波装置で確認しながら前立腺内に複数本の針を穿刺挿入します。次にその針の中を通して非常に弱い放射線(ガンマ線)を出す小線源(長さ4.5mm、直径1mm以下/ 純チタン製カプセル)を前立腺内に50〜100個挿入します。線源の個数、配置などは事前に超音波検査で得ておいた前立腺のデータ(容積、形状など)よりコンピューターで3次元的に解析し決定します。手技終了後に体内(前立腺内)に挿入された線源から体外に放出されるガンマ線は非常に弱く、周囲の人に与える影響は殆どありません。実際には自然界で受けている放射線量と比べても低いことがわかっていて、治療後も普段通りの生活が可能です。本邦では医療法、放射線障害防止法などいくつかの法律的な問題からこの密封小線源永久挿入療法が施行できない状態が長く続いていましたが、2003年になってようやくヨードシード小線源を用いた同療法が認可されました。当科においても2004年より準備を進め、2005年より泌尿器科と協力して密封小線源永久挿入療法を行っています。

〈IVR部門〉

難治性潰瘍に対するイミペネム/シラスタン(チエナム®)塞栓

 難治性潰瘍には様々な原因がありますが、感染や血管炎、膠原病などの原因がなく、特発性と考えられているものが存在します。その中には、microAVMが原因となっているものがあり、AVMを治療することで、潰瘍が改善していくことが期待できます。これらの塞栓には、microAVMのサイズに適した塞栓物質を用いることが必要ですが、残念ながら市販されている塞栓物質には、適度な大きさのものがありません。しかし、抗生剤であるイミペネム/シラスタン(チエナム®)の粉末が、10-75μmであり、塞栓物質として使用する報告が見受けられます。このサイズは、microAVMの血管径と合致しており、microAVMの塞栓に適していると考えられます。詳細な理由は不明ですが、microAVMを治療することにより、今まで治癒に至らなかった難治性潰瘍が、肉芽形成して治癒することが期待されます。
 当科でも皮膚科の協力のもとで、イミペネム/シラスタンを用いて、microAVMが原因と考えられる難治性潰瘍に対して塞栓を行っており、難治性潰瘍を有する患者さまの治療、日常生活の質の向上に貢献したいと考えています。