<MRI造影検査を受けられる患者様へ>
 検査を受ける際に、小さな病変を見つけたり、病変の性状を詳しく調べたりするために、検査中に造影剤と呼ばれる薬を静脈から投与することがあります。この造影剤は病気の診断に大変役にたつもので、また病気の治療をする際に重要な役割をします。しかし他の薬剤と同様に、副作用を完全に回避することは困難なのです。現時点で造影剤が患者様に副作用を起こすかどうか調べる方法はありません。

 当施設においては、造影剤を患者様に静脈注射する際に、ご本人もしくは代理の方(患者様が未成年や意識障害のある方)の署名が必要となりました。
主治医もしくは担当医から造影剤を用いた検査の必要性と造影剤の危険性(副作用)の説明を受け、考慮したうえで同意していただく場合は腹紙の造影剤使用同意欄にご署名してくださるようお願いいたします。なお署名後も造影剤を用いた検査を拒否されても結構です。また署名がない場合は造影検査をお断りする場合があります。

以下に過去に報告されている造影剤による副作用は以下のとおりです。

ガドリニウム製剤

1.軽い副作用 吐き気、嘔吐、かゆみ、発疹、めまいなど 頻度は約0.05%〜0.4%です。1000人に4人以下です
2.重篤な副作用 呼吸困難、血圧低下、咽頭喉頭浮腫 頻度は25万人〜40万人に1人程度です

鉄製剤(SPIO)

副作用 腰背部痛、熱感、倦怠感、鼻出血、吐き気、かゆみ、発疹など 頻度は約0.2%〜0.4%以下です。1000人に4人以下です。基本的に治療の必要はありません。まれに注射部に色素沈着があります。

これらに対しては、いずれの合併症も起こらないよう慎重に検査を行います。もし合併症が生じた場合には、万全の体制で対応いたします。しかし以下の既往がある患者様はこれらの発生頻度が高く、症状が強くでる場合もあり、造影検査が出来ない場合もございますので検査前に必ず主治医、検査担当者に申し出てください。

○今までにMRI造影剤でアレルギー反応のあった方
○今までにヨード造影剤でアレルギー反応のあった方、もしくはヨード過敏症といわれている方
○気管支喘息の方、あるいはその既往のある方
○薬剤や食物によるアレルギー歴のある方
○鉄製剤を服用されている方
○ヘモクロマトーシスなどの鉄過剰症の診断を受けている方
○現在出血されている方

 また依頼内容(血管撮影など)によっては、短時間で造影剤を注射するために自動注入器を使用します。稀に血管外に造影剤が漏れることがあります。この場合、注射した部位の痛みや腫れを伴うことがあります。多くの場合はそのまま体内に吸収され問題はありません。しかし漏れた量が多い場合は極稀に外科的な処置が必要となる場合があります。このような合併症に対しても起こらないよう慎重に検査を行い、もし生じた場合には万全の体制で対応致します。

ご不明な点は、主治医、検査担当者または滋賀医科大学放射線部にお問い合わせください。
TEL 077-548-2655 (平日の午前9時〜午後5時)