強度変調放射線治療(IMRT)
Intensity Modulated Radiation Therapy


  IT時代の放射線治療の中でも最先端の治療と言えます。従来の放射線治療は照射野の形状や照射方向を最初に設定し、その後に病変や周辺の正常組織(または重要臓器)の線量分布を確認してきました。その上で、どれくらいの線量が照射できるのか、どれくらいの確率で治すことができるのか、どれくらいの確率で障害が合併するのかを予測してきました。 しかし、この方法では周辺の正常組織に重篤な障害を合併せずに病変に治癒線量を照射することは困難でした。それを解決するために考え出された方法が IMRTです。IMRTにおいては、病変の治癒線量と周辺の正常組織の耐容線量(または許容線量)を考慮した理想的な線量分布を設定した後に照射野の形状・ひとつの照射野内での照射線量の強弱などを治療計画装置に計算させる方法(Inverse Planning、逆問題解法)を採っています。この方法によれば今までは治すことが困難であった多くの病変が重篤な障害を出さずに治すことが可能となります。しかし現段階では計画されたIMRTの線量分布を実測して検証するため2週間程度の時間を要します。現在、本邦でIMRTは頭頚部領域や前立腺などの一部の病変に対して行われ始めたというような状況です。しかし、IMRTはまさに“放射線治療の中の放射線治療”、“人に最も優しい放射線治療”とでも言えるでしょう。これからが十分に期待できる治療です。当院においても新たに設置された最新式の放射線治療計画装置、照射装置によってこのIMRTが可能となり実施しています。


適応症例

頭頚部腫瘍、前立腺癌

強度変調放射線治療