定位(的)放射線治療

頭蓋内病変に対する定位放射線治療


 定位放射線治療とはCT・MRIなどの画像情報をもとに病変の位置・形状・大きさを3次元座標上で正確に決定(その誤差は2mm以内でなければならないとされています)した上で行われる放射線治療です。直径が3cm程までの病変が適応となり(これより大きな病変は物理的に同治療法では治療困難となり適応外となります)、ガンマナイフを用いて行う方法とリニアックを用いて行う方法とがあります。ガンマナイフとは半球状(ヘルメット状)に並んだ201個もしくは240個のコバルト60小線源から出るガンマ線を病変に集中させて照射する装置です。通常、金属製のヘッドリングで頭部を侵襲的に固定し治癒線量を1回で照射して病変を治療するため治療装置には“ナイフ”、またその治療方法には“定位放射線手術”という呼び名が付けられています。一方、リニアックを用いて定位放射線治療を行う場合は、病変部にX線を集中させるための特殊なコリメータ(絞り)を治療装置のX線ビームが出るところに取り付け、病変を中心にいくつかの円弧を描きながらX線を照射します。両方法とも放射線(ガンマ線またはX線)をいろいろな方向から1点に集中させて照射するため病変周辺の正常組織に照射される線量は分散され極めて低いものとなり、その結果、正常組織に重篤な障害を合併せずに手術に匹敵するような治療ができます。当院では後者の方法を用いて頭蓋内病変に対する定位放射線治療を行っていますが、頭部の固定も侵襲的なものではなく、頭部固定用の樹脂製の面(シェル)とマウスピースを利用した非侵襲的な方法を採用しています。この場合、ガンマナイフのように1回の照射で病巣を治療する(これを“ガンマナイフ”に対して“エックスナイフ”とも呼んでいます)ことも可能です。正常組織の障害合併率をさらに低くするための分割照射(数回に分けて病変を照射・治療する方法でこれを“定位放射線手術”に対して“定位放射線治療”と呼んでいます)も可能です。


適応症例

脳腫瘍、動静脈奇形、髄膜腫、聴神経腫瘍