定位(的)放射線治療
体幹部病変に対する定位(的)放射線治療
治療装置はリニアックに限られます(ガンマナイフは頭蓋内病変用に考案・作成されたものであり、物理的に体幹部病変に対しては使用不可能)が、適応となる病変の大きさや照射方法は頭蓋内病変と同様です。頭蓋内病変に対する定位放射線治療は既に保険診療でも認められている優れた治療ですが、体幹部病変に対しての定位(的)放射線治療は、その優れた治療効果・安全性が国内外から数多く報告されてはいるものの、最先端の治療法であるため一部施設において高度先進医療として行われているのみです。それは、体幹部の固定法と呼吸などによる病変位置の時間的変動(このことから体幹部の場合は“定位放射線治療”ではなくて“定位的放射線治療”とも呼ばれています)など、頭蓋内病変に対する定位放射線治療においては殆ど問題にならないようなことが体幹部病変に対する定位(的)放射線治療においては問題となってくるからです。頭蓋骨のようにしっかりと固定できれば病変位置の誤差を許容範囲内にとどめることは容易なのですが、体幹部の場合はそこまでの固定は困難です。しかし、定位(的)放射線治療用の優れた体幹部専用固定フレームが開発され病変位置の誤差も許容範囲内(この場合の許容範囲とは2mm以内ではなく、周辺の正常組織に重篤な障害を合併しないで済む範囲)にとどめることが可能となりました。また、呼吸による病変位置の時間的変動に対してもいろいろな対策が考案されています。その内のひとつに体表に貼られた赤外線マーカーを検知器で追いながら呼吸による病変位置の変動に合わせて照射する方法があり、当院でもこの方法を採用し積極的に体幹部病変に対する定位(的)放射線治療を行っていく予定で現在、実験的に行っています。
適応症例
肺癌、肝癌