胆石症 

1.        はじめに

胆石症は、この胆汁のながれ道に石ができる病気です。胆嚢の中にできた石を胆嚢結石、胆管にできた石を胆管結石、肝臓の中の胆管にできた石を肝内結石といいます。石の種類は、成分によってコレステロール系結石と色素結石に分けられます。

日本人の胆石は、古くは色素結石がコレステロール系結石よりも多かったのですが、近年食生活の欧米化、すなわち脂肪摂取量の増加によって胆石保有率が増加するとともに、コレステロール系結石の割合が増加しています。

日本人の胆石保有率は15%前後(7人に1人)と推定されています。健康診断や人間ドック、特に超音波検査の普及により胆石が発見される機会が多くなっており、その大半は自覚症状がなく「サイレントストーン(無症状胆石)」と呼ばれ、胆石症患者の半数以上を占めています。

 

(1)  コレステロール系結石

コレステロールは胆汁の成分である胆汁酸とリン脂質(レシチン)から構成されるミセルと呼ばれる小粒子の中に包み込まれ溶存していますが、胆汁酸+レシチンに対するコレステロールの割合が多くなると過飽和となり、結晶として析出します。


(2)色素結石

大腸菌などの腸内常在菌の逆行性感染があると、その菌が放出するβグルクロニダーゼによって胆汁中のビリルビンが変化してカルシウムと結合しビリルビンカルシウムとして析出します。

 

 

2.        症状

(1)      胆嚢結石無症状のことも多いのですが、発作が起きると右上腹部に仙痛がおこり、右肩や背部に重い痛みを感じることがあります。胆嚢炎を合併すると発熱がみられ、痛みが増強します。

(2)      胆管結石上腹部の痛みに加えて、体が黄色くなったり、尿が褐色になったりします。胆管炎を合併すると発熱がみられ、ショックや意識障害を起こすこともあります。

(3)   肝内結石上腹部に鈍痛があることがあるが、あまり症状はありません。時おり、原因不明の熱発がみられることがあります。

 

3.        検査

色々な検査法がありますが、症状や石のある場所によっておこなう検査が変わってきます。検査法のいくつかを紹介します。

Ø       腹部超音波検査(エコー)

エコーと呼ばれる検査法で、外来でも簡単にできる検査です。皮膚にゼリーのようなものを塗って、プローブと呼ばれる携帯電話くらいの大きさのものを皮膚に当てて体内を観察します。図の中の広く光っているのが、胆石です。

Ø       DIC検査

造影剤の点滴をしてX線写真を撮る検査法です。古くからおこなわれている検査法ですが、最近はあまりおこなわれていません。この検査と後で説明するCT検査を組み合わせたものがよくおこなわれています。

 

 

Ø       CT検査

コンピュータ断層撮影という診断装置です。X線を使った検査法です。

 

 

 

Ø       DIC-CT検査

造影剤の点滴をしてCT検査をおこないます。この検査では胆汁の流れ道を調べることができます。流れが悪い場所を見つけたり、胆石を見つけたりすることが可能です。立体的に表示することも可能で、胆汁の流れ道がよく分かる検査で、手術の前によくおこなわれています。

 

 

Ø       MR検査

磁気共鳴装置という器械を使って検査をします。検査中には大きな音がするので耳栓をしておこなうこともあります。胆石以外の病気がある可能性もあるので、それらを調べるのに有用です。胆石に対して特に有効な検査方法ではありません。

 

Ø       MRCP検査

磁気共鳴装置を使う点では、ふつうのMR検査と同じですが、撮像の方法を変えているので、胆汁の流れの悪いところやたまりになっているところをみることができます。この検査は、手術の前におこなう検査として有用です。

 

Ø       ERCP検査

内視鏡(胃カメラ)を使った検査法です。内視鏡で胃と十二指腸を見て、十二指腸にある胆汁の出口から細い管を入れて、胆汁の流れ道を写す検査法です。胆管に石がある場合によくおこなわれている検査法で、治療も可能です。

 

Ø       PTCD検査

皮膚から針をさして胆汁の流れ道を調べる検査です。黄疸(体が黄色くなった状態)のときにおこなう検査のひとつです。チューブを入れて黄疸を治すときに使われる方法です。

 

4.        治療

(1)   胆嚢結石の治療

Ø       胆石溶解療法

ウルソデオキシコール酸を内服して胆石を溶かす方法ですが、すべての胆石に適応があるわけではありません。胆嚢内のコレステロール系結石で、大きさが15mm以内、石灰化がなく、胆嚢の収縮が良好であるなどの条件があります。また、長期内服せねばならず、溶解しても再発する率が高いという難点があります。

 

Ø       体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)

体外から胆石に向かって衝撃波を当て、胆石を破砕する方法ですが、これもすべての胆石に適応があるわけではありません。直径30mm以下、3個以内、石灰化のないコレステロール系結石で胆嚢の収縮が良好であるなどの条件があります。最近、適応の拡大も試みられていますが、やはり再発の問題もあり装置が非常に高価であることもあって、first choiceの治療にはなりません。結石が小さな破片になるため、胆嚢管などの細い胆管で引っかかり、症状が悪化することもあるので当院ではおこなっていません

 

Ø       胆嚢摘出術

この治療法が現在は、最も一般的です。手術的に胆嚢および胆石を摘出する根治療法です。腹腔鏡下胆嚢摘出術が標準術式です。腹腔鏡と鉗子を使う手術で、傷が小さく、術後の回復が早いことより、1990年以前の開腹手術に変わって現在はfirst choice の術式です。ただし、癒着の著しい場合や高度の炎症がある場合には開腹せざるを得ないこともあります。

 

(2)胆管結石の治療

Ø       内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)・内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)

内視鏡を使って胆管の開口部である十二指腸乳頭部を拡張させ、胆管結石を十二指腸内へ排石させる方法です。以前の手術療法に変わって、現在ではfirst choice の治療法です。消化器内科が担当しています。

Ø       経皮経肝胆道鏡下砕石術(PTCSL)

肝内胆管を針で直接穿刺し、そのルートを利用してチューブを胆管内に留置します。そのチューブをだんだん太いものに入れ替えていき、最終的には胆道鏡を挿入して石を観察しながら粉砕します。内視鏡的治療が困難な場合や肝内結石で適応となります。消化器外科・消化器内科が担当しています。

Ø       体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)

胆嚢結石同様適応条件があります。(当院ではおこなっていません)

Ø       手術療法

総胆管切開切石術が標準術式です。総胆管を切開して胆管結石を除去する手術です。内視鏡的治療が困難な場合に適応となります。
 胆石症の治療は胆嚢結石では腹腔鏡下胆嚢摘出術、胆管結石ではEPBDやESTが標準的治療法ということになります。胆嚢結石では有症状例は治療の対象になりますが、無症状例いわゆるサイレントストーンは原則的には治療の対象になりません。ただし、胆嚢壁が肥厚した例や結石が胆嚢内に充満して胆嚢壁の観察が不十分な例は症状がなくても、胆嚢癌を否定できない場合には、胆嚢摘出術の適応となる場合があります。

 

5.         当科の実績

当院では、胆石症に対する治療は、消化器外科(肝胆膵外科)・一般外科が担当しています。内視鏡外科手術は、1991年に導入し、現在まで年間平均50例に対して施行しています。

手術は、おもに、来見良誠 講師 ・ 仲 成幸 医師 ・ 塩見尚礼 医師が担当しています。

 

6.         参考資料

胆汁の流れ道は人によって少しずつ異なっています。手術の前には、正確な検査をおこなったほうが安全です。色々な胆道の画像を掲載しておきます。

 

《DIC−CT》 手術の前にする検査です。安全に手術をするために必要です。