肝 癌 

1.        肝臓の働き

肝臓は人体の中で最大の臓器です。約2500億個の肝細胞からなり,重量は男性で1,000〜1,300g、女性で900〜1,100gもあります。 肝臓は人体の化学工場といわれるように、栄養素や体内でいろいろな働きをする活性物質の代謝や合成など、多くの働きを担っています。

 

l          解 毒:有害物質を体にとって無害なものに変化させ、さらに体外へ排泄し、からだを守ります。

l          合 成:身体に必要なタンパク質を合成します。また,胆汁酸を合成します。

l          代 謝:

消化・吸収した栄養素を体内で必要な物質に作りかえています。

l          貯 蔵:栄養分をグリコ−ゲンなどにして貯蔵します。

 

2.        肝細胞癌の特徴

l          東南アジア,アフリカに多く,日本では西日本に発生率が高くなっています。

 

l          男性に多い癌です。

 

l          B型やC型肝炎ウィルスの持続感染による慢性肝炎や肝硬変が発生母地となっています。

 

l          90%以上の患者が肝炎ウィルスに関連しています。

l          B型肝炎では,比較的若い(45〜55歳)男性に多く,肝炎の活動性は低くて発腫瘍が多いようです。

 

l          C型肝炎では,60〜70歳代に多く,肝炎は活動性で多発する傾向があります。

 

 

 

3.        増えている肝臓癌

肝臓癌(転移性癌を除く)は、癌細胞ができてくる細胞によって肝細胞癌、胆管細胞癌、その他の癌に大別できますが,我国でみられる肝臓癌の大部分は、肝細胞癌で90%以上を占めています。肝癌患者の発生数は近年急激に増加しており、2002年の癌による死亡率は、胃癌、大腸癌、肺癌、に次いで第4位となっています

 

4.        肝癌治療の問題点

l          肝臓内に転移しやすい

l          局所に再発しやすい

l          肝臓のいろいろな部分にできる

l          肝障害度が人によって異なる

l          手術によるダメージが大きい

 

 

5.         肝癌の治療(当科では以下の治療法の中から患者さんに一番合った治療法を選択します)

大部分の患者さんが慢性肝炎や肝硬変などの慢性肝疾患を合併しているため肝機能が悪いことが多く,そのため治療法が制約されることがあります。つまり,肝機能が悪い場合には低侵襲の(肝臓にかかる負担が小さい)治療しかできない場合があります。次のようないろいろな治療法が行われており,患者さんや癌の状態に合わせて単独で,あるいは組み合わせて選択します。

 

l          手術療法(癌の部分を取り去ってしまう方法)

l          肝動脈塞栓療法:TAE(癌への血流を遮断し兵糧責めをする方法)

l          エタノール注入療法 PEIT(癌の部分を変性させる方法)

l          動注化学療法(リザーバー治療)

l          マイクロ波凝固療法:MCT(癌の部分を焼灼する方法)      ←オープンMRを使用したMCTは当科で開発した「切らずに治す治療法」で、他の病院ではできません

癌に直接マイクロ波電極針を刺入して癌を焼き殺してしまう方法です。マイクロ波による焼灼は原理的には電子レンジとおなじで、100℃近い高温で癌細胞を確実に凝固し殺してしまいます。滋賀医大外科では世界で唯一、垂直型オープンMRIを用い、MR画像を見ながらこの治療を行っています。侵襲の小さな治療法で、複数回の治療が可能です。

 

 

 

 

 

6.     オープンMRIの特徴

 

 

 

 

l          MRIの中で画像を見ながら手術ができる

l          放射線被曝がない

l          空気・骨に影響されない

l          いろいろな角度から見える

l          温度画像が見える

 

7.        切らない肝臓の手術ができる条件

l          肝硬変の程度があまりひどくない

l          腹水のコントロールが可能

l          胆道系の感染がない

l          出血傾向がない

l          結節が5個以下

l          直径が5cm以下

 

 

 

8.        MR−MCT(肝腫瘍マイクロ波凝固療法)

l          治療途中に効果判定ができる

l          超音波で見えない部分でも治療ができる

l          腹腔鏡や胸腔鏡も併用できる

l          コンピュータを使った高精度の位置決めが可能である

l          温度の表示が可能

l          治療済みの部分のマーキングが可能

 

 

《温度表示画像》


《胸腔鏡使用例》

超音波では見えない部位にあってもオープンMRを使用すると見えるので、治療が可能です。コンピュータを使った画像処理方法で、治療をおこないます。

 

 

 

 

《フットプリント》

凝固が完了した部分にコンピュータを使って画面上に色を付けて、必要な部分だけを正確に治療できます。