診療内容紹介

腫瘍センター

腫瘍センターは、附属病院と地域のがん医療を活性化し、高度がん医療の推進と均てん化を進める組織として活動しており、社会の要請であるがん専門医・医療スタッフの育成と先進的ながん医療の普及に貢献できる基盤を構築しています。当センターは、がん医療を包括的に支える7部門(化学療法、緩和ケア、がん登録、がん相談支援、診療連携、教育・研修、先進医療推進の各部門)で構成され、関係する4委員会(腫瘍センター会議、化学療法プロトコール審査委員会、化学療法委員会、緩和ケア委員会)とともに、本学のがん診療・教育・研究を分野横断的に連携させ、県内外の医療機関と協力して、がんの早期から切れ目なく続く質の高いがん医療の推進をめざしています。また、本学の先進的がん医療(温熱療法、内視鏡的低侵襲がん診療、がん放射線医療、免疫療法、個別化医療など)の推進に加えて、新たながん診断法と治療法の開発に取り組んでいます。


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腹腔内温熱化学療法(HIPEC ハイペック)

HIPECとは

腹腔内の臓器に癌(ガン)が発生し、ガンが進行すると、腹腔内にガン細胞がまき散らされるようになります。まき散らされ腹腔内に拡がったガン細胞は、腹腔内の様々な場所の腹膜に接着し、そこで発育して数多くの小さなガンの巣を作ります。これが腹膜転移です。種を播いたような発育をするので、腹膜播種性転移(ふくまくはしゅせいてんい)とも呼びます。
 腹膜転移を起こすと、腹水や、腸閉塞などを発症し、生活の質が著しく落ちます。また、この腹膜転移は極めて難治性で、これまで有効な治療がありませんでした。
 HIPECは、この難治性の腹膜転移を予防し、また、治療するために開発された治療方法です。

腹腔内のガンを臓器と共に切除した後、腹腔内に残存しているガン細胞(目に見えないことが多い)を、抗癌剤と温熱作用により、殺傷することを目的とします。
 滋賀医科大学消化器外科では、ガンの種類により、複数の抗がん剤を組み合わせ、腹腔内に入れた温かい生理食塩水を42℃から43℃に加温して、均一な濃度、均一な温度になるように十分にかき回して、腹腔内をかくはんします。
 腹腔内にいれた抗がん剤は極めて高い濃度でガン細胞を攻撃します。温熱の作用で、抗がん剤の効果が高まります。さらに、温熱作用により、抗がん剤は腹膜にもぐったガン細胞まで届きやすくなり、腹腔内のあらゆる場所に潜んだガン細胞を殺傷することが可能になります。

HIPECの治療効果


病理学的に漿膜浸潤していた進行胃がん(pT3(SE)またはpT4(SI))で、肉眼的にガンがすべて切除できた(治癒切除)症例において、術中に腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を受けた症例(39例)は、HIPECを受けていない症例(HIPECの臨床試験以前に施行した手術症例)よりも、有意に生存率が改善しています。

胃がんが切除できた患者さんの進行度(Stage)別の5年生存率を示しています。滋賀医科大学消化器外科で胃がん手術(胃切除とリンパ節郭清)とHIPECを受けた患者さん(80例)は、滋賀医大でのHIPEC施行以前の治療成績や、他の報告における治療成績と比べ、極めて良好な5年生存率を獲得していることがわかります。
HIPECが原因と考えられる重篤な合併症は、これまで認められていません。通常の手術と同様に、HIPEC手術後は外科病棟で管理を行います。

HIPEC治療の相談:現在、当院ではHIPEC治療を休止しております。

HIPEC治療についての資料

Satoshi Murata, et. al.
Hyperthermic intraperitoneal chemotherapy following gastrectomy for the prevention of carcinomatosis in advanced gastric cancer: Nonrandomized phase II prospective trial.
J Clin Oncol 30, 2012 (suppl 4; abstr 116)


Satoshi Murata, et. al.
Phase II trial of adjuvant hyperthermic intraperitoneal chemotherapy with three drugs for the prophylactic treatment of carcinomatosis after resection of advanced gastric cancer.
J Clin Oncol 27, 2009 (suppl; abstr e15588)


《記事》
1.村田 聡:術中腹腔内温熱化学療法による進行胃がんの治療
SHIGA IDAI NEWS・3:14~15・2010
http://www.shiga-med.ac.jp/intro/idainews/idainews15/1505.pdf
2.谷 徹,村田 聡:特集 最先端「がん治療」数字が実証!抗がん剤入り温水で内臓を直接ジャブジャブ洗う 「国立大学」が臨床着手に限定! 無認可でも画期的な最先端「がん治療」
13(4月5日号):29~31・週刊新潮・株式会社 新潮社・東京・2012


《テレビ放送》
1.谷 徹,村田 聡:腹腔内温熱化学療法
  NHK放送「おうみ発610」・2011年11月29日(火)18:10~19:00・2011
2.カスペ!・わたしを救う 革命ドクター
   フジテレビ 2013年5月14日 19:00~20:54
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/130514kaspe/index.html