診療内容紹介

上部消化管外科

食道

食道
対象疾患:食道の腫瘍(癌・その他)・食道アカラシア・食道裂孔ヘルニア・食道憩室・食道穿孔など
[食道癌の治療]
当院は,日本食道学会の食道外科専門医認定施設です.
食道癌の外科的切除は年間10~20例と滋賀県下では多くの切除を行っています。
癌の進行度(深さやリンパ節の転移範囲、転移個数など)に応じて放射線・化学療法を含めた適切な治療法を選択しています。 一部の早期食道癌に対しては、消化器内科との協力の下、内視鏡下粘膜切除を行っています。
食道癌ではリンパ節転移の制御が重要な問題となってくるため、外科的切除に際しては、 確実かつ十分なリンパ節郭清を行うと共に、栄養評価を含めた全身状態やQOLを考慮した手術適応の選択、 管理を行っています。
切除不能例、あるいは外科的切除で望ましい予後が得られないと考えられる症例に対しては、 放射線化学療法を選択すると共に、バイパス手術やステント留置も行っています。
[食道憩室・粘膜下腫瘍]
食道憩室や一部の粘膜下腫瘍に対しては胸腔鏡下の低侵襲手術も行っています。


食道癌の予後を規定する因子
食道癌の治療成績を左右する因子としては、
1)食道壁のどの深さまで癌が達しているか(粘膜下層より深い癌では治療成績が下がる)
2)リンパ節転移がどこまで進んでいるかが重要となってきます。


リンパ節転移の状況
癌がどの部位に存在していても、リンパ節転移は頚部から腹部までの至る場所に起こりうる可能性があります。 癌がたとえ粘膜内に留まっていたとしても、“粘膜筋板”より深く浸潤すると飛躍的にリンパ節への転移が起こりやすくなります。


早期食道癌の治療
内視鏡的切除(ESD)
内視鏡的に癌を切除します。リンパ節転移が明らかに無いと考えられる症例が適応です。 これは当院消化器内科にお願いしています。


進行食道癌の治療
癌が粘膜筋板以深(粘膜下層以深)に浸潤すると、リンパ節転移の頻度は飛躍的に増加します。 リンパ節転移の個数が4個以上の症例では、予後は不良です。
壁深達度が外膜におよぶ症例では、手術だけでは予後は延びません。 手術療法と放射線化学療法の併用を積極的に行っています。


食道の手術のポイント
リンパ節の郭清範囲は頚部・胸部・腹部の3領域にわたります。
声を出す重要な器官である声帯の動きを司る反回神経に沿ったリンパ節は、 転移頻度も高く注意深く摘出しなければなりません。 再建臓器としては一般に胃が使われます。どうしても胃が使用できない場合には大腸や小腸を使います。


切除不能な食道癌症例
切除不能な高度進行食道癌では、放射線化学療法を行っています。 治療効果が良好で、切除可能な状況になれば積極的に切除を行います。
食道癌に使用される抗癌剤はたくさんありますが、どの薬剤が各患者さんに有効かどうか 使用してみないと判らないのが現状です。 そこで、切除した患者さんの癌細胞を培養増殖し、種々の抗癌剤を添加し、どの薬剤が有効なのか 判定する抗癌剤感受性試験を行い、有効と判断された薬剤を使用するオーダーメイド化学療法を行っています。 当院における抗癌剤感受性試験は、2005年12月には高度先進医療として認可を受けました。

胃十二指腸疾患

対象症例:腫瘍(胃癌、十二指腸癌・十二指腸乳頭部癌・粘膜下腫瘍・悪性リンパ腫)・消化性潰瘍など
[胃癌の治療]
胃癌の切除例は年間60例を超えます。5年生存率は69%で、 各進行度別評価においても他施設をしのぐ生存率を得ています。
一部の早期胃癌や粘膜下腫瘍に対しては病巣に応じて内視鏡下粘膜切除や腹腔鏡下切除術も行っています。
今日、日本胃癌学会より”胃癌治療に対するガイドライン”が提唱されております。 それに加えて、外科的切除に際しては確実且つ過不足ないリンパ節郭清を行うと共に、 進行度に応じた機能温存術式(神経温存・幽門輪温存・ 代用胃作成など)を行ってきました。 また、進行胃癌に対しては拡大リンパ節郭清に加え、術中温熱化学療法も加えた積極的な治療を行っています。
進行癌に対する術後化学療法を行っていくに際し、抗癌剤の感受性に基づき、 個々に応じたオーダーメイドな治療を選択しています。
早期の胃癌症例では、内視鏡的粘膜切除術、あるいは開腹術より低浸襲である腹腔鏡下手術を 積極的に導入しています。
写真のキャプションを入力します。日本でも有数の施設 との比較では、 T1(癌が粘膜もしくは粘膜下層に及ぶ症例)、T2(癌が筋層もしくは漿膜下層に及ぶ症例) では他施設をしのぐ切除成績を残しています。全症例の5年生存率は70%と大変高い生存率を得ています。



T3(癌が漿膜に及ぶ症例)、やT4(癌が他臓器に浸潤している症例)の成績を向上するために、 現在、拡大リンパ節郭清、術中温熱化学療法、抗癌剤感受性試験に基づくオーダーメイド化学療法を3本柱として治療を行っています。
胃癌の再発は他の癌では珍しい腹膜播腫再発を起こしやすいのが特徴です。 それを防ぐために、手術中に抗癌剤を混ぜた生理食塩水を43度に加熱して、腹腔内を還流させて、腹膜播腫再発予防を行っています。 予後の悪いT3又はT4胃癌の患者さんに術中温熱化学療法を施行することにより、腹膜播種再発を抑え、極めて良好な予後が得られています

胃癌に使用される抗癌剤は多く有ります。現在は、ガイドラインによりはじめに使用する薬剤はほぼ決まっておりますが、それでも、再発例などでは、ど の薬剤が各患者さんに有効かどうか使用してみないと判らないのが現状です。そこで、切除した患者さんの胃癌細胞を培養増殖し、 種々の抗癌剤を添加し、どの薬剤が有効なのか判定する抗癌剤感受性試験を行い、有効と判断された薬剤を使用するオーダーメイド化学療法を行っています。



右図は胃癌の肝臓への転移のある症例ですが、抗癌剤感受性試験で有効と判定された薬剤を肝動脈より投与しました。腫瘍は著明に縮小しました。 当院における抗癌剤感受性試験は、2005年12月には高度先進医療として認可を受けました。