診療内容紹介

乳腺外科

乳腺疾患

検査はマンモグラフィーと超音波検査を中心に行っています。 適宜、穿刺吸引細胞診や生検、あるいはマンモトーム生検(予定)を行い、 更にdynamic MRIを用い、より正確な癌の進展度を検討しています。
手術は乳房温存手術を積極的に施行しています。更にセンチネルリンパ節生検や内視鏡補助下手術など最新の手技を応用し、さらなる低浸襲性治療を目指しています。
術後補助療法(内分泌療法、化学療法)はエビデンスに基づいたレジュメを作成し、 患者様との十分なインフォームドコンセントのもと施行しています。
乳癌再発症例については、QOLの維持を考慮して外来治療を積極的に行っています。 また、乳房再建術も積極的に導入しています。

センチネ ルリンパ節生検

乳癌の予後(再発しやすさ)を決定する最大の因子は、 腋窩リンパ節(わきのリンパ腺)への転移があるかどうかです。
そのため、乳癌の手術を行なう場合には、腋窩リンパ節をすべて切除することが 必要とされてきました。
しかし、腋窩リンパ節を切除すると、腕が腫れたり、しびれたりするなどの 術後合併症や後遺症が起こることがあります。
乳癌全体で腋窩リンパ節に転移がある確率は30%といわれており、70%の乳癌の方は無駄な腋窩リンパ節摘出術を受けていることになります。
CT検査、超音波検査などさまざまな方法で、術前に腋窩リンパ節転移の有無を診断する試みが行われてきましたが、確立されたものはないのが現状です。
センチネル(見張り)リンパ節とは、乳癌の近くにあるリンパ管に入った癌細胞が 最初に流れ着くリンパ節のことです。このセンチネルリンパ節を見つけ出して摘出するのが、 センチネルリンパ節生検です。このリンパ節に転移がなければ、リンパ節転移は無いので、それ以上のリンパ節を切除する必要が無くなります。
方法としては、乳頭直下に色素を注入し、染色された腋窩リンパ節を摘出して、手術中に転移の有無を判定します。 転移があれば残りのリンパ節を切除し、無ければリンパ節切除を省略しています。
ただし、この方法はまだ完全なものではありませんので、十分納得いただいた方のみに行っています。

内視鏡補助下乳腺腫瘍摘出術


今までの乳腺腫瘍の手術は、腫瘍の真上の皮膚を切開して腫瘍を切除するというものでした。
また最近では、比較的小さな乳癌は、乳癌の部分を大きめに取る乳房温存手術が行われるようになってきました。
しかし、これらの手術では乳房の皮膚に傷を残し、生理時に乳房に痛みを感じるなどの欠点がありました。
内視鏡補助下乳腺腫瘍摘出術はこの点を解消するために生まれた手術法です。
腋の下に約3~4cmの傷を加え、この部分から内視鏡を使って乳腺腫瘍を切除します。 乳房の表面を温存するように切除しますので、変形もほとんど目立ちません。 手術後の経過も良好で、術後2~3日で退院が可能です。
すべての患者さんにこの手術が可能とは限りませんが、なるべくご希望に沿えるように対応させていただいています。
内視鏡補助下で乳腺腫瘍を摘出した術後写真です。

乳房再建術

近年、乳癌で手術を受けられる方が多くなってきましたが、同時に乳房を失うという絶望感でうつ状態になる方も増えてきています。
失った乳房を取り戻すことのできる乳房再建は、女性の一生を考える上でとても大切な選択肢の一つといえます。
乳房切除術を受けた方でも、温存術で部分切除を受けた方でも、どのような方でも再建は可能です。 また、乳房切除術を受けてから1~2年後であっても、10年以上経っていても、 いつでも再建は受けることができます(異時性再建)。
これから乳がんの手術をされる方の場合には、乳房を切除すると同時に再建する方法(同時再建)もあります。


手術法 乳房の再建方法には、おもに次の3つがあります。
・人工乳房あるいはティッシュ・エキスパンダー(組織拡張器)を用いる方法
・広背筋皮弁による方法
・腹直筋皮弁による方法


どの方法を選択するかについては、乳房切除術の種類、皮膚と筋肉の状態、反対側の乳房 の大きさ、 背部や腹部の手術痕の有無、また将来妊娠出産を希望されるか否かによって異なります。
まずは形成外科医の診察を受けていただき、ご希望をお聞きしたうえで最適な方法を選ん でいきます。
右乳房切除後広背筋皮弁にて再建した症例です。


平成27年4月15日

臨床研究に関する情報公開について

 当院では、以下の臨床研究を実施しております。この研究は、通常の診療で得られた過去の記録をまとめることによって行います。このような研究は、国が定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づき、対象となる患者さんのお一人ずつから直接同意を得るかわりに、研究の目的を含む研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。
利用する情報からは、お名前、住所など、直接同定できる個人情報は削除します。また、研究成果は学会や雑誌等で発表されますが、その際も個人を特定する情報は公表しません。
ご自身の診療データを研究に使用してほしくないという場合や研究に関するお問い合わせなどがある場合は、以下の「問い合わせ先」へご照会ください。研究不参加を申し出られた場合でも、なんら不利益を受けることはありません。
研究課題名

マンモグラフィー自動診断の精度検証に関する研究

所属(診療科等) 滋賀医科大学外科学講座(乳腺一般外科)、放射線医学講座
研究責任者(職名)

森 毅(特任講師)

研究期間
平成27年4月15日~平成29年3月31日
研究目的と意義

マンモグラフィーによる乳癌検診は、乳癌の早期発見に極めて有効ですが、画像を読影する医師が少ないため、相対的な医師不足になっています。これからの乳癌検診を安定化させるためには、明らかに乳癌でない画像を除去できる技術が構築されれば、疑わしい画像を専門医が時間をかけて精査することが可能になり、癌の見逃しをさらに低くすることが可能になると思われます。この研究では、マンモグラフィーの自動診断技術を向上させて、専門医による診断を補助できるようなシステムの構築を目指しています。

マンモグラフィーの画像を自動診断装置で解析し、自動的に病変部を検出できる技術を構築する研究です。
研究方法

●対象となる患者さん                                          
これまでに乳癌と診断された患者さんで、マンモグラフィー検査を受けた方                           
●利用するカルテ情報
診断名、画像検査など
●研究方法当院の研究者と立命館大学の研究者で共同開発したマンモグラフィー自動診断ツールを用い、当院で乳癌と診断された患者さんのマンモグラフィー画像が、どの程度乳癌と診断されるかを検討します。また、それらの画像データをもとに、新たな自動診断ツールを開発する計画です。

問い合わせ先 滋賀医科大学外科学講座(乳腺一般外科)    担当医師 森 毅                                     〒520-2192  大津市瀬田月輪町                          
☎077(548)2238  FAX 077(548)2240