
「医師にとっていちばん大切なのは患者さんのケア。当講座は"NoRefusal"が原則です。症例を選ばず、紹介や依頼があれぱ、まず診ようという方針なのです」。
この講座は、2002年4月に旧第一外科と第二外科を統合してできた講座で、心・血管、呼吸器、消化器、乳腺・一般外科の4科からなります。「分散されていた能力を結集し、より多彩な疾患に対応できる体制になりました」。教室全体はもとより、それを支える個々の能力を高めるため、大学卒業前から徹底した実践教育を行っています。
「カンファレンスでは、学生たちには何も見ずにプレゼンテーションをしてもらっています。そのほうが資料をただ読みあげるより、確実に多くのことを頭に叩き込め、聞く方もアトラクティブでしょう。手術では糸結びなどを担当させ、患者さんに関する資料も渡しています。もちろん最終的には回収しますが、重要事項を書いた書類をあえて持たせ、学生のうちから医師としての自覚を持ってもらいたいと考えています」
それに加え、研修医には学ぶことへの積極性が求められます。
「日ごろから、どんな作業でも必ずプロトコールをつくってあたるよう言っています。手術に立ち会う際は、学びたいことを事前にチェックしておくのはもちろん、患者さんについて術前にCTを撮るか否か、熱が何度になったら手術をするかを考えるなど……。日々の作業は、プロトコール無しにやっていたらただの雑用ですが、プロトコールをつくり、あとで復習・反省をすれぱ科学的な資料となり、医師としての大きな糧になるはずです」
シニア医師でも解説ビデオやラットを使って、微小血管縫合の練習が要求されるなど、講座内では「生涯トレーニング」が当然と考えています。
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「地方の小さな大学ですから、症例数では伝統のある大きな大学に簡単に追いつきませんし、移植など巨額の保険外費用がかかる手術も難しい。そこで当講座は外科の技術と斬新なテクノロジー開発で勝負していこうと思っています」
そこで心臓血管外科(浅井徹教授)、乳腺・一般外科(花澤一芳助教授)、呼吸器外科(藤野昇三助教授)は、それぞれ同科独自の治療開発を目指しています。浅井教授は就任10ヵ月で、IOO例を超える心臓手術を死亡例なしで行い、バイパスはすべてoff pumpであり、翌日から食事開始のプロトコールを実施してきました。
テクノロジーの開発では「見る」、「切る」、「縫合」という外科医の作業すべてについてそれぞれ技術開発を行っています。
「見る」、「切る」の部分では、IVMR(リアルタイム三次元画像診断)を開発応用し、その成果は世界でも並ぶ施設がなくトップレベル。
「たとえばガンの切除。今までの凝固療法では悪い部分を焼き切っても、確実な温度上昇や、処理結果の確認はできなかった。しかしIVMRなら、焼けたかどうかをリアルタイムで温度画像を見られるため、より正確な切除が可能になりました。これがてきるのは世界でも当講座だけです」
さらに、「切る」作業では立命館大学と共同で、病巣だけを焼き切る針を開発研究し、「縫合」でも「血が噴出しているような血管が2-3分で止血可能」(谷教授)という接着剤とそれに付随して必要な抗癒着剤を開発中。
関連施設「動物生命科学研究センター」では、数百頭のサルを飼育し、世界で唯一、サルES細胞と繁殖実験が可能になる。
「このセンターでは、肝細胞や再生医学の画期的な実験ができると考えています」
しかし、開発されたさまざまな技術は臨床の場で応用されなければ意味がない、そのため同講座では大学院に新設された一トランスレーショナルリサーチ」というセクションに院生を送り、新技術の臨床への応用方法を研究しています。
「やってみたいことはまだまだたくさんあります」。斬新な技術やアイデアが次々に生み出されるています。
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