| 夜尿症・遺尿症 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| (1)遺尿症(昼間のおもらしとおねしょ) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 赤ちゃんから成人まで、身体の成長に伴い、膀胱も成長します。最もダイナミックな変化が訪れるのはトイレットトレーニングの時で、これを機に、脳が膀胱のコントロールをするようになります。トイレットトレーニング前までは、昼も夜も無意識のうちに排尿していますが(反射排尿と言われています)、トイレットトレーニング後には、脳が膀胱から来る情報を感知して、尿を我慢したり、尿を出したり調整し、昼間はトイレで排尿するようになります。しかし、小学校低学年頃までは、膀胱にある程度尿がたまると、無意識のうちに収縮する(無抑制収縮:未熟膀胱や神経因性膀胱で見られます)ため、突然トイレに行きたくなって「おしっこ!おしっこ!」とトイレに駆け込み、時には間に合わないこともあります。こういったお子さんには、まず、昼間遺尿を治してから夜尿症の治療に取り掛かるようにしています。腹部と仙骨部の診察、検尿や超音波検査、尿流測定検査、排尿日記などの非侵襲的な検査で、大きな異常がないかどうかを探ります。尿道狭窄や膀胱尿管逆流症(VUR)が潜んでいる可能性がありますが、侵襲のある検査、排尿時膀胱尿道造影(VCUG)をしないとわからないので、最初からは行いません。 まずすべき方法は非常に簡単です。時間排尿と言って、もれる前に(膀胱が異常収縮する前に)排尿するのです。30分しかもたないこともあれば、2時間もつこともあります。 今日は、車で遠くにお出かけするから、おしっこに行きなさいと言っても、「おしっこない!」と言うお子さんに限って、車で10分も走ると「おしっこ!漏れる!」といった経験はよくあると思います。大人と違って(大人は尿意が出てから30分から1時間ぐらい我慢できますよね)尿意が出てからは、膀胱が強い力で収縮するので、尿道が持ちこたえられないのです。だから間に合わなくて、漏れてしまうわけです。尿意の波が襲って来る前に、排尿するように誘導することが大事なのです。そうすると膀胱が安定して、たくさん貯められるようになり、不安定さも取れ、昼間のお漏らしは治ります。きちんとできれば、1-3ヶ月ぐらいで効果が出るようです。それでもだめなら、抗コリン剤のポラキスを処方しています。 膀胱が小さいからと言って、膀胱訓練をすると余計お漏らしがひどくなります。膀胱訓練も有効な訓練方法なのですが、昼間のお漏らしが治るまでは膀胱訓練を控えようにした方が良いです。 |
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| (2)単純夜尿症(おねしょ) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 夜尿症の自然治癒 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 頻度:5歳(15%)、7歳(10.8%)、10歳(6.7%)、12歳(4.8%)、15歳(3%)、20歳(1.3%) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 夜尿症の殆どのお子さんは、病気ではありません。膀胱と脳の神経系が発達途上なのです。当科では極力、生活指導をきちんと行い、足らないところを、薬物療法や行動療法で補うようにしております。 毎年、何も治療しなくても15%づつ夜尿が治ると言われており、殆どのお子さんが、大人になるまでに治ります。しかし、自然に治るよりも早く治すには、本人およびご家族の努力が必要になります。 |
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| <おねしょが治らないA君の一日> | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| A君は小学校5年生の10歳の男の子です。3人兄弟の長男で、下には8歳の妹、5歳の弟がいます。妹と弟は、ずいぶん前に夜尿はしなくなったのですが、A君は毎日おねしょをしてしまいます。お母さんには、お兄ちゃんなんだからしっかりしなさいといつも怒られています。昔からおしっこが近くて、小学校2年生までは、トイレまで我慢できなくてお漏らしをしたこともあります。授業中におしっこがしたくなると困るので、学校ではあまり水分を飲まないようにしています。帰宅すると、おやつを食べますが、塩辛いスナック菓子が大好きで、スポーツドリンクと一緒に食べてしまいます。夕方から、のどが渇くのか、しきりに水分が欲しくなり、夕食時、入浴後も癖のように飲んでしまいます。お味噌汁も大好きで、ついついお代わりしてしまいます。寝る前はきちんと排尿してから寝るのですが、朝はどっぷり漏れてしまっています。冬場なんかだと、パジャマまで濡れて冷たくなっても気づきません。また休みの日だと、遅くまで寝ています。 このお子さんの問題点は (1) 昼間に水分を摂らない (2) 塩分の多い食物が大好き (3) 夕方以降にがぶ飲みしてしまう (4) おねしょしても、目を覚まさない(眠りが深い) (5) 睡眠時間が長い があります。 指導ポイントは (1) 昼間に水分を摂る(1L以上のお茶もしくは水で、スポーツドリンクは不可) (2) 塩分を控える(スナック菓子も休日の朝食べる)。スープやお味噌汁は朝に飲む。おやつは、菓子パンか果物を。 (3) 夕方4時以降の水分は我慢する。入浴後も氷を2-3片で我慢する。 (4) 早寝、早起きをする。 (5) 他の兄弟と比較しない。怒らない。良いところを見つけて、派手に褒める。 家族の皆さんが、一丸となって協力しないとうまくいきません。中途半端にするとだらだらと、数年かかってしまうこともあります。 |
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| 夜尿症が治るには | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| (1) 神経系が発達し、膀胱と脳の連携がうまくとれてくること 膀胱に尿がたまってくると、眠りが浅くなり、もれる前に目を覚まし、トイレで排尿できれば夜尿症は治ります。これは神経系の発達が不可欠で、膀胱と脳の連携がうまくとれてくることが必要です。⇒残念ながら、この部分を治す薬はないので、ABCで補うようにして夜尿を治します。 (2) 膀胱の大きさが年齢相応になること(膀胱が大きくなること) 年齢相応の推定膀胱容量=(年齢+1)×30 ml (たとえば7歳=240ml、 9歳=300ml) 排尿日記や膀胱訓練で、膀胱の大きさ(機能的膀胱容量)がわかります。 (3) 夜間に作られる尿が濃縮していること(寝ている間に濃いおしっこが作られること) 抗利尿ホルモンは夜にたくさん分泌されるので、夜間に起こして排尿させるのは良くありません。 朝起きて1回目の尿の比重や浸透圧を調べれば、濃縮されているかどうか判ります。 (4) 本人のやる気があること(最も大事です):日常生活の注意事項をきちんと守れること 生活習慣を見直して、夜尿が治りやすい体質に変えると、15%に夜尿が改善します。 本人のやる気がなければ、やる気が出てくるまで治療を開始しないことも必要です。また治療を始めても、途中で中だるみしてしまうことがあります。そういった場合も、一旦治療を中断してみる方が良いかもしれません。 |
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| 夜尿症の診察の流れ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 初診時 問診、尿検査、触診、超音波検査、(尿流量測定)で尿路奇形、基礎疾患の有無を探ります。 夜尿を治すための生活指導を行います。 |
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| 二回目以降 早朝尿を持参して頂きます。(尿比重、尿浸透圧を測定します) 早朝尿浸透圧、排尿日記(1-2日)、膀胱訓練の記録から、夜尿の病型(多尿型・膀胱型・混合型)を判定します。 生活指導を行っても、効果がない場合、他の治療を考慮いたします。 夜尿が再発したり、ひどくなった場合は、もう一度、早朝尿の検査と排尿日記を調べますので、外来にお持ち下さい。 --> 排尿日記(PDF) |
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| 外来受診について:本人受診は必要?お薬だけじゃだめなの? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 夜尿症治療は、学童期以降の、お子さんが対象になりますが、病院に来るには、学校を休むか、早退をしなくてはなりません。そのため、お母さんが、お子さんの代わりに受診されるケースもあるのですが、受診の間隔が開いてしまうとだれてしまい、お薬に頼ってしまうようです。本人が受診しない場合、いったん夜尿症が軽快したのに、悪化する場合が良くあります。基本的には、本人さんも一緒に受診していただくようにしており、火曜日の午後をおねしょ外来としています。 |
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| 夜尿症の治療の流れ |
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| 夜尿症を治すには、根気と努力が必要で、夜尿症が治りやすい体質に変える必要があります。きちんと守れた場合、約15%の患者さんに夜尿の消失・軽快が見られます。食事の制限が入るので、家族の方も治療に協力していただく必要があります。中途半端は一番良くありません。本人のやる気がなければ、やる気が出てくるまで治療を開始しないことも必要です。治療開始年齢は、お子さんのやる気があれば、小さくても可能ですが、通常8歳以降でないと、なかなか注意事項を守れません。「〜君、〜ちゃん。もう○○才なんだから治したいよね!!」と強制、もしくは誘導尋問してはいけません。本当に治したいお子さんは、外来で、医師の言葉を聞き漏らすまいと、必死で聞いています。まだやる気のないお子さんは、椅子の上で、くるくる回ったり、他に気がいっているようです。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 日常生活指導 お子さんだけではなく、ご両親にも指導をしています。 <両親への指導> (1) 夜間に起こさない。⇒夜におこすと、抗利尿ホルモンの分泌が悪くなると言われています。 (2) 怒らない。⇒お子さんの自尊心が傷つきます(怒るより、褒めてあげましょう) (3) 夕食を早くする。⇒夕食から寝るまで3時間空けるようにしましょう。 (4) 夕食に味噌汁やスープは避けましょう。 (5) 食事を薄味にする。⇒塩辛いとのどが渇き、水分を飲みたくなります。 <お子さんへの指導> (1) 夕食後の水分制限(夕食時の水分は100mlまで、入浴後は氷2個までは可)。 (2) 午前中〜午後4時に水分をしっかり摂る(お茶500~1000mlを午前中に飲みきってしまう)。スポーツやたくさん汗をかいた時は、その時に水分補給をきちんとしましょう。 (3) 寝る前に排尿する。 (4) 便秘をしないようにする。 (5) 排尿日記をつける。できるだけ、自分でつけるようにしましょう。 (6) 1日1回の膀胱訓練(昼間のおもらしがある場合はしてはいけません)。 |
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| 排尿日記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 1-2日の全ての排尿記録をつけます。(例:7歳、男児、夜尿症) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| おねしょの量=おねしょした後のオムツの重さ−もとのオムツの重さ 1回排尿量は100〜130ml(7歳の推定膀胱容量=240ml) 昼間に作られた尿(朝起きて2回目〜寝るまで)=300ml 夜間に作られた尿(朝起きて1回目+おねしょ)=400ml この患児の夜尿の原因は夜間多尿、小さい膀胱と考えられます。 昼間にしっかり、水分を摂るようにしましょう。 |
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| 膀胱訓練 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 目標を設定し、クリアできたら褒めてあげて下さい。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 1日1回、夕方(帰宅後から就寝まで)に膀胱をふくらませる練習をします。 午前中に水分を十分に摂っていなければ、尿がたまりにくく膀胱訓練は失敗します。 昼間のお漏らしがあれば、膀胱訓練は行ってはいけません。(更に悪化します) |
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| 薬物療法 日常生活指導が守れなければ開始しません。飲むかどうかは、本人の意思を尊重しています。排尿日記と早朝尿浸透圧の結果で、まず一番合いそうな薬を14日分処方します。 (1) デスモプレシン・スプレー:夜間の尿を濃くします。 (2) 三環系抗うつ薬(トフラニール):古くからある薬、脳と膀胱に効きます。 (3) ポラキスR:膀胱を大きくします。 (4) 漢方薬:神経質、病弱、寝ぼけ、冷え症、喉の渇きなど、病状に合った薬を処方します。 効果はある程度期待できますが、休薬すると大体40%ぐらいが再発します。やはり、普段の生活習慣が大事なのです。 |
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| 条件づけ療法 夜尿アラーム:ちっちコール3(7000円)、WetStop 3(約10000円) 本人と家族にやる気がないと、継続できません。年長児で、夜尿回数が2週間で7日以下の方にお勧めしています。 |
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| 低周波治療 干渉低周波 頻尿・尿失禁治療器(ウロマスター) |
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