1. ルート
  2. 後期研修
  3. 平成28年度後期レジデント
  4. 消化器内科

消化器内科

                                                                                                                                      (2014. 6. 4更新)
 
消化器内科 後期卒後臨床研修プログラム
 

 

I 消化器内科について
   
 消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)、肝臓、胆道、膵臓に係わるすべての疾患を対象とします。消化器内科の領域は、内視鏡・超音波・放射線による画像診断さらにこれらを用いたインターベンションといった診療技術に依るところが大きく、技術を追い求めることにのみに偏向しがちでもあります。しかし、炎症性腸疾患(IBD)に代表される慢性難治性疾患や悪性腫瘍の診療においては、高度の診療技術に加え、免疫学などの基礎医学に根ざした広い専門知識が要求されます。
 我々は、臨床的専門性を追求すると同時に、常に幅広い知識への渇望を持ち続ける態度を培い、その延長線上に臨床的課題に立脚した研究活動を遂行することを目指しています。そのような課題探求への意欲を培うことにより、幅広いヒューマンネントワークを形づくる中で、人間性に富み、より広い視野を持つ消化器内科医の育成を進めてきています。
 卒後3年目からの研修プログラムとして、内科専門医コース(2年間)、大学院コース(4年間)が選択可能です。内科専門医コース終了後、大学院コースの選択も可能です。希望により、内科専門医コース1年終了時に、大学院コースの選択も可能です。

 

Ⅱ 光学医療診療部
   消化器内科は内視鏡診断・処置、超音波診断・処置的治療、X線検査・診断、血液浄化療法など診療実技が最も多い診療科であり、研修医の実技指導も重要であるとのスタンスで診療にあたっています。臨床研修2年間でひと通りの診断技術・治療法を習得できるように積極的に内視鏡に触れ合う機会を設け、学習意欲の向上を目指しています。研修3年目以降の消化器内科専門医コースでは、更に積極的に上下部内視鏡、胆膵内視鏡を数多く施行し、診断・処置の研修をして頂きます。また、上級医を固定せず、研修医に対して複数の上級医が指導するようにしています。これは、幅広い分野を担当することで視野を広げようとする目的に沿ったものです。
 また、日本で考案され急速に世界中に拡がっている内視鏡治療技術である内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)についても県内随一の件数を誇っており、県内外の中核病院からの早期食道癌、胃癌、大腸癌の紹介も年々増加しております。現在年間約200件の食道、胃、大腸内視鏡的粘膜下層剥離術を施行しており、これらの症例を対象にして、後期臨床研修は通常の内視鏡挿入、診断はもちろんのこと、治療内視鏡の技術も習得できるような体制をとっています。
 2年間の間に、しっかりとした診断技術をつけ、困難例を除いた早期胃癌は、実際自分で切除可能なところまで指導します。その後は大学でより深く知識と技術の習得に励むか、地域の中核病院に派遣され実力をためす等様々な進路があります。

 

Ⅲ 診療実績
1.
 潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患は外来200名で、年間75名程度の入院治療を行っています。厚生省の難治性腸管障害調査研究班にも参加し、新しい治療法を積極的に導入し、滋賀県におけるIBD診療の拠点病院としての使命を果たしています。また、腸管免疫の基礎研究から得た知識を積極的に臨床の場に還元し、特に、白血球除去療法の効果発現機序の解析から、LCAP、GCAPの適応について患者さんに最も適した治療法を選択しています。クローン病などの小腸病変に対して、積極的にカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡といった最新機器を導入して
おり、これらの習得が可能です。

 

2.  消化性潰瘍、食道癌、胃癌などの上部消化管疾患は年間外来1000名、入院200名で、早期胃癌、早期食道癌に対する内視鏡的粘膜切除術、内視鏡的粘膜切開剥離術を積極的に行っています。上部消化管内視鏡検査件数は年間2600件、粘膜切除術80例、粘膜切開剥離術100例です。

 

3.  大腸癌、大腸ポリープなどの下部消化管疾患は年間外来500名、入院300名で、下部消化管内視鏡検査件数は年間1400例、粘膜切除術は230例です。

 

4.  慢性肝炎などの肝疾患は年間外来500名、入院200名で、肝臓癌の集学的治療として肝動脈塞栓療法(TAE)やラジオ波凝固療法(RFA)、慢性C型肝炎のインターフェロン治療、肝硬変の栄養療法など行っています。

 

5.
 近年発展著しい胆膵内視鏡領域においても、内視鏡的逆行性胆膵管造影検査(ERCP)や超音波内視鏡検査(EUS)など積極的に施行し、胆膵疾患の診断・治療を積極的に行っています。また、難治性膵疾患調査研究班に参加し、膵線維化、膵炎の病態の基礎研究を通して、膵疾患に対する新たな診断、治療法を開発することを目指しています。胆管癌・膵癌を始めとした消化器悪性腫瘍に対する化学療法も積極的に実施しており、将来腫瘍内科医としての訓練も可能です。
 

 

Ⅳ 修得できる資格(専門医等)
  日本内科学会認定医、認定専門医、日本消化器病学会認定専門医(指導医)、日本消化器内視鏡学会認定専門医(指導医)、日本消化管学会専門医、がん治療認定医、がん薬物療法専門医

 

Ⅴ スタッフ
1.コース長
  氏  名 安藤 朗
  所属学会 日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化管学会、日本消化器免疫学会、日本膵臓学会、日本機能性食品医用学会、日本血液学会、日本臨床血液学会、日本免疫学会、米国消化器病学会、米国免疫学会、国際粘膜免疫学会
  認定資格 日本内科学会(認定医、指導医)、日本消化器病学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医、指導医)、日本血液学会(専門医、指導医)
  学会の役職 日本消化器病学会、日本膵臓学会、日本消化管学会、日本消化吸収学会、日本臨床血液学会(各評議員)、Journal of Gastroenterology (Associate editor)、機能性食品と薬理栄養(編集委員)

 

2.研修責任者(連絡先: andoh@belle.shiga-med.ac.jp TEL:077-548-2217)
  氏  名 安藤 朗
  所属学会 日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化管学会、日本消化器免疫学会、日本膵臓学会、日本機能性食品医用学会、日本血液学会、日本臨床血液学会、日本免疫学会、米国消化器病学会、米国免疫学会、国際粘膜免疫学会
  認定資格 日本内科学会(認定医、指導医)、日本消化器病学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医、指導医)、日本血液学会(専門医、指導医)
  学会の役職 日本消化器病学会、日本膵臓学会、日本消化管学会、日本消化吸収学会、日本臨床血液学会(各評議員)、Journal of Gastroenterology (Associate editor)、機能性食品と薬理栄養(編集委員)

 

3.指導医
  氏  名 佐々木 雅也 (栄養治療部)
  所属学会 日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化管学会、日本静脈経腸栄養学会、日本病態栄養学会、日本臨床栄養学会、日本大腸肛門病学会、日本膵臓学会、日本老年医学会、英国消化器病学会
  認定資格 日本内科学会(認定医、指導医)、日本消化器病学会(専門医、指導医)、日本消化器内視鏡学会(専門医、指導医)
  学会の役職 日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化管学会、日本病態栄養学会、日本静脈経腸栄養学会 (各評議員)、日本静脈経腸栄養学会(倫理委員会委員、広報委員会委員、フェローシップ委員会委員)
     
  氏  名 辻川 知之 (総合内科学講座)
  所属学会 日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化吸収学会、日本経腸静脈栄養学会、日本老年医学会、日本神経消化器病学会
  認定資格 日本内科学会(認定医、指導医)、日本消化器病学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医、指導医)、日本老年医学会(専門医)
  学会の役職 日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化吸収学会(各評議員)
     
  氏  名 馬場 重樹
  所属学会 日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本胆道学会、日本臨床腫瘍学会、日本消化管学会
  認定資格 日本内科学会(認定医)、日本消化器病学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医)、がん治療認定医
  学会の役職 日本消化器病学会近畿支部評議員、日本消化器内視鏡学会近畿支部評議員 
     
  氏  名 稲富 理
  所属学会 日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本膵臓学会、日本臨床腫瘍学会、日本プライマリケア学会
  認定資格 日本内科学会(認定医)、日本消化器病学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医)、がん治療認定医、臨床腫瘍学会(がん薬物療法専門医)
  学会の役職 日本消化器病学会近畿支部評議員、日本消化器内視鏡学会近畿支部評議員
     
  氏  名 塩谷 淳
  所属学会 日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会、日本臨床腫瘍学会
  認定資格 日本内科学会(認定医)、日本消化器病学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医)、がん治療認定医
     
  氏  名 西村 貴士
  所属学会 日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化管学会、日本臨床腫瘍学会
  認定資格 日本内科学会(認定医、指導医)、日本消化器病学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医)、日本肝臓学会(専門医)、日本がん治療認定医機構(がん治療認定医)
     
  氏  名 西田 淳史
  所属学会 消化器内科、内視鏡治療、炎症性腸疾患
  認定資格 日本内科学会(認定医、指導医)、日本消化器病学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医)、日本消化管学会(胃腸科認定医)
     
  氏  名 園田 文乃
  所属学会 消化器内科、癌化学療法全般
  認定資格 日本内科学会(認定医)、日本消化器病学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医)、日本がん治療認定医機構(がん治療認定医)
     
  氏  名 伴 宏充
  所属学会 日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化管学会、日本臨床腫瘍学会
  認定資格 日本内科学会(認定医)、日本消化器病学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医)、がん治療認定医
     
  氏  名 大崎 理英
  所属学会 消化器内科、内視鏡治療、肝疾患
  認定資格 日本内科学会(認定医)、日本消化器病学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医)
     
  氏  名 長谷川 大
  所属学会 消化器内科、内視鏡治療
  認定資格 日本内科学会(認定医)
     

 

Ⅵ 関連病院
  【滋賀県】
  東近江総合医療センター、JCHO滋賀病院、公立甲賀病院、彦根市立病院、長浜赤十字病院、大津市民病院、草津総合病院、守山市民病院、野洲病院、湖東記念病院、日野記念病院、友仁山崎病院、ヴォーリス記念病院

 
 
【京都府】
  西京都病院

 
 
【大阪府】
  済生会吹田病院、住之江病院
 
 
【東京都】
  武蔵野赤十字病院
 
 
【静岡県】
  静岡県立がんセンター

 

Ⅶ 最近の業績(1997年以降)
  http://www.shiga-med.ac.jp/~hqmed2/Office/GI/d_publications.html

 

Ⅷ  教室からのトピックス
   
  炎症性腸疾患にまつわる先進医療 ~研究レベルで
   
1. 抗インフリキシマブ抗体
 
  潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患は、再燃・寛解を繰り返すために、長い間、難治性慢性疾患とされてきました。しかし今からちょうど10年前に、クローン病に対して抗腫瘍壊死因子抗体製剤(抗TNF-α抗体製剤インフリキシマブ(レミケード®))が保険適応となり、治療経過は一変、長期間寛解を維持できるようになりました。さらに2009年にはインフリキシマブが潰瘍性大腸炎にも適応となり、2010年には患者さん自身で皮下注射できる抗TNF-α抗体製剤アダリムマブ(ヒュミラ®)がクローン病に保険適応となり、様々な治療法の選択枝が増えることとなりました。
 当院でも年々、抗TNF-α抗体製剤を使用する患者さんが増えています。しかし抗TNF-α抗体製剤を長期使用すると次第に効果が減弱する人がいることが明らかとなってきました。さらに私たちは、その効果減弱が患者さんに抗TNF-α抗体製剤の効果を中和するような免疫ができてしまうことによるものであることを明らかにしました。抗TNF-α抗体製剤を中和するような免疫(抗生物学的製剤抗体=抗インフリキシマブ抗体(ATI)・抗アダリムマブ抗体(ATA))ができてしまった患者さんは、抗TNF-α抗体製剤の血中濃度が十分に上昇しないため、投与日が近づいてくると少しづつ調子が悪くなってきます。現在私たちは、インフリキシマブやアダリムマブの効果が減弱した患者さんにはこの抗TNF-α抗体製剤の血中濃度と抗生物学的製剤抗体製剤濃度の測定をおこない、別の抗TNF-α抗体製剤へ切り替えるかどうかの判断をしつつ治療にあたっています。
 


 

 

2. 免疫調節剤の投与時における一遺伝子多型
 
  潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の薬のなかにアザチオプリン(イムラン®)という免疫調節剤があります。このお薬は効きすぎると白血球が減少してしまうことがありますので、定期的な採血をしてチェックする必要があります。このお薬が効きすぎる人は、何種類かの遺伝子配列(MRP4, TPMP, ITPAなど)である程度決まっていて、日本人は約4割の人がこれに相当します。この遺伝子配列を持っている人の全員が必ずしも効きすぎるわけではありませんが、定期的な採血の必要性がさらに重要になっています。
 現在、私たちは希望された患者さんにはこのお薬を投与する前に、あらかじめこれらの遺伝子配列をお調べして、発熱や下痢といった感染兆候に十分注意していただくようにご説明しています。さらには、通常より採血の回数を多く設定し、治療にあたっています。
 

 

 

3. 新しい炎症性腸疾患マーカー ~便中カルプロテクチン・便中キチナーゼ3L1
    潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の日常診療において、現在、最も患者さんの状態を把握するのに有効な検査は大腸カメラや小腸内視鏡ですが、そう頻回にできる検査ではありません。CRPや血清アルブミン、ヘモグロビン、赤血球沈降速度(赤沈)といった血液検査で経過をみているのが現状です。
 そこで、新たな臨床マーカーとして、現在ふたつの便中タンパク質の検査を日常診療に活かそうとしています。ひとつはすでに世界的に認められつつある便中カルプロテクチン値です。これは炎症、特に炎症性腸疾患の活動期に上昇するもので、内視鏡検査に匹敵するものであることが証明されつつあります。CRPや血清アルブミンなどの血液検査よりもかなり鋭敏で、ほかの疾患では上昇しにくいことを利用して、炎症性腸疾患の経過をみることに利用しています。ふたつ目は便中キチナーゼ3L1 (Fecal chitinase 3 like-1: CHI3L1)というタンパク質で、便中カルプロテクチンと同様に炎症の活動期に上昇することを我々は見出しました。
どちらも侵襲の少ない検査で、便を持ってきていただくだけで検査が可能です。頻回にすることによって、より細かな診療が可能になると私たちは考えています。
 
 
  以上、ここに紹介した内容は一部ですが、より良くより患者さんに負担の少ない診療をめざして、私たちは日々改善を行っています。


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事務局:滋賀医科大学医学部附属病院 医師臨床教育センター(旧卒後臨床研修センター)(E-mail: kensyu@belle.shiga-med.ac.jp)