1. ルート
  2. 後期研修
  3. 平成28年度後期レジデント
  4. 精神科

精神科

精神科 後期卒後臨床研修プログラム

 

I 精神医学とは何か
1.診療科の特色
   精神疾患は、「こころの病気」とする異常心理的側面と、高次脳機能異常の表現型とする身体医学的側面を持ち、近年ではテクノロジーの躍進による非侵襲的脳機能評価法が進歩し、後者がより重要視される傾向にある。しかし、日常臨床においては、医師-患者関係が精神科の基本であることに変わりはない。そこには、相手の話を傾聴し、相手の気持ちを理解し、苦悩している相手を援助するという時代を超えた医療の原点がある。

 

2.診療科の社会的ニーズ・必要性
   自殺、労災過労死、児童虐待、PTSD、薬物依存、睡眠障害など現代社会での精神疾患の増加とともに、精神科用語がマスコミに取り上げられ、広く社会的に認知されるようになった。行政的には、平成15年には「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(医療観察法)が、重大犯罪行為を行った心神喪失者等に対する新たな処遇制度として公布された。また、医療保険制度から見ても、従来の精神科特例からの脱却、すなわち一般病院並みの医師数や設備を要求されるようになった。社会の各方面から精神科医療への期待と必要性が増加しており、こうした時代の要請に後押しされ、医師卒後臨床研修システムにおいて精神科は必修科目として採用された。しかし、小児科、産婦人科医師以上に精神科医の不足は深刻である。社会の需要を担うべく、本学からも優秀な精神科医師を数多く輩出したいと考えている。

 

3.取得できる資格(認定医等)
  必修:精神保健指定医
  選択:日本精神神経学会認定医、日本睡眠学会認定医、日本臨床精神神経薬理学会認定医、日本老年精神医学会認定医

 

4.対象疾患
   滋賀医科大学精神科は開学以来、精神障害の中でも感情障害や睡眠障害を中心に取り組んできた。睡眠障害に対しては、人的資源、施設面の両面で拡充してきており、平成16年4月には全国で初めて睡眠医学講座の開設に至った。この他にも、てんかんや認知症の特殊外来、総合病院という特性を生かしたリエゾン精神医学、緩和医療・サイコオンコロジーにも力を入れている。

 

Ⅱ スタッフ
1.コース長兼研修責任者
  氏  名 山田 尚登
  所属学会 日本精神神経学会、日本睡眠学会、日本生物学的精神医学会、日本精神科診断学会、日本時間生物学会、日本脳科学会
  認定資格 精神保健指定医、日本精神神経学会認定医、日本睡眠学会認定医
  学会の役職 日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事、日本生物学的精神医学会評議員、日本精神科診断学会評議員、日本脳科学会評議員
  専門分野 精神医学、睡眠医学、時間生物学

 

2.指導医
  氏  名 金井 裕彦
  所属学会 日本精神神経学会、日本てんかん学会、日本高次脳機能学会、日本睡眠学会、日本臨床生理学会、日本総合病院精神医学会、日本神経科学学会、日本神経精神薬理学会、近畿精神医学会
  認定資格 精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、指導医
  学会の役職 近畿精神医学会評議員
  専門分野 臨床精神医学、臨床脳波学、てんかん

 

Ⅲ 研修概要
1.研修目標
  ●精神保健指定医取得
   後期研修については、研修目標を「精神保健指定医取得のために必要な臨床経験を積むこと」と考えており、スーパーローテートを2年終えた後の2年間を後期研修期間と位置づけている。精神障害および精神障害者福祉に関する法律における精神保健指定医の役割は重要であり、同法の遵守と患者の人権に対する配慮と、全ての精神障害に対する基本的な診療能力の習得は臨床医としての最低限の到達目標である。
  ●症例をまとめ、科学的に分析し、発表する力
   2年間の研修のうち、近畿精神神経学会などの学会発表(臨床研究または症例発表)や論文発表を指導している。
  ●司法精神医学領域での研修
   上級医が行っている精神鑑定(起訴前鑑定または正式鑑定)に、鑑定助手として参加し、司法と精神医学の連携や鑑定書作成のための手順等について学ぶ。
  ●保険診療について
   精神科特殊医療が現行の保険制度の中でどのように認められ、医療で注意すべきことは何か、医師として行った行為に責任を持つことを指導する。

 

2.研修スケジュール
  Aコース(2年間の前期研修において、6ヶ月(最低でも3ヶ月以上)精神科を選択して研修を行った場合)
  研修1年目:大学病院において、一般病院で経験しにくい症例(児童思春期精神障害、症候性精神障害)を経験し、精神障害者の身体的合併症の管理、リエゾン精神医学などについて研修を行えば、関連病院での研修が可能となる。
  研修2年目から:関連病院において、指定医申請に必要な症例、特に統合失調症の措置入院症例、認知症、中毒性精神障害を経験するとともに、精神科救急(措置鑑定)、精神科リハビリテーション、地域精神保健など、大学で経験できない一般精神医療について研修を積む。その間、研究生(社会人大学院生を含む)として、大学での研究活動やカンファレンスに参加する。
  Bコース(それ以外)
  研修1年目:大学病院において、精神科基礎教育を受けつつ、一般病院で経験しにくい症例(児童思春期精神障害、症候性精神障害)を経験し、精神障害者の身体的合併症の管理、リエゾン精神医学などについて研修する。
  研修2年目から:関連病院において、指定医申請に不足している症例(特に統合失調症の措置入院症例、痴呆性疾患、中毒性精神障害)を経験するとともに、精神科救急(措置鑑定)、精神科リハビリテーション、地域精神保健を学ぶ。
  (注)
   ただし、大学院進学や大学での特殊診療(睡眠障害など)を志すなど、研修医からの希望があれば、研修内容を調整する。
   いずれのコースでも、精神保健指定医の最短の申請は、3年間の後期研修終了の翌年度の7月頃となる見込み。その場合、実際に認定されるのはその年の12月頃である。

 

3.関連病院
  滋賀県立精神医療センター、琵琶湖病院、滋賀里病院、瀬田川病院、水口病院、八幡青樹会病院、豊郷病院、長浜青樹会病院、長浜赤十字病院(以上、滋賀)、西濃病院(岐阜)、西山病院(京都)、北津島病院(愛知)、藍陵園病院(大阪)など。

 

4.カンファレンス・抄読会
  毎週月曜日:入退院患者および在院患者のケースカンファレンス
  隔週月曜日:症例検討会。学外研修期間中の研修医も参加を奨励する。
   外部講師による月一回の滋賀医大精神医学セミナーを行っている。公開型でホームページで開催を確認できる。
   また、クローズドの学内抄読会は、定期的なものは研究グループ単位で行い、医局全体での輪読会等は不定期的である。

 

5.業務の週間予定
  外来診療研修が2回/週
  病棟受け持ち患者数が、4~5人
  を日々こなしながら、特殊診療にも随時当たっていく。

 

Ⅳ 研修実績
1.認定資格の取得実績
   当科で所定の年限(医師として5年、うち精神科3年)の研修を行った医師は、全員精神保健指定医に認定されており、必須である。選択できる認定医資格としては、日本精神神経学会認定医、日本睡眠学会認定医、日本臨床精神神経薬理学会認定医、日本老年精神医学会認定医を取得できる。

 

2.修了後の進路
  研修終了後は、各個人の希望に添って各病院に赴任する。
    単科精神病院志向型
    総合病院有床精神科志向型
    総合病院無床精神科志向型
    診療所開業志向型
    研究(基礎・臨床)志向型
  を3年間の後期研修の中で選択していけるように指導・助言している。

 

Ⅴ 診療グループ情報
1.外来患者数
   日本でも有数の人口増加地域である大津市、草津市をキャッチメント・エリアとしており、開学以来外来患者数は増加の一途を辿っている。外来部門は、脳神経センターとして脳神経外科、神経内科、精神科の3科合同で運営しており、精神科単独では、月平均、新来約120名、再来約1,400名の外来患者を受け入れている。
 さらに、03年に睡眠障害センター設置、04年に睡眠学講座開講と、全国に先駆けて睡眠医学の臨床・研究体制を整備してきた。この流れは全国的で、05年には東京大学、愛知医科大学で同様の講座が設立されている。

 

2.入院患者数
   1C病棟は45床の開放・閉鎖の併設病棟であり精神科と睡眠科が併存する形式を取っている。看護基準は10対1であり、睡眠障害検査入院(1泊2日)、クリニカルパスを多く導入し、平均在院日数は28日以下と精神科病棟としては日本においてトップクラスであり、高い回転率をもって運用している。入院患者を対象に、臨床心理士、看護師とともに、絵画療法などの芸術療法、生活技能訓練(SST)を行っている。

 

3.手術件数
   修正電気けいれん療法:40件/月
 基礎疾患として精神障害のある患者を手術する場合、当科に入院し行うことも多く、術後管理など身体的治療の研修も可能である。

 

4.検査件数(項目別概数)
   終夜睡眠ポリグラフ:16~20件/月 MSLT:4件/月
   心理/神経心理検査:随時

 

5.経験可能な疾患
   全ての精神疾患が経験可能である。総合病院であり、症候性精神障害や身体的合併症を有する精神疾患、精神科救急、睡眠障害など、一般の精神病院で経験が難しい症例も可能。

 

6.経験可能な手技
  精神疾患に関するもの
・修正電気けいれん療法
・脳波検査の実施と判読
・WAIS-Rをはじめとする各種心理検査
  睡眠(リズム)障害に関するもの
・終夜睡眠ポリグラフ検査の実施と解析
・睡眠時無呼吸症候群患者へのn-CPAPの指導
・深部体温の測定と解析
・アクチウォッチを用いた行動リズムの測定と解析

 

7.主な研究分野
  臨床薬理学、薬理遺伝学、分子生物学、睡眠学、時間生物学

 

8.施設の学会認定
  日本睡眠学会、日本老年医学会、日本臨床薬理学会

 

9.国内・国際的評価(研究・診療分野・先端的医療)
   03年睡眠障害センター設置、04年睡眠学講座の開講と、いずれも全国に先駆けて睡眠医学における臨床と研究体制を整備してきている。この流れは全国的に浸透しつつあり、05年には東京大学、愛知医科大学で本講座に続き睡眠医学講座が設立された。こうした睡眠障害に対する積極的な試みは、学術的な評価以上に社会での認知度が高まり、当科には広く全国から患者さんが来院するようになった。また、外国からの研修医師の受け入れも行っている。(これまでに、中国人医師1名、台湾人医師1名)

 

Ⅵ メッセージ
1.コース長兼研修責任者
   精神医学は医学の中で社会から最も期待されている領域です。21世紀は「心と脳」の時代と言われるように、脳研究はすばらしい発展を遂げています。また、こころの病は社会と生活環境の変化と共に多様化し、増加の一途をたどっています。滋賀医科大学精神科での後期研修においては、将来精神科医として働くために必要な知識や技能を習得するばかりでなく、研修医各個人の特性に合わせたより深い専門性を身に付けていただけるような研修を用意しています。精神保健指定医や日本精神神経学会認定医をはじめとして、精神科医としての様々な資格も研修中に取得可能です。滋賀医科大学精神科での研修を自信を持ってお勧めします。

 

2.指導医
   近年、「精神障害に対する一般社会の意識」は確実に変わってきています。そして精神医療もその流れに敏感に応え、その目的・スタイルをマッチさせていくことが必要とされています。
 当科は開学当初から30年間、一貫してDSMによる診断体系を用いており、明確で客観的な診断技術の習得に力を入れています。指導体制はマンツーマン方式で行われ、全体では臨床心理士や指導医の専門にあわせたセミナー形式の研修を行っており、精神症状評価尺度、心理検査、終夜ポリグラフを含む脳波検査について、十分な症例数の実践的経験を積める様配慮しています。
 この研修では大学病院における多種多様な精神障害の治療に取り組んで頂き、さらには脳科学研究の一端にもふれて頂ければ幸いと思っております。(金井 裕彦)

 

4.修了者
   私は平成11年に高知医科大学(現高知大医学部)を卒業し、滋賀医科大学精神科での臨床研修を修了しました。研修により、精神科領域における標準的な診断技法の基礎を身につけ、生物学的あるいは薬理学的な観点と医学的根拠を重視し治療を行うという基本姿勢を習得することができ、大変有意義であったと感じています。滋賀医科大学精神科では回診毎に入退院のサマリーを作成し、プレゼンテーションを行いますが、特にこの経験が精神科的な状態像の記述と、経時的に病状を分析し評価するトレーニングに非常に有効であったと感じました。私は2年間の附属病院での研修の後、3年間市中の精神科病院に勤務し、その結果精神保健指定医の資格を習得しました。精神保健指定医は人権擁護という観点からもその責務は重大であり、社会的に個々に求められる資質と必要性が高まりつつある現状を受け、年々審査が厳しくなっているといわれています。審査の重要な基準になる規定数の症例報告において求められるものは、精神科に携わる医療者としての基本姿勢と、適切に病状を評価し経過を記述する能力であり、ここでの研修経験が非常に役立ったことを改めて感じました。そのほか睡眠医学についても研修できることが大きな特色であり、より広く臨床経験を積むことができるため、研修終了後の精神科医としての方向性や専門性の選択肢は広がります。そのような理由で、精神科医を志す方はもちろんのこと、精神科に興味はあるがまだその具体的な方向性や将来像が明らかではない方については特にここでの研修をお勧めします。(99年卒業、04年精神保健指定医取得 吉村 篤)

 

4.レジデント
   滋賀医大精神科では、統合失調症やうつ病だけでなく、身体化障害や睡眠障害、老年期精神障害、児童思春期精神障害などの患者さんも多く外来に来られ、あらゆる精神疾患について一通りの経験を積むことができます。外来では初診患者の予診をとり、初診担当医の診察に立ち会いながら面接技法や診断へのプロセス、治療方法を学んでいきます。病棟は開放的で良好な入院環境であり、研修医は指導医と共に主治医として診療にあたります。指導はマンツーマンであり、疑問点はすぐに解決できるシステムとなっています。患者さんに「診てもらえてよかった」と思われる精神科医を私たちと一緒に目指しませんか?(03年卒業 山原 真理)

 

Ⅶ 問い合わせ窓口
1.担当者: 金井 裕彦

 

2.TEL: 077-548-2291   FAX: 077-543-9698

 

3.E-mail:  kanai@belle.shiga-med.ac.jp


〒520-2192 滋賀県大津市瀬田月輪町 TEL:077-548-2436 FAX:077-548-2832
事務局:滋賀医科大学医学部附属病院 医師臨床教育センター(旧卒後臨床研修センター)(E-mail: kensyu@belle.shiga-med.ac.jp)