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TOPICS~病気・治療法の解説~

急性白血病って、どんな病気  血液内科 木藤 克之

血液って、なに?

 私たちの身体は全身の血管の中を流れる血液細胞によって支えられています。健康診断などで、血液を採取されたことがあると思います。その中身を観察してみると、その半分は血漿(けっしょう)という水とタンパク質などから出来ている成分で、残りの半分は血液細胞(赤血球、白血球、血小板)からなっています。

 赤血球は、全身にくまなく酸素を運んでくれています。血小板は、怪我などの際に血管の傷を塞いで血を止めてくれる働きがあります。そして白血球は、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球に分類され、外部から侵入する異物、微生物を巧みに排除する作用を持っています。

血液はどこでつくられる?

 血液細胞は体のどこでつくられているのでしょうか。その答えは、私達の全身の骨の中にある骨髄という場所です。骨髄では、生まれてから一生涯、バランスよくすべての血液細胞をつくりつづけています。その中をのぞいてみると、神秘的な海の中に似ています。豊富なプランクトン、栄養たっぷりの海藻、美しいサンゴ礁などの環境に囲まれて、たくさんの魚達が成長するように、豊かな骨髄環境の中で造血幹細胞(血液細胞のもととなる細胞)から、多くの血液細胞が生まれて、成長しています。

急性白血病になると、どんな症状が出るの?

 骨髄の中で、造血幹細胞から赤血球、血小板、白血球へと成長していく過程の途中で、ある日突然に1つの細胞に異変が起きます。するとその細胞は成長することをやめ、幼い状態のままでどんどん自らを増やしていきます。骨髄の中は異常な細胞で占められて、正常な血液細胞をつくる場所がなくなってしまいます。

 病院に来る患者さんたちは、それまでは健康だった人がある日突然にいろんな症状に襲われます。著しい貧血によってふらつきや動悸などを自覚するようになり、血小板減少によって手足や口の中に出血斑(しゅっけつはん)が出るようになり、白血球減少によって高熱を認めるようになります。同時に、骨髄の中であふれた異常細胞が血液の中に大量にあふれて出てきます。このような状態を、急性白血病といいます。急性白血病の患者さんは、全国で年間に9,000人以上発症しています。さらに、この病気は小児から高齢者まで罹患する怖い病気です。

急性白血病の治療法は?

 患者さんごとに、白血病細胞の性格(遺伝子異常や染色体異常のタイプなど)を細かく調べて、その患者さんの白血病が抗がん剤が有効であるタイプなのか、あるいは造血幹細胞移植(骨髄、末梢血幹細胞、臍帯血などの移植)が必要であるかを判断していきます。急性白血病の治療法(抗がん剤治療の選択や造血幹細胞移植の適応など)については、全国の大学病院、総合病院などの血液専門医たちが協力して臨床研究が進められています。すなわち、全国の病院が等しく最良の治療を患者さんに提供できるように研究が続いており、少しずつ急性白血病患者さんの治療成績は向上しています。さらに、最近では新しい薬(遺伝子標的治療剤)もいくつか開発されており、多くの患者さんの治癒への期待が高まります。

造血幹細胞移植って、どんな治療なの?

 しかし、急性白血病のタイプによっては、造血幹細胞移植が、唯一治癒するための手段である患者さんも多くいます。そしてその治療を受けるためには、白血球のタイプが合った提供者(ドナー)が必要です。造血幹細胞移植を簡単に説明しますと、抗がん剤治療のみでは治癒することが難しいとされるタイプの急性白血病患者さんは、治療の最終段階に造血幹細胞移植療法を受けることになります。その時には、残存する白血病細胞を根絶するために大量の抗がん剤、場合によっては全身放射線照射を受けなければなりません。そうすることで、身体に残った白血病細胞は1つ残らず退治するようにします。しかし、同時に患者さんご自身の骨髄にも大きなダメージが残ってしまいます。結果として長期間に渡り血液細胞がつくられない状態が続きます。

 そこで、患者さんの骨髄機能を助けるために、健康なドナーから採取した造血幹細胞を患者さんに移植してあげることが必要となります。これが骨髄移植をはじめとした造血幹細胞移植です。現在では患者さんの病状やドナーの条件などを考慮して、その移植方法として骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植などが選択できますし、また使用する抗がん剤の種類や量、放射線治療の強度を調整して、それぞれの患者さんの疾患、年齢や合併症の有無を考慮した造血幹細胞移植(ミニ移植)が広く実施されています。

骨髄バンクについて

 この移植医療において、最も大切なことはドナーを探すことです。日本に骨髄バンクが誕生したのが1991年のことです。多くの方々の努力によって、現在、骨髄バンクに登録している方は約52万人、現在、移植を受けている患者さんは日本中で毎月100人程度にのぼり、現在までに23,000人の患者さんが移植を受けています。滋賀県でも、これまでに160人以上の患者さんが移植を受けることができました。

 白血病の治療は日々進歩しています。しかし、現在のところは、最終治療としての造血幹細胞移植がとても重要であり、そのためには多くの方々のドナー登録が必要です。ぜひ皆さんも、一度骨髄バンクのホームページなどで造血幹細胞移植ドナー登録について考えてみてください。