原田亜紀子先生監修
「帰無仮説、棄却する。― 素養としての統計学」
図書展示「帰無仮説、棄却する。― 素養としての統計学」を開催しています。
10月開講の学部生向け講義「DSAI入門」(文部科学省認定 数理・データサイエンス・AI教育プログラムの中心講義の一つ)にあわせ、この講義のデータサイエンスパートを担当されるNCD疫学研究センター・医療統計学部門 原田亜紀子准教授に監修をお願いし、医療統計学・生物統計学・疫学・データサイエンスに関する資料53点を集めました。
展示期間中も貸出できます。ぜひご覧ください。
≪原田先生からのメッセージ≫
H0(帰無仮説)
「臨床に進むのに、統計の素養は必要ない」
H1(対立仮説)
「統計という言語を持つことは、より良い医療への近道である」
検証にあたって
より良い医療を届けるには、臨床研究を正しく行い、正しく解釈し、正しく伝える力が欠かせません。
講義でいつもお伝えすることですが、統計の専門家と肩を並べる知識は必要ではなく、必要なのは統計学の素養です(あえて素養と言いたいと思います)。よりよい臨床研究の成果は、臨床家と統計家のケミストリー(マリアージュ)で生まれることが少なくありません。臨床家が統計という言語を身につけることで、統計家がより良い方針を出せる可能性も高くなりますし、統計家も臨床家の言語が理解できるよう互いに日々研鑽していくことが、より良い医療への近道だと考えています。
気になる検証の続きは・・・こちら
- 開催期間:2026年10月5日(月)−11月4日(水)
- 展示図書リスト
| 書名 | 編著者名 | 請求記号 | 出版年 | 分類 |
| データ社会を生き抜くための武器と教養 (統計学が最強の学問である / 西内啓著 ; [正編]) | 350||1||Nis | 2013 | よみもの:統計のディープな世界を | |
| 統計学の極意 | デイヴィッド・シュピーゲルハルター著 ; 宮本寿代訳 | 417||||Spi | 2024 | よみもの:統計のディープな世界を |
| Factfulness : 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 | ハンス・ロスリング, オーラ・ロスリング, アンナ・ロスリング・ロンランド著 ; 上杉周作, 関美和訳 | 002||7||Fac | 2019 | よみもの:データをどうよむか |
| 因果推論の科学 : 「なぜ?」の問いにどう答えるか | ジューディア・パール, ダナ・マッケンジー著 ; 夏目大訳 | 417||||Boo | 2022 | よみもの:統計のディープな世界を/ 因果推論 |
| 「もしも」で命は救えるか? : 因果推論入門 (光文社新書 ; 1411) | 井上浩輔 [著] | WA||950||Ino | 2026 | よみもの:統計のディープな世界を/ 因果推論 |
| 統計学入門 : データ分析に必須の知識・考え方 : 仮説検定から統計モデリングまで重要トピックを完全網羅 | 阿部真人著 | 417||||Abe | 2021 | 統計理論 |
| 公式と例題で学ぶ統計学入門 | 久保川達也著 | 417||||Kub | 2024 | 統計理論 |
| 分析者のためのデータ解釈学入門 : データの本質をとらえる技術 : Data hermeneutics | 江崎貴裕著 | 417||||Eza | 2020 | 統計理論 |
| データ解析のための統計モデリング入門 : 一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC (確率と情報の科学 / 甘利俊一, 麻生英樹, 伊庭幸人編 ; 第1期) | 久保拓弥著 | 417||||Kub | 2012 | 統計理論 |
| 生物統計学の道標 : 研究デザインから論文報告までをより深く理解するための24講 | 厚生労働統計協会編 | WA||950||Sei | 2023 | 生物統計学 |
| 短期集中!オオサンショウウオ先生の医療統計セミナー論文読解レベルアップ30 | 田中司朗, 田中佐智子著 | WA||950||Tan | 2016 | 生物統計学 |
| 短期集中!オオサンショウウオ先生の糖尿病論文で学ぶ医療統計セミナー : 疫学研究・臨床試験・費用効果分析 | 田中司朗, 耒海美穂, 清水さやか著 | WA||950||Tan | 2019 | 生物統計学 |
| 押さえておきたい臨床統計の勘所 : 入門から実践的アプローチまで | 折笠秀樹著 | WA||950||Ori | 2022 | 生物統計学 |
| ヘルスデータサイエンス入門 : 医療・健康データの活用を目指して | 手良向聡, 山本景一, 河野健一編 | WA||950||Hea | 2023 | 生物統計学 |
| 医学への統計学 第3版 (統計ライブラリー) | 丹後俊郎著 | WA||950||Iga | 2013 | 生物統計学 |
| 学会・論文発表のための統計学 : 統計パッケージを誤用しないために 新版 | 浜田知久馬著 | WA||950||Ham | 2012 | 生物統計学 |
| 論文を正しく読み書くためのやさしい統計学 改訂第3版 | 中村好一編集 | WA||950||Ron | 2019 | 生物統計学 |
| 今日から使える医療統計 第2版 | 新谷歩著 | WA||950||Shi | 2025 | 生物統計学 |
| いちばんやさしい、医療統計 : 図解ですんなりわかる統計の基本 改訂版 | 吉田寛輝著 | WA||950||Yos | 2026 | 生物統計学 |
| 医学的研究のための多変量解析 : 標準一般化線形モデルから一般化推定方程式まで:最適モデルの選択、構築、検証の実践ガイド 第2版 | ミッチェル H. カッツ著 ; 木原正博, 木原雅子訳 | WA||950||Kat | 2020 | 生物統計学 |
| 生存時間解析 : SASによる生物統計 第2版 | 大橋靖雄, 浜田知久馬, 魚住龍史著 | QH||323.5||Sei | 2022 | 生物統計学(臨床試験方法論)/パッケージ(SAS)/生存時間解析 |
| 臨床試験方法論 : エビデンス創出のための試験デザインと統計解析 | 平川晃弘 [著] | W||20.55||Hir | 2025 | 生物統計学(臨床試験方法論) |
| 臨床予測モデル : 開発・妥当性確認・更新の手引き | Ewout W.Steyerberg著 ; 手良向聡, 大門貴志監訳 | WA||950||Ste | 2023 | 生物統計学(臨床予測モデル) |
| わかりやすい医学統計の報告 : 医学論文作成のためのガイドライン | Thomas A.Lang, Michelle Secic著 ; 大橋靖雄, 林健一監訳 | WA||950||Wak(B) | 2011 | メディカルライティング(統計の記載) |
| 医学的研究のデザイン : 推論の質を高める系統的アプローチ 第5版 | Warren S. Browner [ほか] 著 | W||20.5||Iga | 2024 | 疫学/ 生物統計学(研究方法論) |
| アドバンスト分析疫学 : 369の図表で読み解く疫学的推論の論理と数理 | モイセス スクロ, F.ハビエル ニエト著 ; 木原正博, 木原雅子訳 | WA||950||Epi | 2020 | 疫学 |
| 疫学 : 医学的研究と実践のサイエンス | レオン ゴルディス著 ; 木原正博, 木原雅子, 加治正行訳 | WA||105||Eki | 2010 | 疫学 |
| 現代疫学 原著第4版 | Timothy L. Lash, Tyler J.VanderWeele, Kenneth J.Rothman, Sebastien Haneuse編 ; 佐藤俊太朗, 芝孝一郎, 藤井亮輔, 後藤匡啓, 今村文昭監訳 | WA||105||Mod | 2024 | 疫学 |
| 疫学・臨床研究のための因果推論 : Robinsのg‐methodsによる現実問題へのアプローチ | 篠崎智大 [ほか] 著 | WA||950||Eki | 2026 | 疫学/生物統計学(因果推論) |
| 医学研究のための因果推論レクチャー | 井上浩輔, 杉山雄大, 後藤温執筆 | WA||950||Iga | 2024 | 疫学/生物統計学(因果推論) |
| 因果推論 : 基礎から機械学習・時系列解析・因果探索を用いた意思決定のアプローチ | 金本拓著 | 417||||Kan | 2024 | 疫学/生物統計学(因果推論) |
| 超絶解説医学論文の難解な統計手法が手に取るようにわかる本 | 康永秀生, 山名隼人, 岩上将夫編著 | WA||950||Cho | 2019 | 疫学/生物統計学(因果推論) |
| 統計解析ソフト「SAS」 改訂版 | 高浪洋平, 舟尾暢男著 | 417||||Tok | 2015 | パッケージ(SAS) |
| 超入門!Rでできるビジュアル統計学 : 学会・論文発表に役立つデータ可視化マニュアル 第2版 | 藤井亮輔, 鈴木康司著 | WA||950||Cho | 2024 | パッケージ(R) |
| 無料統計ソフトEZRでやさしく学ぶ統計学 : EBMの実践から臨床研究まで 改訂4版 | 神田善伸著 | WA||950||Kan | 2026 | パッケージ(R) |
| みんなの医療統計 : 12日間で基礎理論とEZRを完全マスター! ; [正] | 新谷歩著 | WA||950||Shi | 2016 | パッケージ(R) |
| みんなの医療統計 : 10日間で基礎理論とEZRを完全マスター! ; 多変量解析編 | 新谷歩著 | WA||950||Shi | 2017 | パッケージ(R) |
| 最短コースでわかるPythonプログラミングとデータ分析 : 身近なデータが宝の山に! | 赤石雅典著 | 007||609||Aka | 2022 | パッケージ(Python) |
| ゼロからはじめるデータサイエンス入門 : R・Python一挙両得 (実践Data Scienceシリーズ) | 辻真吾, 矢吹太朗著 | 007||609||Zer | 2021 | パッケージ(Python) |
| Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書 第3版 (AI & technology) | 寺田学 [ほか] 著 | 007||609||Pyt | 2025 | パッケージ(Python) |
| SPSSで学ぶ医療系データ解析 第2版 | 対馬栄輝著 | WA||950||Tsu | 2016 | パッケージ(SPSS) |
| SPSSで学ぶ医療系多変量データ解析 第2版 | 対馬栄輝著 | WA||950||Tsu | 2018 | パッケージ(SPSS) |
| SPSSによる統計処理の手順 第10版 | 石村光資郎著 | 417||||Sps | 2023 | パッケージ(SPSS) |
| SPSSによる医学・歯学・薬学のための統計解析 第5版 | 石村光資郎, 久保田基夫著 | WA||950||Sps | 2022 | パッケージ(SPSS) |
| JMPによる医療系のための多変量データ分析 | 内田治, 嵜山陽二郎著 | WA||950||Jmp | 2024 | パッケージ(JMP) |
| JMP医学統計マニュアル Ver.17対応版 | 長田理著 | WA||950||Nag | 2023 | パッケージ(JMP) |
| JMPによる医療系データ分析 : 統計の基礎から実験計画・アンケート調査まで 第3版 | 内田治, 石野祐三子, 平野綾子著 | WA||950||Jmp | 2023 | パッケージ(JMP) |
| データサイエンスエキスパート演習 : 日本統計学会公式認定統計検定データサイエンスエキスパート対応 | 日本統計学会編 | 417||||Dat | 2025 | 統計学会検定 |
| データサイエンス発展演習 : 日本統計学会公式認定統計検定データサイエンス発展対応 | 日本統計学会編 | 417||||Dat | 2024 | 統計学会検定 |
| 統計検定2級公式問題集 : 日本統計学会公式認定 ; 2018-2021年 | 日本統計学会出版企画委員会編 ; 統計質保証推進協会統計検定センター著 | 417||79||Tok | 2021 | 統計学会検定 |
| 統計検定準1級公式問題集 : 日本統計学会公式認定 | 日本統計学会編 | 417||79||Tok | 2021 | 統計学会検定 |
| 応用基礎としてのデータサイエンス : AI×データ活用の実践 改訂第2版 (データサイエンス入門) | 北川源四郎, 竹村彰通編 ; 赤穂昭太郎 [ほか] 著 | 007||609||Oyo | 2025 | 統計学会検定 |
| 教養としてのデータサイエンス 改訂第2版 (データサイエンス入門) | 北川源四郎, 竹村彰通編 ; 内田誠一 [ほか] 著 | 007||609||Kyo | 2024 | 統計学会検定 |
証拠�@ 読み物 ― まず「おもしろい」と思ってほしい
『統計学が最強の学問である』は、私と同じ研究室で同じ統計教育を受けた西内啓先生による一冊です(最初に断っておきますが、私は最強だとは思っていませんが(笑))。本に散りばめられたネタは、私たちが一緒に受けた恩師(故人)の授業そのもの(めちゃくちゃ早口で、強烈な印象を放つ講義をする先生でして。生物統計学の試験で3分の1の学生を落としたことも)。本が評判になった際、恩師が「人の講義内容をうまく使って、一儲けしやがって」と言いながら嬉しそうに飲んでいたのを、今でも思い出します(私は隣で、あなたが書いたらきっと小難しい本になっていたでしょうと思いながら飲んでました)。 シュピーゲルハルター先生(ケンブリッジ大学・ベイズ統計学がご専門)の『統計学の極意』も、数式を使わず数的センスを磨いてくれる一冊としておすすめです。
『ファクトフルネス』は、人間の本能(10あげている)のせいで、数的データを人々がいかに思い込みで過剰にネガティブに、そして間違って捉えているということを、様々なクイズで紹介しています。著者のハンス・ロスリング先生は、グローバル・ヘルスについての活動や研究を行ったスウェーデン出身の医師・公衆衛生学者で、TEDなどで一世を風靡し、これらの講演活動をまとめあげたこの本が世に出る前にすい臓がんでこの世を去っています。我々の数字に向き合う時の癖、ミクロ、マクロを行き来して、ものごとをとらえる感性の重要性など、常日頃から見ているデータについて再考を与えてくれる本です。
証拠�A 理論・医療統計・疫学 ― 足腰を鍛える
統計を使いこなすための理論書、生物統計学・疫学の教科書を揃えました。
いくつかご紹介します。
『医学的研究のための多変量解析』『生物統計学の道標 : 研究デザインから論文報告までをより深く理解するための24講』『押さえておきたい臨床統計の勘所 : 入門から実践的アプローチまで』:臨床研究で統計解析を用いてよく遭遇する疑問を丁寧に拾い上げてくれている教科書です。医療統計学の講義を一通り終え、自らの研究に統計解析を使い始めていく先生におすすめの本と思います。
『データ解析のための統計モデリング入門 : 一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC』:一般線形モデルよりステップアップし、より現実の事象に即した解析を行う際に、一般化線形(混合)モデルや階層ベイズモデルへのステップアップが必要になってきます。この本は、非常にわかりやすく解説されている統計本のベストセラーです(著者の久保先生は、生態学の先生です)。
『生存時間解析 : SASによる生物統計 第2版』:臨床研究では、生存時間解析は必須の知識です。表題にSASによるとありますので、SAS以外のユーザーが手に取ることが少ないのかもしれませんが、日本語で書かれた生物統計学の教科書で体系的にかかれた本としてはこの本が一番と考えています。SASユーザー以外の方にもおすすめの教科書です。
『臨床試験方法論 : エビデンス創出のための試験デザインと統計解析』『医学的研究のデザイン : 推論の質を高める系統的アプローチ 第5版』:特に臨床試験は、細かな決まり事、手順が多い領域です。実際に対象者をリクルートする以前に、大半の決着がついている(計画がすべて)と言って過言ではありません。これから臨床試験を計画しようとしている先生には、エッセンスが凝縮された本ですので是非に手に取っていただきたい1冊です(近年の先進的な研究デザインも取り上げられています)。
証拠�B 因果推論 ― 「もし〇〇だったら」を統計で問う
『因果推論の科学』は、因果推論の二大潮流の一方の大家ジューディア・パール先生による読み物です。因果推論の教科書は歯応えのあるものが多いので、挑む前にまずこの本を「地図」として読んでみてください。反事実を統計で扱う奥深さに、きっと驚くはずです。この視点を持つことで、次のカンファレンスでの一言が変わるはずです。沼りたい人向けの本も用意しました。
証拠�C パッケージ・検定対策 ― 現場で使う手足
SAS/R(EZR)/Python/SPSS/JMPの教科書と、統計検定対策本も並べています。実際に手を動かしたくなったら、ここから。
結論
p<0.05、有意水準を余裕で下回りました。帰無仮説は棄却されます ― 統計は、臨床にとって必要な素養です。
註)帰無仮説、対立仮説、p値って何だという方は、講義で学んでください。
照会先
利用支援係 TEL:077-548-2080