インターンシップレポート

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2018年3月10日~21日

School of Public Health, Peking University, Beijing, China 志摩 梓 
Azusa Shima

 私は、北京大学公衆衛生大学院を短期研修先として選択した。  北京大学では、毎年新たに高齢者が800万人増加するという中国の実情が、今後の数十年間に公衆衛生実務上どのような課題になるかという点について、非常に有益な講義を受けることができた。直後の休日に天安門広場などに出かければ、中国のいろいろな地方から訪れた高齢の団体旅行客の人波に揉まれることになり、社会が高齢化と向き合うことの重さを肌で感じるようだった。中国は本当に広大で、地方によって社会経済状況、生活様式、そして食生活もよって大きく異なる。参加させていただいたゼミの研究紹介では、国内のいろいろな地域でコホートを追跡することが、さながら国際疫学研究のような成果を生み出す可能性があることを知り、また、若手研究者たちの熱意に大きな刺激を受けた。また、産業保健や看護教育に関する意見交換の機会を得られたことも非常に有益だった。これまで欧米の論文にばかり注目しがちだったが、アジアからの疫学発信の重要性に目を開かれるようだった。
 スーパーバイザーの先生にはたいへん親切に研修をコーディネートしていただいた。大学院生とは、火鍋を囲んだり、広い北京大学を案内してもらったり、京劇鑑賞などにもご一緒いただいた。地下鉄をはじめ屋台やレンタサイクルでもモバイル決済がとても便利に使われている様子を知る一方で、貧富の差を垣間見て、全人代期間中の厳しい警備体制を体感した。一旅行者という立場ではなく、研究者と交流しながら滞在できたことは本当に貴重な経験となり、疫学研究のあり方について改めて考えさせられた。



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