以前より指摘されておりました、テクスチャードタイプのインプラント挿入部に稀に発生するブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(以下、BIA-ALCL)に関連し、2019年7月24日、アラガン社は同社のエキスパンダーおよびインプラントを世界的に自主回収すると発表しました。
既にインプラントを挿入されている方にはご心配をおかけしております。BIA-ALCLの発生率は以前より約3300人に1人(0.03%)と報告されており、発生率が急に上昇したわけではありません。日本では今年に入り1 例の報告がありました。海外からの報告では、このリンパ腫はインプラントを入れてから平均9 年ほどで発生し、インプラント周囲に液体がたまり、大きく腫れてくる症状がでると報告されています。
自主回収しているアメリカや販売停止のフランス、カナダ等では、当該の乳房インプラントが挿入されている場合であっても、症状のない方に対する予防的なインプラントの摘出は推奨していません。
その理由は、発症リスクは0.03%と低く、手術に伴う出血等のリスクが上回ると考えられるためです。日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会、日本形成外科学会、日本乳がん学会も同様の見解です。したがって従来通り、1年に1回程度の定期受診をしていただき、異常を感じた場合には、直ちに受診をお願いいたします。
乳房再建用ティッシュエキスパンダーの手術を受け、インプラントによる乳房再建を待機されている方もしくは再建を希望される方は、当院の形成外科担当医とご相談いただきますようお願いいたします。
今回の件に関する詳細は、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会のホームページより「一般の皆様へ」をご選択いただき、「お知らせ」を参照ください。
(http://jopbs.umin.jp/general/index.html)
また、本件に関してご不安やご質問がある場合は、お電話の上、予約日を早めて受診して頂ければご説明させていただきます。下記のお問い合わせ先までご連絡ください。
滋賀医科大学医学部附属病院 形成外科
診療科長 鈴木 義久
【お問い合わせ先】
滋賀医科大学医学部附属病院 形成外科外来
担当 岡野 純子
(午前9時~午後5時:土・日・祝日・年末年始を除く)
電話番号:077-548-2111(代表)