Yukiyo Yokomaku, Toshiro Sugimoto, Shinji Kume, Shin-ichi Araki, Keiji Isshiki, Masami Chin-Kanasaki, Masayoshi Sakaguchi, Norihisa Nitta , Masakazu Haneda , Daisuke Koya , Takashi Uzu and Atsunori Kashiwagi |
Asialoerythropoietin Prevents Contrast-Induced Nephropathy |
Journal of American Society of Nephrology. 2008 Feb;19(2):321-8. PMID: 18184858 |
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エリスロポエチンアナログ:アシアロエリスロポエチンは、造影剤腎症の発症を予防する |
【要旨】
造影剤腎症は、院内発症の急性腎不全の重要な一因であり、その発症頻度は年々増加している。しかし、造影剤腎症の有効な治療法は確立されていないのが現状である。腎性貧血の治療に広く用いられているエリスロポエチンは、近年、その造血作用非依存性に脳・心・腎等の種々の臓器において臓器保護作用を有することが実験動物において示されている。そこで、今回我々は、造血作用を有しないエリスロポエチンアナログ:アシアロエリスロポエチンが、造影剤腎症ラットモデルの腎障害を予防するかを検討した。造影剤腎症は、ラットにprostaglandin と nitric oxide 合成阻害下に造影剤であるIoversolを投与して作成した。造影剤投与30分前にアシアロエリスロポエチン10,000 U/kgを静脈内投与すると、造影剤投与24時間後の腎機能の悪化は有意に抑制された。さらに、アシアロエリスロポエチンは、造影剤による近位尿細管の組織学的障害やアポトーシスの発生を抑制した。これらの腎保護作用は、腎臓、特に近位尿細管におけるアシアロエリスロポエチンよるJAK2/STAT5 経路の活性化やheat-shock protein 70の発現増加によるものであることが明らかになった。 以上の結果より、エリスロポエチンアナログ:アシアロエリスロポエチンが造影剤腎症に対する新規の治療薬になりうる可能性が示唆された。
文責 内科学講座 内分泌代謝・腎臓・神経内科 杉本俊郎 |
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