アジア・フィールドワークレポート

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2017年11月1日 - 2018年1月 31日

国立健康・栄養研究所 (東京)ほか  髙山雪子 Yukiko Takayama

(1) インターンシップの概要(派遣先・派遣期間・指導員など)
 1.滋賀県東近江保健所・2017/11/01~11/30・清水寛子先生
 2.国立健康・栄養研究所・2017/12/01~2018/01/31・西信雄先生、滝本秀美先生
(2) 主な研修内容
 1.平成29年国民健康・栄養調査への現地スタッフとしての参加
 2.平成29年国民健康・栄養調査の調査票の整理、集計作業への参加
(3) 学んだこと・後輩等に伝えたいこと  国民健康・栄養調査は、戦後食糧援助の目的で開始されてから今年で73年目であり、世界で最も歴史の長い日本が誇る栄養調査である。現在は、毎年11月に対象に選ばれた調査地区を管轄保健所が主体となり食事調査、生活習慣調査、身体状況調査、血液検査を実施している。毎年8月頃から厚生労働省、都道府県等が準備を開始し、翌年9月に国立健康・栄養研究所で集計された調査結果が公表される。今回私は平成29年に対象地区となった滋賀県の東近江市および近江八幡市で、東近江保健所の管理栄養士さんのご指導のもと、現地の在宅栄養士の方々と対象者への家庭訪問、調査依頼、インフォームドコンセント、調査内容照合、「食事しらべ」への入力作業等、一連の調査作業を経験させて頂いた。その後、問診票および入力データが全国より回収される国立健康・栄養研究所へ伺い、全国300地区の問診票と入力内容の照合、整理、集計作業に携わらせて頂いた。  現地での一軒一軒の家庭訪問は大変地道な作業で時間がかかるものであった。時には家が見つからず路頭に迷い、時には玄関先で門前払いを食らった。しかしながら、栄養士さん達はいつも前向きで淡々と仕事されている姿が印象的であった。国立健康・栄養研究所での照合、整理作業は、全国300地区から送付された問診票の1世帯の1食ずつについて、調味料の量がおかしくないか、入力数値が間違っていないかなどについて目を凝らしてチェックするため、大変時間がかかり、労力のいる作業であった。こちらも現地の在宅栄養士の方等がこの期間だけ人員を増やして作業されていたが、逐一その場でデータベースにない食品の置き換え法や分解法が間違っていないか議論されており、管理栄養士として大変勉強になった。  普段、何気なく報道されている国民健康・栄養調査の集計結果であるが、調査に協力して下さる一般住民の方をはじめ、現場で一軒ずつ家庭訪問する栄養士の方々、調査を集計される栄養士の方々など一人ずつの努力の賜物であることを実際に体験して知ることができた。なかなか全国の管理栄養士・栄養士が一斉に集って何かをする機会などはないが、毎年実施されている国民健康・栄養調査は各々の現場で地道な努力を続ける管理栄養士・栄養士さんたちの痕跡であることを強く感じた。私も一管理栄養士として、このような貴重な機会を頂けたことに感謝するとともに、今後の研究生活、そして栄養疫学と公衆衛生の分野で活躍できるように日々精進していきたい。

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