Shiga University of Medical Science >ENGLISH
国立大学法人:滋賀医科大学
大学紹介 講座・施設 入試情報 教育・研究 産学連携 国際連携 学生生活 附属病院

滋賀医科大学TOP > 教育・研究 > 最新研究論文の紹介 > これまでの紹介論文

TOPへ
公開講座
Ken Inoki, Tianqing Zhu, and Kun-Liang Guan.
tsc2 Mediates Cellular Energy Response to Control Cell Growth and Survival.
Cell. 2003;115:577-590. PMID: 14651849

tsc2(tuberin) は細胞内のエネルギーを感知して、細胞の成長、細胞死を制御する
【要旨】
結節製硬化症(Tuberous Sclerosis Complex; tsc)は、発症率約1/6000の比較的高頻度な常染色体優勢遺伝により生ずる難病の一つで、全身性多系統疾患(多臓器に及ぶ良性腫瘍; hamartoma)を呈する。tscは2つの異なる原因遺伝子の独立した変異により生じ、それらの遺伝子産物はそれぞれtsc1(hamartin)、 tsc2(Tuberin)として知られている。tscの遺伝子異常はtsc1に20%、tsc2に80%認められ、この2者の変異に臨床症状の差を認めない。tsc1とtsc2は細胞内で機能的複合体として存在し、互いにその安定性を維持している。しかしながら、それらの蛋白の主要な機能は最近まで明らかにされていなかった。
この数年の遺伝学的、生化学的研究により、tsc複合体はインスリンをはじめとする成長因子の働きを抑制している蛋白質であることが明らかにされた。その分子生物学的機序として、tsc複合体は、成長因子や栄養(アミノ酸、糖)により活性化される蛋白合成に不可欠なtor (target of rapamycin)蛋白の活性を間接的に抑制し、発癌に深く関与する蛋白合成を抑制する。また成長因子により活性化されるprotein kinase B (Akt)は、直接tsc2をリン酸化することによりtsc複合体の機能を減弱していることが明かにされた。つまりインスリン等の成長因子は、Aktを活性化することでtsc複合体の機能を減弱させ、torによる蛋白合成を活性化していると考えられる。
今回、我々はAktの作用に相反し、細胞内エネルギーの低下(amp/atp ratioの増加)を感知して活性化されるamp-activated protein kinase(ampk)がtsc2を直接リン酸化しtsc複合体を活性化することを見い出した。これらの発見は、細胞内atpの低下に伴う蛋白合成抑制という根本的は細胞応答を理解するうえで重要であるばかりでなく、細胞外栄養(糖)と細胞成長の関わりにtsc複合体が深く関与していることを示唆する。

猪木健先生は本学12期生で、姉妹校であるミシガン大学でフェローとして活躍中です
 
Page Top
 
交通・アクセス キャンパスマップ 関連リンク お問い合せ先 サイトマップ このサイトについて
  Copyright(C)2005 Shiga University of Medical Science All Rights Reserved.