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公開講座
Atsushi Kamiya, Ken-ichiro Kubo, Toshifumi Tomoda, Manabu Takaki, Richard Youn, Yuji Ozeki, Naoya Sawamura, Una Park, Chikako Kudo, Masako Okawa, Christopher A. Ross, Mary E. Hatten, Kazunori Nakajima, Akira Sawa
A schizophrenia-associated mutation of DISC1 perturbs cerebral cortex development.
Nat Cell Biol.2005 Dec;7(12):1167-78. Epub 2005 Nov 20. PMID: 16299498
平成17年度滋賀医科大学博士論文学長賞受賞論文

DISC1における統合失調症関連遺伝子変異による大脳皮質発達障害
【要旨】
統合失調症は様々な遺伝的要因、環境要因が絡み合った複雑遺伝疾患と考えられていますが、 いまだその原因は解明されていません。

DISC1 (Disrupted-In-Schizophrenia1)は、スコットランドのある精神疾患多発家系で統合失調 症の原因候補遺伝子のひとつとして同定された遺伝子ですが、この未知の遺伝子の機能を調べる ことで、統合失調症の発症機序や病態メカニズムを明らかにする手がかりを得られるのではない かと我々は考えました。この家系では、統合失調症をはじめとする主な精神疾患に罹患した人々 は、染色体均衡転座により、DISC1タンパク質の部分的な欠損が生じている(変異型DISC1)ことが 予測されました。これまでの我々の研究によって、DISC1がこの欠損領域において大脳皮質の発達 に重要な役割を持ついくつかの重要なタンパク質(NUDELなど)と結合すること、また神経様細胞 (PC12)の突起伸長に関与することが明らかになっています(Ozeki et al PNAS 2003)。

今回我々は、さらにDISC1の機能解析を進めた結果、以下のことを明らかにしました。DISC1は 微小管細胞骨格関連dynein motor complexを形成するタンパク質のひとつであり、培養細胞、 及び遊走中の神経細胞の中心体に局在し、微小管細胞骨格の形成に関与しています。 また、変異型DISC1は、NUDELとの結合が失われているにもかかわらず、正常なDISC1と結合する ことで、その局在を変化させ、さらにはdynein, NUDELといった中心体関連タンパク質群の局在 をも障害することで、微小管細胞骨格の形成を障害するドミナントネガティブな機能を持つ可能 性があることを示しました。また、マウスの大脳皮質発達段階においてDISC1のタンパク質発現を 抑制することで、正常な放射状神経細胞移動(radial neuronal migration)の障害と神経細胞の orientationの障害が生じること、変異型DISC1も同様な効果を示すことも明らかにしました。 これらの結果は、統合失調症において報告されている微細な神経細胞の配列異常などを根拠に 支持されている神経発達障害仮説を、さらに支持する結果と言えます。

現在、我々は統合失調症の原因解明を目指し、DISC1 ノックアウトマウスや変異型DISC1 トラン スジェニックマウスなど動物モデルを用いたさらなる機能解析をすすめています。

文責 精神科神経科 神谷 篤
 
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