Nogawa M, Yuasa T, Kimura S, Tanaka M, Kuroda J, Sato K, Yokota A,
Segawa S, Toda Y, Kageyama S, Yoshiki T, Okada Y,
Maekawa |
Intravesical administration of small interfering RNA targeting PLK-1 successfully prevents the growth of bladder cancer |
J Clin Invest.2005;115:978-985
PMID: 15761500 |
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in vivo でのsiRNA膀胱内注入療法によるがん増殖抑制に世界で初めて成功 |
【要旨】 small interfering RNA (siRNA) は配列特異的に選択的に遺伝子の発現の制御をおこない次世代の分子標的治療として期待されています。しかしながら十分量の siRNA を標的に到達させる drug delivery system (DDS) が確立されていないことにより、これまでin vivoにおける成功例の報告が乏しく、臨床応用への障害となっています。今回、われわれはDDSの問題が比較的少ない膀胱という閉鎖空間を作り出し得る部位に着目し、マウス膀胱内に移植された膀胱がんに対してsiRNAの注入療法を行いました。経尿道的にsiRNAを注入することにより、がん細胞の増殖に重要な働きをする遺伝子PLK-1の働きを抑制することによって、膀胱内で腫瘍の増殖を抑制し、がん細胞のアポトーシスを誘導することを確認しました。本研究は今後のsiRNAの核酸医薬としての臨床応用への可能性を示唆するという点で重要です。膀胱癌に対するsiRNAリポソーム複合体による経尿道的治療をin vivoで実践したのは我々の知る限り世界で唯一です。今後は、他薬剤やsiRNAなどの併用によるさらなる治療効果の向上とともに、ブタ膀胱などによる安全性の確認を進めていきたいと思います。
文責 滋賀医科大学9期生、現在秋田大学泌尿器科 湯浅 健 |
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