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公開講座
Hiroya Akabori, Hiroshi Yamamoto, Hiroshi Tsuchihashi, Tsuyoshi Mori, Kazunori Fujino, Tomoharu Shimizu, Yoshihiro Endo, Tohru Tani.
Transient Receptor Potential Vanilloid 1 antagonist, capsazepine, improves survival in a rat hemorrhagic shock model.
Ann Surg.2007 Jun;245(6):964-70. PMID: 17522523

出血性ショックにおけるTRPV1拮抗剤投与の効果
【要旨】
出血性ショック(Hemorrhagic shock; HS)は臨床的に致死率が高く、早期の治療が望まれる病態です。その病態生理、特に血圧低下において、内因性アナンダマイドがカンナビノイド受容体を介して関与することが近年報告されました。内因性アナンダマイドはTRPV1(Transient Receptor Potential Vanilloid 1)のリガンドでもあることが報告されています。TRPV1は一次求心性知覚神経末端に存在し、様々な心血管系作用に関与します。そこで、TRPV1がHSの病態メカニズムに関与しているのではないかと考えました。
今回我々は、TRPV1拮抗剤であるCapsazepine(CPZ)を、ラット平均血圧30mmHg・90分間のHSモデルに対して投与することにより、以下のことを明らかにしました。

CPZは容量依存性に24時間生存率の改善効果を認め、対照群で10%の生存率を5μmol/kgの投与で80%にまで改善しました。平均血圧を30mmHgに維持するために要した脱血量の増加、HS後の昇圧作用と代謝性アシドーシス改善、並びに血液中カテコラミン濃度の上昇抑制等の効果を認めました。脳幹に存在するRVLM (rostral ventrolateral medulla) 領域の2重免疫化学染色にて、活性化されたTHニューロンの割合が有意に抑制されました。このことから、HSにおける血中カテコラミン分泌作用は、活性化したTRPV1によって延髄に存在するカテコラミン関連ニューロンを介して交感神経系に作用する機序が示唆されました。CPZを投与することにより、代謝性アシドーシスと生存率改善効果を認めたことより、CPZ投与が臨床的に今後有用な治療の一つになり得る可能性が示唆されました。

TRPV1が存在するCSSN (Capsaicin sensitive sensory nerve) には、中枢神経系を介した求心性作用以外に、末梢での神経伝達物質放出による遠心性作用が報告されています。現在、我々はTRPV1のHSにおける神経伝達物質を介した遠心性作用の関与の有無についてさらなる病態解析をすすめています。

文責 外科講座 赤堀 浩也
 
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