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公開講座
Makoto Urushitani, Samer Abou Ezzi, Jean-Pierre Julien
Therapeutic effects of immunization with mutant superoxide dismutase in mice models of amyotrophic lateral sclerosis
Proc Natl Acad Sci USA.2007 Feb 13; 140(7):2495-2500. PMID: 17277077

筋萎縮性側索硬化症モデルマウスに対する変異SOD1を用いた免疫療法の有効性
【要旨】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は四肢、体感の麻痺、呼吸障害を主徴とする原因不明の最難治性神経変性疾患であるが、家族性ALS患者の一部でスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)遺伝子に突然変異が存在し、変異SOD1タンパクは治療上の大きなターゲットとなっている。運動ニューロン死の機序は未だ不明であるが、多くのカスケードが複合的に病態を形成していると考えられている。我々は以前に本来細胞質に存在する変異SOD1が神経分泌タンパクであるクロモグラニンと結合して細胞外に放出されること、細胞外の変異SOD1は、脊髄初代培養細胞においてミクログリアを活性化し運動ニューロン毒性を有することを報告した(Nature Neuroscience 2006)。今回この成果を背景に、ALSモデルマウスに対して細胞外の変異SOD1を標的とした免疫療法を試みた。大腸菌でヒト変異SOD1組換えタンパクを精製し、病的SOD1タンパクをより効果的に除去するため酵素活性を持たないアポ酵素をワクチンとして3〜6ヶ月齢の間3回皮下注射したところ、内因性の4倍変異SOD1を発現するALSモデルマウスの四肢麻痺の出現時期、寿命とも4週間以上と著明に延長した。血清抗体価は末期まで高値を維持し、この効果は血清中の抗体価と正の相関を示した。一方、変異SOD1を20倍過剰発現する急速進行型のALSモデルマウス(高コピー型G93A型SOD1トランスジェニックマウス)に対するワクチン療法は効果不十分であったが、精製抗体の脳室内直接注入療法により運動機能、寿命とも有意に改善した。本研究成果はALSの病態を形成するマルチカスケードにおいて、細胞外SOD1の存在が重要な鍵を握っていることを証明するともに、免疫療法という非侵襲的な治療が成功したことにより、難病ALSの治療の可能性を大きく広げる成果として重要である。

文責 漆谷 真 (分子神経科学研究センター 神経遺伝子解析部門)
 
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