Zankov DP, Yoshida H, Tsuji K, Toyoda F, Ding WG, Matsuura H, Horie M |
Adrenergic regulation of the rapid component of delayed rectifier K+ current: Implications for arrhythmogenesis in LQT2 patients. |
Heart Rhythm 2009 Mar 3. [Epub ahead of print] PMID: 19419905 |
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自律神経による遅延整流カリウム電流IKrの調節
:2型QT延長症候群患者における不整脈発症との関連で |
【要旨】
背景:KCNH2遺伝子の変異は、IKr電流を減少して、2型QT延長症候群(LQT2)の病像を発症する。突然の驚きや音刺激によりLQT2患者は心室細動をおこすが、このことは自律神経を介する急速な催不整脈作用があることを示唆している。
目的と方法:α1Aおよびβ受容体刺激がIKr電流に及ぼす効果を調べるために、我々は哺乳類心筋培養細胞HL-1のIKr、wild typeおよびLQT2患者で発見された変異KCNH2遺伝子により再構築されるKv11.1チャネル電流を用いて検討した。電流は全細胞型パッチクランプ法を、また、細胞内のPIP2の動態を観察するため、pleckstrin homologyにGFPを結合させた蛋白の蛍光を共焦点型顕微鏡で検出した。
結果:HL-1にα1Aアドレナリン受容体を発現させると、フェニレフリン(α1Aアドレナリン受容体刺激薬)の投与でIKr電流は有意に減少し、活性化ゲートは脱分極にシフトして、脱活性化が早まることが判明した。共焦点型顕微鏡での実験では、フェニレフリン刺激により、膜のPI2が細胞内にシフトした。CHO細胞を用いた再構築実験でも同様な結果であり、LQT2症例で発見されたKCNH2 Y43D, K595E変異も、wild typeとの共発現では、IKr電流量が減少したものの発現しており、フェニレフリン刺激は、同様に再構築されたIKr電流を抑制した。
考案とまとめ:LQT2患者では、突然の驚きでQT時間が延長し、致死性不整脈を誘発することが知られているが、少なくともその一部にα1Aアドレナリン受容体を介するIKr電流の減少が関与していることが示唆された。
文責 内科学講座 堀江 稔 |
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