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公開講座
Takuya Fujita, Koji Teramoto, Yoshitomo Ozaki, Jun Hanaoka, Noriaki Tezuka, Yasushi Itoh, Tohru Asai, Shozo Fujino, Keiichi Kontani, Kazumasa Ogasawara
Inhibition of transforming growth factor-β-mediated immunosuppression in tumor-draining lymph nodes augments antitumor responses by various immunologic cell types
Cancer Research, 2009, 69(12), 5142-50, PMID: 19491278

腫瘍所属リンパ節におけるTGF-βの機能阻害による抗腫瘍免疫応答の増強効果 
【要旨】
腫瘍所属リンパ節は全身性の抗腫瘍免疫応答を誘導する上で最も重要な部位である。 しかし、担癌個体においては腫瘍組織より分泌される免疫抑制性サイトカインtransforming growth factor-β (TGF-β)が腫瘍所属リンパ節に流入し抗腫瘍免疫応答の誘導を抑制している。 我々は腫瘍所属リンパ節におけるTGF-βによる免疫抑制に着目し、同部位でのTGF-βの機能を阻害することで全身性の抗腫瘍免疫応答が増強するかどうか担癌マウスモデルで検討した。腫瘍所属リンパ節局所でのTGF-βの機能阻害のためにはプラスミドベクターシステムを用いた。TGF-βの2型レセプターの細胞外ドメインをコードするプラスミドベクター(TGFR DNA)を作製し、担癌マウスの腫瘍組織近傍の筋肉内に接種すると、プラスミドベクターを取り込んだ筋細胞は可溶性TGF-β 2型レセプターを分泌し、これは近傍の腫瘍所属リンパ節に流入してTGF-βの機能を阻害する。マウスリンパ腫細胞株E.G7を側腹部に皮下移植した担癌マウスにおいて、TGFR DNAで腫瘍所属リンパ節でのTGF-βの機能を阻害すると、腫瘍所属リンパ節において制御性T細胞の増殖が抑制され腫瘍抗原特異的にインターフェロンガンマを産生するCD4陽性細胞とCD8陽性細胞が増加した。腫瘍所属リンパ節において増強した抗腫瘍免疫応答は全身性に影響を及ぼし、細胞傷害性T細胞の増加、NK活性の増強、腫瘍抗原に対する抗体価の上昇に関与した。 これら様々な免疫担当細胞の総合的な働きによって皮下移植したE.G7腫瘍の増殖は抑制されたが、マウス悪性黒色腫B16F10肺転移モデルの肺転移巣においても抗腫瘍効果を認め、誘導された全身性の抗腫瘍免疫応答の強力さが示された。これらの結果は腫瘍に対する抗TGF-β療法の作用点をより明確にしたもので、今後のTGF-βを標的にした癌分子標的治療法の開発に有用であると考えられた。

文責 呼吸器外科 寺本 晃治
 
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