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公開講座
2010年2月26日 更新
Tomoya Terashima, Kazuhiro Oka, Angelika B. Kritz, Hideto Kojima, Andrew H. Baker and Lawrence Chan
DRG-targeted helper-dependent adenoviruses mediate selective gene delivery for therapeutic rescue of sensory neuronopathies in mice
J Clin Invest. 2009,July;119(7):2100-2112, URL:http://www.jci.org/articles/view/39038

マウス後根神経節を標的とするヘルパー依存型アデノウイルスベクターによる感覚神経細胞障害の選択的遺伝子治療
【要旨】
「痛み」の原因となる知覚神経障害は様々な病態で生じ、QOLを大きく低下させる要因となっている。現在、その痛みをコントロールする方法として様々な薬物や外科的治療が試みられているが、十分にコントロールできる方法は未だ報告されてはいない。
そこで、我々は、臨床的有用性が注目されているヘルパー依存型アデノウイルスベクター(HDAd, Kojima et al, Nat Med, 2003)を改良し、組織特異性を組み込むことにより一次感覚神経細胞である後根神経節(DRG)ニューロンへの特異的遺伝子輸送システムの開発を行った。

本来HDAdが持っている組織共通結合部位を取り除き、新たに我々が見いだしたDRGに特異的に結合するペプチド(Oi et al, Neuroscience letters, 2008)を挿入することによりDRG標的遺伝子輸送を実現させることに成功し、標的組織以外での遺伝子発現を最小限に抑えた。これにより、ウイルスベクターに対する免疫反応も最小限に抑えられ、ベクターの安全性は飛躍的に向上した。
また、その性能を明らかにするために、運動系および感覚系を含んだ全身に神経障害の出現するマウス(Hexb KO mice)に遺伝子治療を行い、DRGを標的とした感覚性末梢神経障害の特異的な遺伝子治療に成功した。

今後、神経因性疼痛や糖尿病性神経障害 (Terashima et al, PNAS, 2005) に対し、このシステムを用いた新規治療法の開発を進めてゆく。また、今回作成した組織特異的ヘルパー依存型アデノウイルスベクターシステムは世界初であり、標的認識部位を自在に入れ替えることができるため、様々な疾患や臓器への汎用性が高く、遺伝子輸送システムの技術を大きく躍進させるものと確信している。

文責 内科学講座 神経内科 寺島智也
 
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