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公開講座
2010年10月1日 更新
Minami K, Chano T,Kawakami T, Ushida H, Kushima R, Okabe H, Okada Y, and Okamoto K.
DNMT3L is a novel marker and is essential for the growth of human embryonal carcinoma
Clin Cancer Res. 2010 May 15;16 (10): 2751-9.  PMID: 20460473

胎生期特異的メチルトランスフェラーゼDNMT3Lはヒト胎児性癌の増殖に必須の分子であり、胎児性癌の新規マーカーである
【要旨】
胎児期特異的メチルトランスフェラーゼであるDnmt3Lは、発生過程において、多分化能をもった細胞、すなわち胚性生殖細胞 (EG)や胚性幹細胞 (ES)、多能性生殖幹細胞(mGS)に特異的に発現している。さらにDnmt3Lのノックアウトマウスでは、胎生初期の生殖細胞発生におけるDnmt3Lが機能しないことにより、精子形成の障害をおこし、不妊となる。

ヒトにおけるDNMT3Lの機能はほとんど明らかになっていなかったが、今回われわれは、胎生期生殖細胞に短期的に発現し将来の精巣機能を決定する胚性因子であるDNMT3Lが、ヒト胎児性癌(精巣腫瘍)の増殖因子であり、かつ新規マーカーであることを示した。男性不妊症は精巣腫瘍発生のリスク因子であることから、今回の研究成果は、妊孕性と精巣腫瘍発生を考える上でDNMT3Lが重要な分子であることを意味する。またDNMT3Lがヒトでも幹細胞遺伝子の一つであることを示唆するものである。

ヒト胎児性癌ではDNMT3Lの抑制によりアポトーシスを誘導できることを示したが、DNMT3Lは、出生後の細胞や成人の生殖細胞、体細胞、体細胞由来の癌のいずれにおいても発現が認められないことから、胎児性癌治療の標的として理想的分子であり、RNA干渉および抗DNMT3L抗体を利用した新規精巣腫瘍治療薬の開発への応用が期待される。

文責 臨床検査医学講座 茶野徳宏、泌尿器科学講座 岡本圭生
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