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公開講座
2010年5月10日 更新
Kume S, Uzu T, Horiike K, Chin-Kanasaki M, Isshiki K, Araki S, Sugimoto T, Haneda M, Kashiwagi A, Koya D.
Calorie restriction enhances cell adaptation to hypoxia through Sirt1-dependent mitochondrial autophagy in mouse aged kidney.
J Clin Invest. 2010 Apr 1;120(4):1043-55. PMID: 20335657
カロリー制限による加齢性腎障害抑制効果における抗老化分子Sirt1-オートファジー経路の意義
【要旨】
腎臓は老化に伴う機能障害を呈する臓器の一つであるが、その発症・進展に関わる分子機構ならびに抑制機構は明らかにされていない。我々はカロリー制限(CR)が、様々な生物種における寿命延長効果に加え、加齢に伴う腎障害を抑制しうる事から、この分子機構の解明が加齢性腎障害の新たな治療法の確立に繋がるものと考え検討を行った。

加齢マウス腎尿細管細胞では、老化に関わる異常ミトコンドリア(Mt)蓄積を伴う腎障害を認め、これらは12ヶ月齢から更に12ヶ月間のCR(通常食の60%量を摂取)にて有意に改善された。加齢腎尿細管細胞では、低酸素状態で惹起されるべき細胞内浄化機構であるオートファジー活性の障害が認められ、更に、この背景にはインスリンシグナルの亢進、抗老化分子Sirt1活性の低下を介した転写因子Foxo3の転写活性化異常、それに伴うオートファジー関連分子Bnip3発現の低下が関与しうることが確認された。一方、CRマウスの腎尿細管細胞では、Sirt1の活性化、低酸素によるオートファジーの活性化能が保持され、異常Mtの排除が促進されている事が明らかとなった。Sirt1+/-マウスを用いた検討から、加齢腎でのCRによるオートファジー活性の改善作用にSirt1が不可欠である事も確認され、腎臓におけるSirt1-オートファジー経路の役割、加齢に伴う尿細管細胞のストレス応答障害の分子機構が明らかとなった。

近年、オートファジーが各臓器における様々な生理作用や病態形成に関与しうるとの報告がなされており、今回我々は新たに腎臓におけるオートファジーの役割を示した。今後、これらの知見を元に、Sirt1-オートファジー経路と慢性腎臓病進展への関わりを検討し、本経路の活性化を標的とした新たな慢性腎臓病治療の可能性を確立したいと考えている。

文責 内科学講座/生化学・分子生物学講座 久米真司
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