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公開講座
2011年2月9日 更新
Yanagisawa D, Shirai N, Amatsubo T, Taguchi H, Hirao K, Urushitani M, Morikawa S, Inubushi T, Kato M, Kato F, Morino K, Kimura H, Nakano I, Yoshida C, Okada T, Sano M, Wada Y, Wada KN, Yamamoto A, Tooyama I.
Relationship between the tautomeric structures of curcumin derivatives and their As-binding activities in the context of therapies for Alzheimer's disease.
Biomaterials 31:4179-85, 2010.   PMID: 20181392

アルツハイマー病治療薬の背景にあるクルクミン誘導体の互変異性とベータアミロイドペプチド結合能との関係
【要旨】
  現在日本には約200万人の認知症患者が存在し、その約半数がアルツハイマー病とされ、有効な診断・治療法の開発は学術的のみならず社会的にも重要な課題である。
 最近の研究の成果によれば、アルツハイマー病ではベータアミロイドペプチド(As)の凝集が最も早期に生じる病理学的変化であると考えるアミロイド仮説が有力である。アミロイド仮説によれば、As凝集体に特異的に結合する化合物を開発すれば、アルツハイマー病の早期診断薬や治療薬の開発につながると期待される。
 本研究では、食物成分であるクルクミンが、エノール型とケト型という互変異性の関係にある2種類の構造を持ち、エノール型でAs凝集体に結合し、ケト型で遊離するというメカニズムを明らかにした。この性質を利用して開発した新規化合物(Shiga-Y5と命名)は、水溶液中では、通常、蛍光を持たないケト型をとり、黄色溶液となるが、As凝集体が存在するとエノール型に異性化し凝集体に結合するために、10-30分程度で溶液は赤色に変化し、強い蛍光を発した。As単量体には全く反応しなかった。
 本研究の結果は、クルクミン誘導体が、アルツハイマー病の原因物質であるAs凝集体を標的にした新しい診断・治療薬となり得ることを示すとともに、ケト・エノール互変異性に基づく新しい創薬理論を提供した。なお、この研究は、JSTサテライト滋賀の支援を受け、滋賀医科大学、滋賀県、地元企業および長浜バイオ大学の協力を得て行った。

文責 分子神経科学研究センター 遠山 育夫
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