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2010年3月25日 更新
Takashi Uzu, Yasuo Kida, Nobuo Shirahashi, Tamaki Harada, Atsushi Yamauchi, Makoto Nomura, Keiji Isshiki,Shin-ichi Araki, Toshiro Sugimoto, Daisuke Koya, Masakazu Haneda, Atsunori Kashiwagi, and Ryuichi Kikkawa
Cerebral Microvascular Disease Predicts Renal Failure in Type 2 Diabetes
Journal of the American Society of Nephrology(in press)

脳小血管障害は腎不全の危険因子である
【要旨】
2型糖尿病患者において、蛋白尿を呈さずに末期腎不全に至る症例が少なからず存在する。腎機能低下と腎内の血管抵抗亢進の関連が報告されていることより、微小血管病変が腎機能低下に寄与していることが強く示唆される。 しかし、腎内の微小血管病変の評価法は確立していない。また、慢性腎臓病(CKD)が心血管病(CVD)の危険因子であることは明確にされているが、CVDのCKDに対する関与は明らかでない。

そこで、腎外の微小血管病変である無症候性脳梗塞(SCI)の存在と腎機能低下の関連について検討した。1995年1月から2000年12月までに、血糖コントロールまたは合併症精査の目的にて入院した患者を対象とした。持続性蛋白尿、腎機能低下(血清Cr男性:>1.5mg/dl、女性>1.3mg/dl)心血管合併症の既往が有るものは対象から除外した。
頭部MRIにて無症候性脳梗塞の評価後、死亡または腎死を1次評価項目、血清Crの倍化、推定GFRの低下、腎症ステージの進展を2次評価項目として前向きに追跡調査を行った。追跡可能であった608例中、177例が(SCI)を有していた。平均7.5年の観察期間中、SCI群の34および非SCI群の24例が1次エンドポイントに至り、SCIの存在は死亡・腎死の独立した危険因子であった (HR, 2.44; 95% CI, 1.36-4.38)。
さらに、SCIの存在は、血清Crの倍化についても独立した危険因子として同定され(HR, 4.79; 95% CI, 2.72-8.46)、SCI群における推定GFRの低下速度は非SCI群に比し亢進していた。しかし、腎症ステージの進展に関する独立因子として、SCIの存在の関与は同定されなかった。

以上より、2型糖尿病患者において脳の小血管障害が腎機能低下の危険因子であることが明らかとなった。

文責 内科学講座 宇津 貴
 
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